最近プレイしたゲームの雑感想&評価 その1

 プレイしたゲームの感想と簡単な評価をまとめています。

 

 

(その2はこちら。)

 

・飛ばしてよい前置き

 2021年の終わりにプレイしたInscryption以来ゲームおもしれー期に入っています。ちゃんと感想書こうかなと思っていたけど逆に自分に対するハードルを上げてしまっていたらしく、感想を書き上げる前にどんどん次のゲームをプレイしちゃうという状況に。これじゃマズいので今回すごい気楽に書けるフォーマット(=この記事)を用意しました。ここで今後はプレイした感想などをまとめていこうと思います。すでにInscryptionとかもうろ覚えな感じだが…

 

 

 

・10点満点。10点は神ゲー、9点は傑作、8点は名作、7点は良作。……

・プレイ時間は本編クリアーまでの時間(追加コンテンツなどは含まない)。あくまで自分の場合なので参考程度に。

・自分がプレイした順。ですが見にくいかもなので最初に目次を設けます。

・感想は軽いネタバレを含んでいる場合があります。なので最初は隠した状態になっています。

 

 

 

 

Inscryption(2021)

デッキ構築型ローグライト+脱出ゲーム。ちょいホラー。

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評価:10

プレイ時間:12時間

感想を開く 前提として自分はカードゲームを恒常的にプレイしている人間ではないのだけど、ゲームの難易度というかバランスはちょうどいいと感じた。個人的にInscryptionのウリはカードゲームのゲーム性ではなく、カードゲームも含んだ総体的な「プレイ体験」だと思っている。「プレイ体験」を第一に考えるならこのくらいの難易度が最適だと思う……けどデッキ構築型のカードゲーム未プレイの人には難しかったり、あるいはアナログなカードゲームのプレイヤーには逆にぬるく感じたりするのかな。
とにかくプレイフィールが濃密。次々に移り変わる場面やフォーマット、意味深かつ衝撃的な演出に入り乱れるメタ視点……なんというか、すごく「贅沢」なゲーム。あらゆる方法でプレイヤーに刺激を与えてくる。もっと擦れるだろ!というようなルールや舞台などを、プレイヤーを楽しませるためにどんどん使い潰していく。プレイしているときは特に感じないけど、プレイ後に改めて思い返すとその「おもてなし」っぷりに少し恐縮してしまう。
ゲームの、ストーリー的な結末にはやや消化不良なところがあるかもしれないけど、それを補って余りある「体験」ができる。リアル世界にも進出してくるストーリー・ゲームデザインなど野心的な試みも加点要素……ということで満点です。というかこの内容で満点じゃなかったら満点のハードルが上がりすぎちゃう……。

 

 

 

BoyMeetsCave(2021)

パズルと探索に特化したメトロイドヴァニア(敵なし戦闘なし)。

(現在公開停止中)

『BoyMeetsCave』っていうゲームを非公開にした理由(言い訳) - がむしゃらメモ

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評価:9

プレイ時間:2.5時間(42/50)

感想を開く これはメトロイドをプレイした人にしか伝わらないのだけど、メトロイドの、探索におけるおもしろさのキモだけを抽出・拡大したゲーム。特化型だしある意味ではハードコア。作者さんも言ってるけど、(2Dの)メトロイドをプレイしたことがない人にはなかなか難しいところがある……けど逆にメトロイドにハマった人なら相当楽しめるであろう作品。
操作性もレベルデザインも良いし、不満点があるとすれば見た目がシンプルすぎてマップの把握がしづらいことくらい。地形の見た目が段階ごとに変わったり、そもそもミニマップ機能などがあれば神ゲーだった(個人的な話)。配布制とかでもいいので、プレイしたい人がプレイできるようになればなあとは思う。

 

 

 

The Witness(2016)

一人称視点のオープンワールド「一筆書き」パズルゲー。

【寄稿】狂気のパズルゲーム「The Witness」をクリアして、文字通り“世界の見え方”が変わる体験をした話 - ねとらぼ

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評価:9

プレイ時間:21時間(452クリア、+45)

感想を開く なんかずっと前にネットで「風景パズル」の動画を見ていて、そのことを思い出して触ったゲーム。しかし気軽に触れるにはかなりボリュームのある、「沼」ゲームだった。
パズルゲーとしての出来は最上級。一筆書きというシンプルな基本ルールながら、発想の転換がたびたび要求され、そのたびにマジか……!と感動する。特に沼地で登場する「ブロック(テトリス?)」のルールには苦労&感動させられた。。
ただ、オープンワールドというデザインによるところもあると思うのだけど、基本的に「不親切」なのでそこには注意。本当に最低限のガイドしかないです。パズルではあるけど、そもそものルールを把握するところまでもがゲーム内容に含まれている。どういうことかというとゲーム内でパズルのルールは説明されません。自分で経験則からルールを推測しないといけない(そしてその「ルールの推測」自体がゲーム性に含まれている)。上で挙げたBoyMeetsCaveなんて比じゃないレベルの不親切です。このゲームのことを思い出すと世界の不親切にある程度寛容になれる気がする。だから、BoyMeetsCaveの作者さんとかあんまり色々気にしなくてもいいと思うんですが…(?)
そして……また話は変わるけど、このゲームの核心は「価値観・見方の決定的な変化とそれに伴う畏怖(感動)」だと思う。それは一筆書きパズルのルールの拡張からも感じられるけど、究極的には「風景パズル」と、ゲーム内で視聴できる講演「詩篇46篇の謎(The Secret of Psalm 46)」がはっきりと示していると思う。いわゆるパラダイムシフト……そのおもしろさ・怖さにフォーカスしたのがこのゲームだと思っている。一般的でわかりやすい例を挙げるなら妻と義母の隠し絵だろうか。実際ゲーム内でもそのような隠し絵とかが大量に忍ばせてあるのだけど、それをよりゲーム的に、大きなスケールで実践したのがこのゲームというか。
最後に一応書いておきますが、講演「詩篇46篇の謎」で示されるものには陰謀論にも通じるような危うさがあること……そして単純にパズル部分は難しいのでストレスにならないように大人なつきあい方をした方がいいよーということだけ書いておきます。9点ではあるけど神ゲーといって差し支えないと思います。…あ! あと酔う! このゲームすごく酔うのでプレイ前はちゃんとごはん食べておいた方がいいです。

 

 

 

VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action(2016)

選択肢を「提供するカクテル」で代替したテキストアドベンチャー

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評価:7

プレイ時間:10時間

感想を開く ぶっちゃけ雰囲気ゲー。これは悪口ではないです。ゲーム内の雰囲気を楽しめるか、あるいはキャラ達や彼らの会話に興味を持てるかどうかで評価が変わると思う。ゲーム性を求める人には向かない。音楽は最高。個人的にはこのインタビュー記事を読んでなんというかいろいろと腑に落ちるところがありました(https://www.famitsu.com/news/201709/22142400.html)。
これは蛇足ですが、続編は出ない…か出るとしても繋がりは世界観だけになるんじゃないかなと。というのも今作、そんなにゲーム性がないので…。似たようなゲーム性だと作り手側のモチベーションが持たないんじゃないかと思う。

 

 

 

GOROGOA(2017)

うーん……絵合わせパズル?

