お気に入り曲まとめ(2022.6~7)

https://music.apple.com/jp/album/the-geese-the-ghost-definitive-edition/1564117290

 

 

 やるやる言って結局なんもやらない、そんな日々を送っています。今月はなぜかプログレを聴いていました。

 

 

 

Anthony Phillips / Which Way The Wind Blows、God If I Saw Her Now、The Geese And The Ghost、Sleepfall: The Geese Fly West

 from『The Geese & The Ghost』

www.youtube.com

 

officechipmunk.sakura.ne.jp

 

 このアーティストに限らないですが、今回取り上げるプログレ系のアーティストはみんな(おなじみの)Office Chipmunkでの紹介文を読んで興味が沸いて聴いたものです。都度リンクを貼っていきますが、良い文章で溢れているので先にそっちを読んだ方がいいかもです。というか具体的な音楽性についてはそっちを読んだ方が伝わるはず、ここでは自分が書きたいことしか書かないので…。

 話は逸れますが、ネットの繋がらない田舎に暮らしてた頃は、Chipmunkさんで良さげな作品を見つけてもそれを聴く手段がなく、歯がゆい思いをしたので、サブスクやYouTubeですぐに音源にアクセスできる現代は最高ですね。こういう環境が整ったことではちゃめちゃな量の情報を集積している個人のHPやブログのありがたさが改めて身に沁みるというか…。無限とも言えるアーカイブに容易にアクセスできるようになった結果、それらへの道標となる役割が逆に価値を増してきたというか。

 

 ということで元Genesisのギタリストのソロ1st。牧歌的なジャケットが自分にとってはたいへん魅力的に映るのですが、内容もジャケットを裏切らない牧歌的なものでよかった。

 作品を一言で表すなら「アコギのアルバム」。全体にアコースティックギターのきらめく音色がフィーチャーされている。自分は今までどちらかというとナイロン弦のまろやかな音色が好きな人間だったのですが、今作を聴くと鉄弦もええやんけ!となる。上にサンプルとして貼った「God If I Saw Her Now」ですが、曲の一番盛り上がる部分が2分半からのアコギのアルペジオというのがもう本当に最高。ギターの音って綺麗なんだな、とハッとさせられるし、ギターに対する愛が伝わってくる。

 どの曲もクオリティ高いしアルバムとしてのまとまりもあるし、普通に名作でした。プログレとか関係なく、シンプルにすばらしい音楽です。が、プログレファンしかこの作品にアクセスしなさそうなのが少し不憫な感じ。というかそういう作品けっこうある気がしますね。

 

 

 

 

 

 

 

Pulsar『Halloween(アルバム)

www.youtube.com

PULSAR Office Chipmunk記事のリンク

 

 フランスのプログレバンドの3作目。正直まだあまり消化できていない……というのも、作品が組曲形式で区切りがわかりにくく、また雰囲気重視のインストが多いため。逆に言えばBGM的にゆるく付き合うこともできる感じです。というか実際、自分がそんな感じで作品を楽しんでいます。

 ゆるく聴いていて耳に残るのはやはりボーカルのあるパート。あまり量はないのだけど、ボーカルが出てくる部分はすべて良いです。純粋にこの声質が好きなのかも?とか思うけど、いや、そもそも曲がボーカルにマッチしすぎてるんだこれ。特にパートIIの6分~11分あたり(「Dawn Over Darkness」)が神。作品全体のクライマックスだと思うし、ぶっちゃけ自分はここの盛り上がりを聴くためにアルバムを再生している気がする。ということで作品を初めて聴く場合はパートIIの6分~11分あたりまで辿り着くことをひとつの目安にするといいかもしれません。

 「一部の盛り上がりを楽しむため、それまでの流れも丁寧に聴く」、と改めて言葉にするとなんかすごい「プログレ」を聴いているな~という感じがしますね。一応書いておきますが、ボーカルのないパートが退屈というわけではないので。

 アルバム全体の話をすると、そもそも、たとえゆるい聴き方であっても、アルバム単位で通しで楽しめる作品はけっこう稀であり、その時点で一定の評価ができると思います。ということで名作の評に違わぬ出来でした。あとぜんぜん関係ないですが、いまアークナイツでやってるイベント「ファントムと緋き貴石」と雰囲気がめちゃ合っています。

 

 

 

 

 

 

 

Strawbs / 3つのアルバムからまとめて紹介(1st~3rd)

The Man Who Called Himself Jesus、All The Little Ladies、Pieces Of 79 And 15、Poor Jimmy Wilson、Where Am I? / I'll Show You Where To Sleep

 from『Strawbs』

The Weary Song、Dragonfly、Josephine For Better Or For Worse、Another Day

 from『Dragonfly』

Martin Luther King's Dream、The Antique Suite、Temperament Of Mind

 from『Just A Collection Of Antiques And Curios: Live At The Queen Elizabeth Hall』

 

www.youtube.com

 

STRAWBS Office Chipmunk記事のリンク

 

 このバンドに関してはかなり勘違いをしていたというか……もっと早く初期の作品に触れていればよかったですね。とても雑多な音楽性を備えつつも、中心にしっかりとしたポップセンスを持った名グループ、というのが実態のようです。プログレはマジで数ある側面のひとつでしかない。

 

kenjironius.hatenablog.com

 「ビッグネームの存在に目が眩んでバンドの実態を掴み損ねる」みたいな。そしてやはり、自分以外にも似たような経験をした聴き手がいるようで。こちらのブログでもその経験やバンドについて詳しく書かれています。以下、Strawbsについて理解が深まりそうな部分を省略を挟みつつ引用します(詳しくは元記事を読んでみてください)。

 

そしてストローブスの69年1stはガス・ダッジョンがプロデューサーでトニー・ヴィスコンティがアレンジャーである。リック・ウェイクマンがストローブスにゲスト参加した70年2ndと正式に加入した70年3rdと71年4thはトニー・ヴィスコンティがプロデュースを手掛けた。リック・ウェイクマンはガス・ダッジョン&トニー・ヴィスコンティという人脈からストローブスに加入したのだ。(中略)考え方を変えると、ストローブスはFairport Conventionら英フォーク界隈のバンドというよりはボウイやエルトンジョンやT-Rex界隈のバンドであるということだ。

(中略)

ウェイクマンが在籍していたからストローブスにYesの《プログレッシブロック》を期待するよりも、ウェイクマン加入に至ったプロデューサー陣の人脈、エルトン・ジョンでのソフトなアレンジやデヴィッドボウイ2ndのいくつかで見られるバロックなアレンジ、Tyrannosaurus Rexでのサイケ効果、その方面から見てみると初期ストローブスの音楽が理解できてくる。

(中略)

〝サンディデニーがかつて在籍したブリティッシュフォークバンド〟ではなく〝リック・ウェイクマンがかつて在籍したプログレバンド〟でもなく、〝デイヴ・カズンズという多才な男のバンド〟という認識を得た時、ストローブスの輪郭がみるみる浮かび上がってきて僕はその音楽を理解し始めたのだ。

 

 全文重要なのでうまく抜き出せない。かといって全部引用するとめちゃ長くなるという。なので諦めて元記事の方を読んでください。

 

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 取り上げた曲数が多いので個々の紹介は省いてアルバムごとの大まかな傾向について。1stの『Strawbs』は基本フォーキーだけどバラエティ豊か。2nd『Dragonfly』ストリングスを大きくフィーチャーしより穏やかに。3rd『Just A Collection Of Antiques And Curios』Rick Wakemanが正式加入しドライブ感マシマシ。自分は3rdで(良っ!)と感じ、そこから遡っていきました。「The Antique Suite」が絶品だった。

 ……ということで、かなり雑ですが許してください。曲単位でのお気に入り精査で疲れました。とりあえず、1stの時点でしっかりとプロデュースされた一流の音楽になっています。なんというかそもそもしっかりとした地力のあるグループという感じがします。

 自分はSpotifyで聴いていますが、サブスクでもけっこうボーナストラックが収録されている場合があるので、アルバムというまとまりを気にするひとはそこらへんも気にするといいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

Jade Warrior / 3つのアルバムからまとめて紹介(1st~3rd)

Windweaver、Dragonfly Day、Sundial Song

 from『Jade Warrior』

Bride Of Summer

 from『Released』

A Winter's Tale、May Queen、Lady Of The Lake、Borne On The Solar Wind

 from『Last Autumn's Dream』

 

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JADE WARRIOR Office Chipmunk記事のリンク

 

 

 イギリスのバンドの1~3作目より。ベースとなる音楽性はブルースをルーツに持つサイケデリックロック、という感じなのだけど、そこに主にパーカッションによるエキゾチックなサウンドを大胆に被せているのが特徴。漢字のようなものが(1stの)ジャケットにあしらわれていることからも感じられるように、東方見聞録で描かれたアジア諸国のような奇妙な異国情緒に溢れた作品。