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評価:8

プレイ時間:2.5時間

感想を開く 他に似ているゲームがあまり浮かばない、独創的なデザインが特徴のパズルゲーム。個人的に、ゲーム内で示されるストーリー的なものにはあんまり興味を引かれなかったけど、それはそれとしてパズル部分は相応に楽しめた。だんだんと難しくなっていく難易度の調整もいい感じ。短めのボリュームも、個人的には飽きる一歩手前の量でちょうど良かった。意味深なストーリーは人を選ぶと思うけど、パズルのおもしろさと芸術性の高さで8点という感じです。

 

 

 

Braid(2008)

横スクロール型「時間巻き戻し」パズルアクション。

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評価:9

プレイ時間:7時間

感想を開く The Witnessと同じくJonathan Blowがデザインしたゲーム……というか有り体に言えばThe Witnessの前作。これも傑作。「時間の巻き戻し」という発想自体はわりとありそうだけど、それをちゃんとゲームシステムとして実装したのがすごいと思う(プログラムとかしたことないのでどのくらいすごいかわからんけど)。そして単純にパズルゲーとしても傑作。ゲーム部分に限って言えば、プレイフィールの濃さはInscryption以上で……ゲーム性の進化・拡張にプレイヤーの脳が追いつかないまである。
また、ゲーム性とストーリーががっちりと噛み合っているのもすごい。The WitnessやGOROGOA同様(GOROGOA製作のきっかけの一つには今作があるらしく、GOROGOAのクレジットにはJonathan Blowの名が登場する)哲学的な話なのだけど、というか哲学的ゆえにあんま感情移入できないんだけど、それはそれとしてこの噛み合いっぷりは評価に値する。あとちゃんと巻き戻しに対応する音楽もね!
難点があるとすれば見た目だけです。見た目でかなり損してるゲームな気がする。まあ完全にインディーな出自なのであれですが。

 

 

 

The Messenger(2018)

横スクロールの2Dプラットフォームアクション~メトロイドヴァニア

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評価:8

プレイ時間:16時間(力の封印全解放済み)

感想を開く Jakeさんおすすめの逸品。アクションゲームとしての出来はすばらしい。操作性が抜群で、キャラを動かしているだけで気持ちよくなれる。
悪いところを挙げるなら、ゲーム後半に出てくるストーリー上必須なお使いクエストの存在。IGN Japanのレビューでも触れられているようにこの点で評価が分かれると思う。自分はレビュー内で出てくるIGN USの人と似たような立場で、探索要素が加わる前でゲームが完結してたら完璧だったかも……とか思っているのだけど、まあこれも程度の問題で、例えば「ゲーム内の店から店にワープできる」みたいな感じで、もうちょいプレイヤーに優しければ評価はひっくり返っていたと思う(たぶん)。
アクションもマップの探索も楽しいんだよ、ただ大きなマップの移動だけが不便で……繰り返しになるけど「程度の問題」なんですよ。ゲームデザインには問題ないんです。マップの移動で時間を食った結果、クリアよりも先に「飽き」が来ちゃったんですよね、自分の場合。
伝統的なスタイルの完成されたゲームです。個人的には、どんな境遇でもユーモア(「面白い話」)を求めるキャラクターたちにしたたかさや親近感を感じてグッときました。

 

 

 

Elden Ring(2022)

オープンワールドアクションRPG

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評価:9

プレイ時間:206時間(2週目最終盤) 1週目はたしか150時間くらいだったと思う

感想を開く SEKIROやって、Bloodborneに挫折した後に触れたフロムゲー。当初そんなに触る気なかったけど、TLを眺めていたらいつの間にかプレイしていた…。
1週目150時間って書いてますが、そのときで進められるサブイベントをだいたい回収したらこんなんなりました。強くなりすぎてラスボスにあまり手ごたえを感じなかった。あと自分は散歩が好きというか、フィールドを自分で歩き回った実感がほしいタイプのプレイヤーなので、いろいろ歩き回ってたらこんなプレイ時間になっていたという感じです。あまりいろいろと拘らなければ100時間くらいで初回はクリアできるのでは(もちろん速い人はもっと速い)。
戦闘の難易度はフロムの普通くらい? SEKIROとブラボしか触ってないのでわからんけど。ただ、探索できる場所がめちゃ広くて、探索してるうちに自然と強くなってる、というゲームデザインだかレベルデザインだかが上手くハマっていて、そのおかげで今までになくゲームとしての間口が広くなっている。「楽しくレベル上げができる」ことがこんなにありがたいとは……とブラボ挫折者が申しております。
ゲームシステムもバランスもワールドも完成してると思う。マイナス1点分は、
・(アプデである程度解消されたけど)サブイベントの誘導がクソすぎ
・ストーリーの語り口が迂遠すぎ(考察の余地とのトレードオフだけど、それでも)
というところから。まあでも全体的には非常に満足しています。他人の実況プレイも含めてめちゃ楽しませてもらいました。フロムゲーとしてはこの間口の広さが画期的であり、またその意図通りにヒットしたのがデカいんじゃないでしょうか。

 

 

 

Outer Wilds(2019)

好奇心駆動型、一人称視点3Dアクションアドベンチャー

www.youtube.com この映像、ヒントとしてかなり強いです。これ先に見ておけばもっと早くろいろ理解できたかも。自分はマジで事前情報なしで始めたので…

評価:10

プレイ時間:30時間(DLCは15時間、合計45時間)

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sunagi.hatenadiary.jp

神ゲーですね。理想的なゲーム体験のひとつだと思います。ある程度ゲームに慣れていないと操作とか謎解きとか難しいかもですが、ぜひいろんな人にプレイしてもらいたい。

すばらしいゲーム体験が忘れられず、クリア後に他人の実況プレイを探し求めるプレイヤーが続出したらしい。というかそのおかげで自分のプレイにも視聴者が来てくれて、コメントをもらいつつ楽しくプレイできました。攻略に詰まったら、もしそのプレイを配信しているのなら視聴者にヒントを聞いてもいいし……あと普通にネットで検索してもいいと思います。なんかネットに攻略あげている人もヒントの出し方に配慮してる節があって、あまり体験が損なわれないようになっている気がする。

神ゲー故に良質な感想がネットにも溢れています。ということで自分が改めて言うことはあんまりない。感想をお探しでしたら上記リンクなどを参考にしてください。

個人的にはストーリーにめちゃハマったわけではない……というのも、自力でストーリーを正確に辿るのがゲームデザイン上とても難しいから。自分はストーリーを正確に追えている自信がないと素直にストーリーを楽しめない性質なので。。(まあこれは環境ストーリーテリングが本質的に抱えている問題だと思いますが。問題でもないけど) しかしそれでも、世界観と絡めたゲームと謎解きのデザインがありえんレベルで良くて、それだけでも感動の連続でした。本当に。マジでよくこんなゲーム作り上げたなと思う。

 

 

 

Celeste(2018)

高難易度2Dプラットフォーム(死にゲー)。

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評価:10

プレイ時間:20時間(通常クリアまで)(うろ覚え)

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むっずい。当初こんなに難しいと思ってなかった。山登りって普通にしんどいんだけど、そのしんどさを疑似体験できる。まあこっちには筋力などフィジカルの壁はないので、主に精神面での勝負となるわけだが…。

マップの切り替えごとに復活地点が用意されていて、だから実質一回の切り替えが小さな1ステージといった感じ。その小さなステージの連なりが無限に続いていく。The Witnessのプラットフォーマー版みたいな感じ。

操作性が良く、スピード感もあり、アクション部分の出来は非の打ち所がない。ただ、それゆえにプレイヤーは息をつく暇もなく常に壁にぶつかり続けることになる。気持ちいいけどかなり消耗するゲームなので体調やメンタルには気を付けて。

ストーリーはめちゃ好みというわけではないんだけど、高難易度プラットフォーマーというゲーム性を考えるとこれ以上のものはないようにも思える。音楽は最高。VA-11 Hall-Aを思い出すクオリティ。機能を果たしつつ、そのゲームの個性にもなっている。

実はめちゃボリュームがあり、しかも先に進むにつれて難しくなっていくので(どこまで難しくなるんだ…?)と疑問を抱く始末(筆者はいまだ完全クリアをしていない)。「シンプルなゲーム性を保ちつつ、どれだけ難易度に幅を持たせられるか」という点でこのゲームは極まっていて、プラットフォーマーというジャンルで行けるところまで行っている。基本操作はジャンプとダッシュだけなのにこんなに奥深くなるのか、こんなにステージを作れるのかという驚きがある。ウェーブダッシュという、スマブラにおける絶みたいなテクニックがあるんですが、それがプレイヤーに要求されたときには思わず笑ってしまった。ここまでやるのかよ、と。

マゾ向けのゲームです。プレイヤーがマゾなら開発者もマゾ。ただひたすらストイックにステージをクリアし、山を登っていく。目立つ報酬もなく、だんだんと本当に修行みたいなゲームプレイになってきます。この極まった感じがすごいと思うので10点です。

 

 

 

Manifold Garden(2019)

幾何学的アート調世界での重力操作3Dパズルアドベンチャー

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評価:8

プレイ時間:5.5時間

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印象的なビジュアルに惹かれてプレイ。エレクトロニカアンビエント調のサウンドが圧倒的なビジュアルとマッチしている。一人称視点も相まって、体験型のアート作品といった印象も強い。自分の視界以外に情報がなにもなく(マップとかもない)、プレイの進捗を忘れるとどうにもならなくなると思うので数日で一気にプレイすることを推奨。

余計な情報を極限まで排し画面を美しく仕上げた代償に、次にどこに進めばいいか分からずに迷子になることがある。しかしパズルの難易度は適当だし全体のボリュームもちょうどよく、迷子になること以外には目立つ瑕疵はない。裏ルートみたいなやりこみ要素もあるし、パズルゲームとしてはちゃんと完成している印象。マジでゲーム内に文字媒体の情報がなくて、おかげでストーリーもかなり抽象的というかほぼ無いようなものだけど、芸術的な演出で強引にすげえ…と思わせてきます。良作。

 

 

 

Ori and the Blind Forest、Ori and the Will of the Wisps(2015、2020)

横スクロールの2Dプラットフォームアクション~メトロイドヴァニア

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評価:8、10

プレイ時間:12時間、15時間

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シリーズもの。BoyMeetsCaveの作者がWill of the Wispsの方を絶賛していたので気になってプレイ。

ストーリーは多少好みが分かれるかもしれない(万人向け故に刺さらない)けど、それ以外の要素…グラフィック、音楽、操作性などもろもろが非常に高レベルでまとまっている。高レベルというか、もうこれ以上は望めないくらい。グラや音楽はヴァニラウェアとかベイシスケイプに匹敵するし、アクション部分に関してはCelesteなんかを連想したり。超リッチです。新しいマップに到達するたびにね、その美しすぎるグラフィックと音楽に溜息を漏らしてしまうんですよ…。雪山のマップとか水辺のマップとか素晴らしかったですね。どこを切り取っても絵になるという。

Will of the WispsではRPG的な側面(主人公の能力のカスタマイズなど)がより強化され、いよいよゲームとして隙がなくなった。攻撃手段が増えて戦闘が楽しくなった。移動だけでもこんなに気持ちいいのにね。Blind~のどこでもセーブできるシステムはWill~には引き継がれなかったけどおもしろいシステムだったと思う。