 サウンドの組み合わせと同じくらいおもしろいのが演奏の間合いというか、非常に大きく取られた音の余白だ。セルフタイトルの1stの1曲目の時点でこの特徴が見事に表れているのだけど、聴いていると俗世とは切り離されたスピリチュアルな空間にいるような気持ちになる。水墨画の世界に迷い込んでしまったかのような感じです。この無常観のある音世界は、初期Weather Reportの抽象的で神秘的なサウンドにも通じる部分があるかもしれない。

 とはいえこの時代特有の、サイケ~ハードの中間のような熱っぽいロックの顔も持ち合わせていて、そちらでは編成にフルートがあることもあってまるでJethro Tullのようになったりもする。自分はそちらにはあまり惹かれないのでお気に入り曲には穏やかで空虚な曲ばかり選んでいますが…。

 

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 お気に入りの流れは1st中盤の#4「Windweaver」~#5「Dragonfly Day」、そして3rd後半の#6「Morning Hymn」~#10「Borne On The Solar Wind」。特に3rdはオープニングも含めてアルバムというまとまりを強く感じさせる構成で、お見事!という感じです。三枚とも基本的な音楽性は変わりませんが、2ndはややハードロック調が強いです。

 そしてこれは完全に偶然ですがJade Warriorの初期3作がつい最近リマスターされて再発されたらしいです。なんかスポでも2022 Remasterdっていうバージョンが出てます。ありがた~。

 

 

 

 

 

 

 

Wapassou『Ludwig (Un Roi Pour L'Eternite)』(アルバム)

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WAPASSOU Office Chipmunk記事のリンク

 

ameblo.jp

 

 フランスのよく分からんバンドの四作目。30分超えの大作と小さな小さな可愛らしい曲x2……に加えてCDとサブスク版はボートラが一曲という、構成だけ見ればプログレらしい作品。全編インスト。

 一般的にはプログレに括られるグループ……ではあるけれども、時代的には「プログレでしか括れなかったグループ」といった方が正確かもしれない。超絶技巧や複雑な曲構成のようなジャンルの特徴は備えておらず、ただのどかな旋律が愛らしいサウンドで、人間味あふれる演奏で緩やかに流れ続けていく。30分超えの#1「Ludwig」も数分の小曲の連なりであって……このどこまでもメロディーオリエンテッドで人懐っこい作風は、率直に言えば、現代の視点からすればプログレよりもイージーリスニングの方が近いように思う。

 演奏自体には「歌い切れていない」というか、ややたどたどしいところもあったりするのだけど、全体の作りは丁寧で、心が籠っている。特に大胆にエフェクトをかけたサウンドによる演出のようなものは、元となる楽曲自体が素直なこともあってよく嵌っている。音楽の総体として表現されるテリング自体は大変魅力的だということです。

 ボートラである4曲目のみリズム隊がフィーチャーされていて、突然空気が変わってしまいます(ロックになっちゃう)。アルバムのまとまりという観点で言えば完全に蛇足なのだけど、曲自体は悪くないです。後半のロマンティックな展開に引き込まれる。そしてこれが意外にもチープな音色にフィットしている。

 

 これもプログレというレッテルが悪さしている例というか……いや別に悪くないんですけどね! 実際にボートラとかはプログレの範疇にある音だと思いますし。ただ、作品全体で見たら、おそらくニューエイジとかイージーリスニングとかそっちのファンにより強く訴求するのではないかと(そして逆にプログレファンにはそこまで受けないかもしれない)。なんにせよ、より広い層に聴かれてほしい作品ですね。名作。

 

 

 

 

 

 

 

 以下は手抜き、もしくは未消化な作品群。

 

Omni Gardens『Moss King』

www.youtube.com この曲好き。

 

Omni Gardens - Moss King (CS+DL)meditations.jp Meditationsの商品ページ。概要はこちらを参照。

 

 太くまろやかな音色のシンセによるエレクトロニカアンビエント。曲が簡素かつ長閑で朴訥。ゆえになんでもない時間のBGMとして重宝する。過剰に楽しくも悲しくもないのが良い。ただぼんやりとしています。雰囲気系のインディーゲームのサントラ感あり。

 

 

 

 

 

・Microstoria『Snd』、『Init Ding』

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 OvalとMouse on MarsのJan St. Wernerによるデュオということでかなり有名なユニットですよね。ということで過去にもちょいちょい聴いたりしていたのだけど、いまいち掴めずに終わっていました。しかしここにきて思った。これ別に理解しようとしなくても、よくわからんままでもいいのでは…?と。