Blind~も悪くないんだけど、Will~の完成度はちょっと図抜けている。ゲームのベースの部分は共通なんだけど、作り込みだけでこんなに印象が変わるんだな~。この方向性ではこれ以上のものは出来ないんじゃないか?という感じの作品です。とにかく贅沢な体験だったなと思う。絵や音楽だけじゃなくてギミックもよくできていて、なんというか攻略するのがもったいなく感じるゲームでした。個人的なツボに刺さったわけでもないのに10点を付けざるを得ないクオリティ。傑作です。

 

 

 

Return of the Obra Dinn(2018)

ホラー風味?一人称視点3D推理アドベンチャー

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評価:9

プレイ時間:13時間

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無人となって帰ってきた商船「オブラ・ディン号」にいったい何があったのかを調査するため、不思議な懐中時計を使ってムーディー・ブルースよろしく乗員の死の瞬間を再生していく。非常に独特なデザインのゲームで、それゆえにシステムや操作に慣れが要るけれど、その分ゲーム体験も特別なものになっている。

最終的な目的は乗員全員の身元と安否を確定することなのだけど、この謎解き部分がとてもよくできていて、論理的に物事を推理する楽しさを存分に味わえる。死の瞬間を再生できるので死因はある程度分かるのだけど、身元がぜんぜんわからなくて、プレイヤーは観察力をフルに活用することを求められる。服装や身体的特徴、人間関係(会話の内容など)など、あらゆる情報を活用して推理していくのがべらぼうにおもしろい。おそらく英語ネイティブの人ならば、英語の訛り方なども手がかりになるのだろう。そのくらい細かなところまで作り込まれている。

その作り込みの細かさゆえに、日本人プレイヤーには謎解き的に少し不利なところもあるかもしれない。というのも舞台や登場人物が基本的に海外のものばかりなので。。現実世界の特定の国の文化の知識があってはじめて手がかりとして機能する情報がかなりある。上述した「訛り」なんかはその一例ですね。そういう意味では少し大人向けのゲームと言えるかもしれない。高校生で地理とか世界史を取ってた人とか、今現在それらを勉強している学生とかはより楽しめるかもね。

謎解きは歯ごたえのある難易度だけど、ある程度のあてずっぽうを許容するゲームシステムがあり、そのおかげでかなり間口が広がっている。ここらへんのバランスは見事。

システムや謎解きもすばらしいけど、グラフィックや音楽など演出面もよくできている。3Dと白黒二階調を組み合わせたグラフィックは非常に印象的で、一目見ただけで記憶に残る。実際、自分はグラフィック面から……SNSに流れてきたこのゲームのスクショが印象に残ってたから本作をプレイしたわけで。そして音楽。勇壮なストリングス主体のBGMは雰囲気あるし、またSEやボイスもリッチで臨場感がある。いやSEとボイスのクオリティ本当にすごくて、これが「あえて」抽象化させた(モノクロの)グラフィックと組み合わさることで、プレイヤーの想像力をこれでもかと喚起するんですよね。。

感想書くの久々でちょっと書きすぎた感。芸術性なども含め総合的に見て神ゲーですね。繰り返しになるけどとにかくゲームデザインがユニークで、これだけで触る価値があるし、ちゃんとクリアした暁には確実に思い出に残る一本となっているであろう作品。いわゆる「センスオブワンダー」のある作品で、よくこんなゲーム作ったなと思います。

 

 

 

Sifu(2022)

三人称視点ベルトスクロール3D格闘アクション。

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評価:10

プレイ時間:18時間(真エンドクリアまで)

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このゲームの最大のキモとなるアクション部分の出来が最高に良い。ハイスピードでパリィというかジャスガや回避を軸に立ち回っていくゲーム性は、最近ならSEKIROとか、昔ならGOD HANDPS2)とか、そこらへんの系譜にある。

その上で、ステージのハイスコアを獲ること自体が攻略に繋がるシステムや充実したトレーニングモードなど、アクション部分以外のあらゆる部分がプレイヤーの上達を促すようにデザインされている。ということで、この手のスタイルのゲームの中で、現状最も「早く楽しく習熟できる」ゲームになっていると思う。

フロムゲーをやっている人ならわかると思うのだけど、アクションゲームって結局自分の腕前が上がっていくことが一番楽しくて気持ちいいんですよね。そしてその楽しさに、現時点で一番上手くフォーカスしたゲームがSifuなのではないか。

加えて演出もめちゃかっこいい……特にステージ2、3は初見プレイのとき感動しました。光と音がね、オシャレで…。アクション自体スタイリッシュなのに加えてステージもオシャレなので、なんかもう自分が主役のアクション映画……に入り込んでプレイしているような感じ。全体的に『John Wick: Chapter 2』の影響は大きいと思います。

文句なしに神ゲーですね。全体に瑕疵が見当たらないし、なにより作品の目指すおもしろさにこれ以上ないほど精確に集中できてるのが良い。ラスボスなんか、初見時まったく勝てる気しなかったのにちゃんと勝てたし……本当によくできたゲームだと思います。追加コンテンツは触るかわからない。ストーリー要素があれば触るけど。

 

 

 

Tunic(2022)

クォータービュー3Dアクションアドベンチャー~からの高難度謎解き。

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評価:10

プレイ時間:19時間

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基本はゼルダ+ソウルシリーズみたいなゲーム性のアクションアドベンチャーなのだけど、とにかくワールドの作り込みが秀逸。ワールドの作り込みというか、レベルデザインとか謎解きとかいろいろ組み合わさっているのですが。

うまく言語化できないけれど、一つの場所に複数の、なんというかレベルの異なるギミックが用意されていて。だから同じ場所でもゲームの進み具合やプレイヤー側の知識の蓄積次第で見えるものが変わってくる。結果的に、ワールドの広さ・規模のわりに超濃密なゲーム体験が味わえる。そして、おそらくこの色んな種類の謎/ギミックをスマートかつ高密度に詰め込んでいるところが本作の一番の特徴なのだろう。

やっぱり、自分の「物の見方」を変えさせられる、価値観を揺さぶられる体験がコンテンツとして一番おもしろいと思う。そして、そのような体験をするのにゲームって一番向いてるよなあ…としみじみ考えてしまう。「The Witness」や「Outer Wilds」など、近年はそういう「プレイヤー側の認識の変化(に伴うおもしろさ)」に焦点をあてたゲームデザインが流行っていますが、その最前線がこのTunicだと思います。

「プレイヤー側の認識の変化」を利用することで初めて実現できる世界の濃密さ……なんですよね。謎が一つあるとして、普通に見たら解は一つなんだけど、別の視点で見たらもう一つの解が浮かび上がる。……そんな風にして謎の、世界の密度を高めていく。まあ実際は、一つの謎に複数の解があるという形ではなくて、今までなんとも思ってなかったものが見方を変えたら実は謎だった、というようなケースがほとんどなのですが、プレイヤーの認識の変化を利用しているという点では変わりません。

上記のような理由で、間違いなくネクストレベルのおもしろさに達したゲームだと思います。「The Witness」「Outer Wilds」らが発見し植え付けた「ツボ」を利用しておもしろさの次元を引き上げた。ここまでレベル/レイヤーの違う謎解きが綺麗に組み合わさったゲームは他にないでしょう。いやーしかし最近神ゲーしか触ってないな。

 

 

 

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(2017)

オープンワールドアクションアドベンチャー

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評価:9

プレイ時間:70時間(クリアまで)

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ティアキンの流行に乗ろうと、ティアキン発売の一週間前くらいにプレイ開始(一緒にスイッチも買いました)。結局発売までにクリアなんて全くできなかったし、満足するまでプレイしたら逆にしばらくティアキンは触らなくていいや…となっている今現在。

回生の祠を初めて出たときの演出で充分に伝わっていると思うが、自然豊かな世界の描写がすばらしい。その風光明媚さがゲーム中の移動を楽しくしている。世界を豊かに描くと移動自体がコンテンツになる。

移動の楽しみを増す要素として祠やコログなどの細かな到達目標というか探しものが世界中に大量~~~にある。おかげで寄り道が止まらないしゲームプレイも止まらない(ずるずると長時間プレイしてしまう…)。ブレワイのメインコンテンツはストーリーでも戦闘でもなく、移動と探索なんだろうなと思う。

ストーリーへの没入感を高める仕組みも良い。主人公リンクは初め記憶喪失の状態であり、それはまだゲーム内世界についてなにも知らないプレイヤー自身の状態と文字通りリンクする。プレイヤーはリンクを通じて・リンクと一緒に世界や歴史、そして自身の使命について知っていくことになる。

とはいえストーリー自体はかなり薄味で……まあこれはエルデンリングもそうだったんだけど、おそらくプレイの自由度とストーリーのおもしろさは若干競合状態にあると思う。ストーリーを強めると、主人公のロールを演じることへの要求がどうしても強まってしまうから。自由な「移動と探索」を一番の強みとするなら、この程度まではストーリー要素を弱めなければいけなかったのかな、という。とはいえ、昔の記憶を思い出す場面は毎回興奮したし、リンクに思いを寄せているミファー関連のストーリーは胸熱だった。……今思い返してもゾーラの里でのゲーム体験は完璧だったなと思う。

料理のシステムや気温・温度のシステム、服装(装備)のシステムに(リンクの発する)音まわりのシステムなど、すべてはゲーム内世界の解像度を上げることに奉仕していて、プレイヤーはリンクを通じて世界の手触りをつぶさに感じ取ることができる。そしてこれこそが「ブレス オブ ザ ワイルド」であって……つまり本作のテーマなんだろうなと思う。

実際にプレイしているとかなり作業的になってしまい飽きてしまう部分もあるのだけど、それを差し引いても、このテーマで一本ゲームを完成させたことは偉業だと思う。BGM関連の制御なんかに顕著ですが、作り手の美学がしっかりと感じられる神ゲーでした。美しいです。

 

 

 

メトロイド ドレッド(2021)

メトロイド

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評価:9

プレイ時間:13時間

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せっかくスイッチを買ったので前々からプレイしたかったタイトルに手を付ける。これはね……紛うことなきメトロイドでした。メトロイドという大きな看板を背負うタイトルに期待されていたものがちゃんと揃っている。その上で、操作性や快適さに関わる細かな部分を限界まで突き詰めることによって、一本のゲームとして完成されたものになっている。

欠点があるとしたら良くも悪くもメトロイドということで、なにか根本的に新しいおもしろさのようなものは無かったこと。ただこれに関しては、メトロイドシリーズゲームデザインが昔から完成されすぎていたということもあるので……なかなか難しいなとも思う。いや、メレーカウンターは新しいか。メレーはめちゃよかったです。気持ちいい(→『サムスリターンズ』で登場してたらしい…)。

ストーリーは、序盤は少し解釈の難しいところもあった(初見時オープニングでなにが起こっていたのかよく分からなかった)し、語り口も全体的に大人向けという感じだったけど、終盤でシリーズ全体の伏線を勢いよく回収し、見事にシリーズに区切りを付けていた。マップのデザインも過去作同様とても洗練されていて……やっぱ非常によくできていた。モーフボールがなかなか手に入らないみたいな「外し」もやりますねえ…!という感じ。初見プレイ時に(自分いま贅沢してるな~)と感じられるゲームってやっぱいいですね。明らかに手の込んだ創作を、なんの躊躇もなく、自分の好きなペースで楽しんでしまう。アクションゲームって贅沢だ……。

シリーズ経験者からすると大きな驚きはないけれど、もともと傑作揃いのシリーズなため、ファンの期待を裏切らなかっただけでもすばらしいと言える。

個人的な小さな要望としては、ボス撃破時とかのムービーを後からいつでも見返せるようにしてほしかった。今作、ムービーがとても良く出来ているので……。映像自体もだけど、映像内でのサムスのキャラ付け(芝居)がべらぼうにかっこいい。え、サムスってあんなにクールでかっこいいの!?って最初のボス倒したときに感動しました。脱力しながらも敵の動きを注視し、かつ手にはチャージを溜めている、みたいな。強キャラ感がすごい。あそこまでケレン味のある芝居、そうそう見ませんよ。

 

 

 

Death’s Door(2021)

クォータービュー3DアクションRPG

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評価:9

プレイ時間:13時間

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知人のおすすめでプレイ。ゲーム性のベース部分はTunicとよく似ている。ということは2Dゼルダにも似ているということで……改めてゼルダって偉大だなとも思う。燭台に火を付けたり、爆弾で壁を破壊したり、遠距離攻撃で遠くのスイッチを押したり……レベルデザインに関わるギミックがだいたい登場してるからなあ。