 ということで……自分的にはこの作品は░▒▓新しいデラックスライフ▓▒░みたいな虚無音楽の系譜に落ち着きました。あっちはなんだかんだで繰り返しを基調にしていて、しかしこっちはそうではないので曲の形としては似てないのですが、最終的な聴き心地というか印象が似ているので。

 基本的には演奏で成り立っているっぽくて、だから運動性とかを細かく聴き取ることもできそうではあるんですが、いかんせん曲としての秩序が感じられずまともに向き合う気にならない。音色自体は心地よいので、物音じゃあないけどそのまま散文的なものとして受容していいんじゃないかと思う。「Endless Summer NAMM」とか、時おりエモい雰囲気の曲もありますが、それらはたぶんデレというかサービス曲だと思う(この曲は少しFenneszのアルバムに雰囲気似てます。こちらの方が古いですが)。

 Stephan MathieuとEkkehard Ehlersの『Heroin』を思い出したりもしました。どちらかと言えば『Snd』が虚無アンビエント寄りで『Init Ding』が少しポップというか虚無エレクトロニカ寄りだと思います。

 

 

 

 

 

・The Moody Blues『Days Of Future Passed』

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幻想音楽夜話 - [Days Of Future Passed / Moody Blues]

 これはまだぜんぜん聴いてないのでお気に入りではなくメモです。67年発表の本作ですが、ロックとオーケストラを大胆にくっつけて、アルバム一枚で「人の一日・一生」というコンセプトを表現したトータルアルバムで……有り体に言えば本作をもってプログレッシブロックは始まったと言われているらしいです。すごい今更なんですけど自分はこの文脈を知らなかったので、備忘録として。

 67年といえばサージェント・ペパーズとか夜明けの口笛吹きとかがあって、前年にはザッパのフリーク・アウト!も出ている……ぶっちゃけそれらの作品の方が字義的にはプログレッシブだとは思うのですが、軽く聴いた感じでは本作の音楽性は後に形骸化する「(ネオ・)プログレッシブ・ロック」の祖としてすごく当てはまっているような気がします(めちゃ失礼なこと書いてる。すいません)。

 プログレの流れを作った、形式を作った、みたいな感じでしょうか。先ほど挙げた諸作は方向性の定まってない実験というか、実験自体が目的みたいなところもあるような気がします。プログレッシブなことしてるけどジャンルとしては成立してない、みたいな。だから、最初にプログレとして「完成」したのはたしかにこの作品かも……みたいな印象。

 まあ真面目に聴いてから書け、という話でもある。なのでまあ、メモですこれは。おわり。

 

 

 

 

 

・Jungle Brothers『Straight Out The Jungle』

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 ピッチの80年代のリストで見かけて聴いた作品。Jungle BrothersはATCQ、デラソウルと並んでNative Tonguesの中心グループで、またこの作品は彼らの第一作であり、Native Tonguesの原点かつニュー・スクールの始まりともされる、らしい。といってもそれぞれのグループのデビュー作のリリースタイミングはそれほど離れているわけでもないので、同時多発的に似たような方向性を目指していたということなんだと思う。

 ATCQとデラには個人的にはもう10年以上前に出会っているのだけど、それなのにいまだにJungle Brothersを通っていなかったのには彼らのメディアでの扱われ方があったと思う。ATCQとデラの作品は90年代のリストで確実に登場するのに対し彼らは出てこない……そして80年代のリストにおいてもデラの方が目立っているという……。

 ということでちょい不遇な感じなのかな……と思ったのだけど、実際に聴いてみたら……その評価もわりと妥当か?みたいな印象に。間違いなくクラシックとして挙げられるクオリティだけど、他2グループのデビュー作には劣る、みたいな感じ。まあでも、このラフでユーモアを纏った佇まいをこの時点でモノにしていたのはやっぱ偉大な気がします。

 #3「Black is Black」にはQ-Tipが客演しています。また#6「I'll House You」はヒップホップとハウスを組み合わせたヒップ・ハウスというジャンルで初期のリリースとして有名らしいです。

 

 

 

 

 

・Laurent Thibault『Mais On Ne Peut Pas Rêver Tout Le Temps』

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Laurent Thibault Office Chipmunk記事のリンク