話を戻して……本作は非常にオーソドックスな作りをしていて、正直、ジャンルを開拓するような目新しい要素はない。ぶっちゃけ、トレーラーを初めて見たときあまり心が惹かれなかった。それでもしっかりおもしろいのは、上述のメトロイドドレッド同様、ゼルダライクなアクションRPGというゲームデザインの強度の高さゆえだろう。

…なんて書くとあまりポジティブに聞こえないかもしれないけど。クオリティは非常に高いです。これまたぶっちゃけ、「全体的に少し地味」ということ以外に非の打ちどころがない。普遍性のある少し世知辛いストーリーも、いい具合にデフォルメの効いたグラフィックも、肝心要のアクション部分も、すべてがハイレベル。

ただ……このゲームのキモと言えるような突出した部分がないのも事実で……なかなか推すのが難しい作品とも感じている。しかしゲーム体験の濃密さは明らかに傑作クラスで、本作を触って後悔するようなことはないだろうと断言できる。ボリュームも適度に軽いし、ぜひ気軽に触ってみてほしい。

個人的には登場機会のわりに強烈な印象を残していった死神ちゃんに興味あり。死神サイドを描いた続編とか出してくれないだろうか。一応本作も、同じ開発元(Acid Nerve)の過去作である『Titan Souls』と世界観的に通じているところがあるらしいので……その流れを見るに可能性はないこともないんじゃないかなと思うのですが。なんか明らかにプレイヤーを認識してる振舞いしてたんですよね死神……

 

 

 

ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(2023)

ハイスピード3Dロボットアクション。

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評価:10

プレイ時間:一週目クリアまで15時間、三週目クリアまで32時間

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前作からなんと10年ぶりらしいシリーズ新作。シリーズには一度も触れてなかったのだけど、SEKIRO、エルデンで信頼が積みあがっていたし、これだけ間が空いたのだから新規向けにもなってるだろうという予想もあったし、なにより自分の視界内で話題になっていたのでプレイしました。結果、非常に楽しめた。

以下、良かった点を挙げていく。まずアクションゲームとしてのおもしろさ。回避やパリィ主体のSEKIRO系統のゲームとは別の種類のおもしろさがある。ジャンルが違いますねこれは。どちらかというと「近接攻撃ありのシューティング」に近いのかな。形式についてはともかく、おもしろさのキモは「ほぼ反射での操作を要求されるレベルのスピード感」と「攻撃の爽快さ」にあるのかなと思う。自機、敵機、敵の弾にフィールドなど、そもそも情報量が多い上に全体のスピードが速いので、戦闘に入るともうほぼパニック状態というか、リアルでスポーツをしてるときみたいな覚醒状態(?)になっちゃうのですが、これがとてもスリリングでおもしろい。そして敵をダウン(スタッガー)させてから攻撃を畳みかける爽快感。通常時とダメージ効率がぜんぜん違って、正直脳汁が出る。このシステムのおかげでメリハリや駆け引きの深さが生まれている。

そして上記のアクションのおもしろさに通じる点でもあり、また自分がシリーズ初体験ということもさらにプラスに働いてるような気がするんですけど、もう一つのおもしろさのキモとして「全体のスケールの大きさ」がある。とにかく自機がデカくて、自機の大きさを基準として描かれる世界やマップもデカい。この全体的なスケールの大きさになにか原始的なおもしろさが宿っているように思う。

経験者にしか伝わらないと思うんですけど、自分は車の運転を思い出したんですよね。基本的にチキンな性格なのではじめは運転も恐る恐るだったのですが、それでも慣れてくると運転を楽しく感じられるようになったんです。その楽しさの根源って、自分の身体を車に接続したことによる、(車体のサイズに合わせた)自意識のスケール感のアップにあったと思うんですよ。徒歩と車での移動を比較してみてください。徒歩よりもずっと小さいエネルギー・肉体負担で徒歩よりもずっと加速するし移動できてしまう。できることのスケールが大きくなって……あたまの悪い表現かもですが、全能感を感じるんですよね。それと同じことがAC6にも起こっている。

まあこれは自機が人間よりも大きいゲームにはみんな当てはまるとは思うのですが……でもAC6のスケール感の大きさは、現時点では文字通り世界一なんじゃないだろうか。ストライダー戦とか本当に感動しました。あんなスケールのデカい敵(マップ?)見たことない。あのレベルまでいくとセンスオブワンダー的なものを感じてしまう。そしてスケール感を感じさせる……自分を巨大だと思わせるためには、逆に小さいものを丁寧に描かないといけなくて。ミクロからマクロまで、異なるスケールのオブジェクトがしっかりと作り込まれたAC6のマップは本当~~~にリッチだと思います。こんな贅沢なゲームないよ。確実に値段以上の価値がある。

長くなってますがご勘弁。アクション部分だけでなくストーリーもおもしろいんですこのゲーム。具体的に語られない部分が多くてモヤモヤすることも多いフロムゲーですが、今作にはしっかりと本筋があり、そしてそれがはっきりとプレイヤーに語られる。前から思ってたんですけど、ストーリーってやっぱしっかりとドラマを作って、それをはっきりとプレイヤーに伝えるのが第一で、「想像の余地を残す」なんてのはアディショナルな部分なんですよ。優先度の話です。今作ではその優先順位がしっかりと守られている。まず第一に、本筋のストーリーがドラマチックでおもしろいんですよ。傭兵としていろんな陣営で働いて、さまざまな価値観を提示した上で、最後はプレイヤーに選ばせる、みたいな構成も嵌まってますし。その上で、想像の余地も多分にある。なんというかストーリーのおもしろさのバランスがしっかり取れているんですよね。受動的な部分、能動的な部分。

そして……これは個人的にフロムに対する印象が変わってしまうレベルのことだったんですけど、登場キャラクターの魅力がすごい。ソシャゲじゃないんですけど、キャラものとしても楽しめるレベルに登場人物全員キャラが立っている。実際、ゲーム内でキャラクターの外見が描かれることがないにもかかわらず、現実ではSNSで二次創作(?)が溢れかえる事態になっている。異常だよ、集団幻覚すぎる。しかし実際……実際キャラクターがすごく魅力的なんですよ。音声しかないから逆に想像を掻き立てられる、というメカニズムを差し引いてもキャラ立ちがすごい。「乙女ゲーみたい」なんて感想もありましたけど、いやほんとそうなんですよね……(全キャラから主人公に矢印が向けられている図が浮かぶ)。もう全キャラ好きですね。あ、いやドルマヤンだけはそんなに好きじゃないかも。とにかく、フロムゲーでこんなにキャラに萌えさせられるとは思わなかったです。くっそ~~~。。「火を点けろ、燃え残った全てに」っていうキャッチコピーを見るたびにウォルターの声で脳内再生される身体になってしまった(それ以外にも脳内再生しちゃうフレーズがたくさんある)。おれの負けです。