 フランスのプログレバンドMagmaの最初期のベーシストにしてプロデューサー。 の唯一作かな。ジャケットに通じるようなエキゾチックで爽やかなシンフォ~ジャズ・ロック。基本インスト。カンタベリー系人脈であるAmanda Parsonsの神秘的なソプラノをフィーチャーした#1「Orée」は明朗なメロディーで親しみやすい名曲。エキゾチックで牧歌的なニューエイジのような趣もあり。

 ところどころ不穏になったりトランシーになったりするところがGongっぽいというか、Magmaっぽいのかな?(Magmaはぜんぜん通ってない人) とはいえ驚くほど丹念に作り込まれていることもあって、気づくとアルバム一枚聴き終わっていたりする。なんというか常に淀みなく流れているパートがあって(だいたいギターですが)、多少の気持ちわるさがあってもそのままBGM的にスラーっと聴けてしまうところがある。

 めちゃくちゃ高品質な……なんだろうな、音楽です。なんか本作はシンセを使っていないらしいです。どころかそのことを宣伝文句にもしているらしい。それにも頷けてしまうほどにプロダクションが優れているのでなにも言えねえ。そよ風に乗せてさまざまな景色を巡る神秘的なジャーニーを体験できる……そんな感じの名作でした。

 

 

 

 

 

・Arti & Mestieri『Tilt』

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ARTI+MESTIERI Office Chipmunk記事のリンク

 イタリアン・プログレ界で有名な作品。自分は田舎育ちで周りに強いレンタル屋さんとかもなかったのでこういう、そのジャンルでは有名だけど世界的に有名かというと微妙、みたいな……もっと言えば一般的なツタヤに置いてない作品はぶっちゃけぜんぜん通ってないんですよね。

 プロフェッショナルな技巧に裏打ちされた、一分の隙も無くパンッパンに充実した傑作。個人的には、もうこうなるとあとはその歌心が好みかどうかという問題になる。で、結論から言えばそんなに好みじゃないです。そもそもボーカルが少ないことも影響してるような(結局人の歌が好きな人なので)。メロディー的なポップさで言えば終盤の大曲「Articolazioni」が図抜けていて、上述したPulsar『Halloween』みたいにこの曲を目指してアルバムを聴く、ということを繰り返せばやがて作品全体が馴染んでいくような気がする。アルバム全体が「Articolazioni」くらいにポップなら好き!ってなっていたけれど、バンドのはちゃめちゃな技巧がそれを許さなかったのだろうか。でもアルバム全体でも40分ないので、このままいい感じに馴染めたら手のひらクルーする可能性もある。

 自分はイタリアだとMaxophoneっていうバンドかつ彼らの唯一作が好きで、その作品はもうテクより歌重視のめちゃポップな作品なのですが、Artiの「Articolazioni」はマジでそれに並び立つポップさなのですよ。しかもそれを終盤に置くということはもう確実に確信犯でさ、つまり彼らはポップスも完全にマスターしてるはずなんですよ。でもポップさを一番には置かなかった……ということで個人的にはすごく惜しいイメージの作品になりました。とはいえプログレとしては満点以外にないという作品ではあります。

 なんか2作目飛ばして3作目的な作品(ESAGONOのやつ)聴いたら普通に良い感じだったのでそのうち少しずつ作品を聴いていくんじゃなかろうか。

 

 

 

 

 

・KH「Looking At Your Pager」

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 Kyle Hallか!?と思ったらKieran Hebden(Four Tet)だった。5分50秒あるバージョンの方が好き。名曲! 終わり!

 

 

 

 

 

Brian EnoApollo

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 『On Land』の方が宇宙っぽくないか?と思ってあまり聴いてなかった作品。アルバムの後半がアンビエント飛び越えて普通にポップになことに気づいたのでメモ。これはマジでA面(#1~#7)B面(#8~)で分けて聴かなきゃだめなやつでした。B面の音楽性をそのまま拡張したようなアルバムってどこかにありませんか? 情報お待ちしてます。

 

 

 

 

 

 

 終わり! これだけプログレを聴いているのは、まあ自分がもともと好きなジャンルだからというのもありますが、Office Chipmunkさんが機能的すぎるというのもあると思います。サブスクと相性良すぎるんだよな。だから……Chipmunk以外にもめちゃ有用なブログやらが見つかればそこが扱っている音楽ジャンルを聴くようになる気がする。今さらだけどサブスクってブログ的な、音楽紹介するサイトとめちゃくちゃ相性いいですね。文章読んで気になったら即再生できるんだもん。今度そういうサイトまとめてブックマークしとこうかな……サブスクで掘る用に。。