長いのでもう終わりましょう。一部、迷路みたいになってるうんこマップがあったり、細かなマイナスポイントはありますが、それらを超余裕で上回る良さがあります。アクション、マップ、ストーリー、キャラ……。そして難易度のバランスも個人的にはちょうどいいと思います。敵の強さ以上にプレイヤー側の工夫の余地がある。初期装備で行けるところまで行って、特定の強敵で詰まって、初めてアセンブルを変える。ここまでは全員が通る道で、チュートリアルと言ってもいい。アセンブル変えたら余裕で勝てちゃったという体験……色んな強い武器があることにさえ気づいたら、もうその人は最後までプレイできるんじゃないか。

ストーリーの引きはあるし、キャラは魅力的だし、そもそもアクションが気持ちいい。エルデンリングもかなり間口が広かったと思いますが、それよりもさらに間口が広い。本当に広い層が楽しめる、すばらしいゲームだと思います。シリーズ経験者はまた違った感想になると思いますし、実際、シリーズ初見ゆえのバフがかかっている面もあるんですけど(特にスケールの大きさの話)、個人的には余裕で神ゲーでした。神ゲーしか作らないのかこの会社は。細かい部分は触れられていませんがこの辺で。

 

 

 

ElecHead(2021)

2Dパズルプラットフォーマー

www.youtube.com ※少し謎解きのネタバレあり

評価:9

プレイ時間:2時間半(クリアまで)

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ツイでたびたび見かけてて気になったのでプレイ。「自分の頭から常に電気が流れる」という超シンプルなルールでここまでの奥深さを作れるとは。

シンプルさと奥深さを両立させているという意味で印象としては『Celeste』や『ゼリーのパズル』に近い。それらと違うのはより「カジュアルさ」を志向している点で、今作は一日と言わず数時間でクリアできるボリューム感。

音楽もいいし操作性も問題なし、全体に完成されている。個人的に少し弱いと感じるのがストーリー部分で……そもそもこれはストーリーだったのかな。ストーリーの薄さがクリア時の達成感・満足感の少なさに繋がっていて、そこだけが不満かな。ただパズルとしては一級で、謎解きは間違いなく楽しいです。

ああ、でも……やっぱもうひと押し欲しかったかな、と思わなくもない。カジュアルすぎて、きれいにまとまりすぎて、衝撃がない。あまり記憶に残らない。個人的に『Celeste』や『ゼリーのパズル』がなんでこんなに記憶に残ってるかというと、たぶん高難易度だったからで…。シンプルに難易度と達成感って比例するんでしょう(それゆえにどちらも完全クリアはいまだにできてないのだけど)。

しかしカジュアルさの良さも分かるので……難しい問題ですね。なんか雰囲気暗くなっちゃいましたが、とにかくこのゲームは傑作と呼べるレベルにあると思います。おすすめです。(なんとなく、もっと丁寧にプレイすればよかったかな、とか。頭で理解する前に進めちゃったところもけっこうあるので…。)

 

 

 

ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム(2023)

オープンワールドアクションアドベンチャー

www.youtube.com

評価:10

プレイ時間:90時間(ストーリークリアまで)

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文フリも終わったし……と満を持してプレイ。まだまだ遊び尽くした感じではないのだけど、ストーリー部分はクリアしたので、忘れないうちに感想をまとめておく。……しかし、クリアのタイミングが引っ越し作業と完全に被っており(まさに引っ越しの前日にクリアした)、引っ越し自体もかなりインパクトのある出来事だったので、ちょっと印象が薄れているかもしれない。

基本的なシステムや世界観は前作であるブレワイから地続き。基本的な能力のマイナーチェンジはあるものの、ゲーム部分のおもしろさの質は変わらない。散歩楽しいし探索要素は無限だし。一応、能力の一つに「ウルトラハンド」という、物と物をくっつけるものがあり、それがいわゆるクラフト要素を生んでいて、実質無限の遊び方ができるようになっていて本作のトピックの一つだと思うんだけど~~~ここではこれ以上は触れません。クラフトってそれだけで一本ゲームが作れるようなすごいシステムだと思うんですけども。(後から思ったけど、このクラフト要素って実況プレイと相性が良くて、それはけっこう狙ったものかもな、とか。他人がウルトラハンドで意味わからないもの作ってるの見るの楽しいです。プレイヤー一人一人考え方が違うってことが可視化される。プレイヤー側、ひいては人間の多様性をそのままおもしろさに接続するのがクラフトってシステムなんだなあ、とか。まあ祠の謎解きも似たような側面がありますけども(解法が人によってぜんぜん違う)。それで言うなら看板立てるあのイベントもそうか。と、横道ですね。)

探索のおもしろさはそのままに、単純にボリュームが増えました。それも3倍以上に。アホか。ブレワイだけでもプレイに100時間以上かかっとるんやぞ。どれだけ時間を奪う気なんだ。

水平方向は変わらずに、垂直方向にダイナミックに世界を拡張。空と地底、そして中間地点として井戸や洞窟を含めて3倍以上ということです。頭おかしいよ~~~。ゲーム的なギミックに生態系などの世界観面はもちろん、なにより景観が地上とまったく違っていて、冒険の楽しみがいや増している。地底は文字通り真っ暗な世界なので、手探りで探索している実感がすごい。オープンワールドということでそれらの世界はシームレスに繋がっていて(これもすごくないですか)……だから時には空から地底まで一直線に落下したりすることも。ダイナミックすぎるだろ。

探索面以上に強化されたのがストーリー面。ブレワイ唯一の弱点とも言えたストーリー関連ですが、今作ではむしろゲーム全体で一番のストロングポイントと呼べるまでになっている。ゲーム体験に深くかかわる部分なので詳しくは書けませんが、とにかくプレイヤーのモチベーションを上げてきます。オープンワールドゲーでここまでストーリーの圧が強いのも珍しい。個人的にも、ここまで(クリアしなきゃ…!)と思わされたゲームは初めてです。「使命」っていう言葉の意味を噛みしめる。他の誰でもない、自分自身がやらなくちゃいけない。

プレイ時間90時間ってなってますが……これ、早いんですよね。いつもの自分ならもっと世界を探索してからクリアに向かうと思うんですよ(クリア時点で全体の半分も探索できていない)。それでもクリアに向かったのはゲームの、ゼルダのストーリーを知ってしまったから。知ったら、もう動かないわけにはいかなかったんです。探索なんてしてる場合じゃなかったんだ(とはいえ、それまでの道程も決して無駄ではないのだけど)。

ということで、もし未プレイ者がいたらアドバイスなんですけど、メインストーリーを追うタイミングは少し考えた方がいいです。ストーリー見たらクリアしたくなっちゃうので。あともう一つ書いておくと、剣の絵柄の記憶は最後に見た方がいいです。自分はプレイ中にこのアドバイスを頂いてとても助かりました。改めて感謝。

またちょい横道なんですが、ゲームのシステム面……ワープや祠、モドレコや果ては回避ラッシュなど、そこらへんを上手くストーリーに結びつけてるのもすごかった。回避ラッシュって、傍から見たらそれこそキングクリムゾンやスタープラチナみたいな人間離れした芸当なわけですが、それを敵に使わせることでリンクと同じレベルの格を表現するという。逆に(やっぱリンクって異常なんだな)と再確認することにもなるんですけど。

全体のボリュームは爆増し、クラフト要素も備え、唯一弱かったストーリー面もこれ以上ないほどに強化。ゲームとして本当に完璧になりました。紛うことなき神ゲーだと思います。しかし全体を振り返っても、やっぱりストーリー面が一番語りたくなっちゃうな~。そのくらい刺さりました。そんなにムービーが多いわけでもないのに超感動した。ラストバトル以降のプレイとストーリーが完全に一致した演出も本当に素晴らしい(改めて振り返ればマスターソードを抜くシーンもすごい…)。話自体もまさに「伝説」の名にふさわしいスケール感。「ゼルダをさがして」チャレンジ完了のタイミングよ…。

寂しいのは、ブレワイ~ティアキンの舞台となっている世界を、世界観を今回のストーリーで全て使い切っている感じがすること。うまく言語化できてないかもしれませんが、とにかくティアキンは全力投球してて、完全燃焼しているんですよ。常人にはできないすごいことなんですけど、同時に「終わり」って感じもすごくするんですよね。そこだけがちょい寂しい。せっかくならブレワイ~ティアキンのストーリーをまとめて映画にでもしてくれないかな、と思ったりするんですけど……そういえば少し前にゼルダの伝説の映画化のニュースがありましたね。それがブレワイ関連のものになるかは分かりませんが、期待しています。長くなりましたが、文字通り神ゲーということで。

 

 

 

パラノマサイト FILE23 本所七不思議(2023)

360°視点のポイント&クリック型ホラーアドベンチャー

www.youtube.com

評価:9

プレイ時間:14時間

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プレイする直前まで「パノラマサイト」って読んでました。視覚的な意味の「パノラマ」と、超常的なものを意味する「パラノーマル」をかけているんでしょう。いいタイトルだと思う。

序盤のストーリー展開の加速度がすさまじい。テキストアドベンチャーっておもしろくなるまでに時間かかったりしそうなので、この掴みの強さは長所だと思う。

ジョジョのスタンド戦(汚い聖杯戦争?)を思わせる序盤を抜けると王道のホラーxサスペンスへ。とにかくもろもろのバランスがいい。ちゃんと怖いけど怖すぎないし、真面目だけど笑いもある。ちょうど良すぎて逆に特筆することがないレベル。

個人的に感心したのは「謎解きの難易度設定の適当さ」。言葉にしづらいのだけど、アドベンチャーゲームでここまで上手く手綱を握らされたことはない。情報の出し方、プレイヤーの誘導がとても上手い。もちろん人によって異なってくる部分だとは思うけど、自分にとってはまさにジャストな塩梅でした。

キャラクターもみんな魅力的で…。なおかつここからいくらでも、どのようにでも展開を広げられるようになってる感じなので、続編に期待しています。

惜しいなと思うのは突き抜けた点がないということで(だから当たり障りのない感想しか出力できない…)。ストーリーは基本的に現実ベースだし、先に価格(≒全体のボリューム感)が決まっていた企画のようなので仕方ない部分もあるとおもいますが。

ストーリーやキャラなど物語的なところを抜きにすると、一番ユニークなのはたぶん「360°視点」で。これがまたアドベンチャーとしては非常にちょうど良いインタラクティブ性を備えている。バイオでもなんでもそうだけど、ホラーとしてはやっぱ視点という概念って重要で。本作でも視点移動を活かした演出が冴えている。

……ということで、とにもかくにもちょうど良い良作でした。ストーリー面で自分はあまり突っ込んだ感想が出てきませんでしたが、このゲームめっちゃヒットしててプレイ感想もいっぱいネットに上がってるので、そこらへんは他の方の記事で供給お願いします。自分もそうします。

 

 

 

 

 

VIPRPG

・窓から見える(2016)

お気に入り曲まとめ(2023.1~2)とその他 - ヨーグルトーン ←この記事の下方に当時の感想あり。

 紛うことなき神ゲー。ストーリー面で言えば今年(2023年)触れたあらゆるものの中でトップか(早計?)。

 

 

・去り行く運命(2017)

 演出や音楽など全体的なノリが自分には合わなかったが、ストーリーの魅力はしっかり伝わった。なるほどこういう話……。やりたいことがしっかりできているしプレイヤーにもちゃんと伝わっているので傑作。端的に言葉にできない事柄にバシッと焦点をあてられているのはやっぱりすごいことですよ。

 

 

・アイスさん探訪記(2022~2023)

自分では把握できない量のデータが開示されているのだけど、それらを全て把握しなくてもクリアできる……くらいのRPG的な難易度の柔軟性がある。よくわからないことを言っていますがアレです、レベル上げすればみんなラスボス倒せるでしょ?という話です。そんな感じで普通のプレイもやり込みプレイも許容されている、優れたバランス感覚のあるRPG良作でした。

 

 

 

 

 

Inscryption以前にやったゲームたち。記憶が古いのであまり信頼できません。参考程度に見てください。

(後で足していきます)