『魔法使いの夜』雑感想

 ネタバレあります。とりとめないです。

 

 

 

 

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 4/13にfgoの方でまほよコラボイベントの告知があり、また、もういつ買ったか覚えていないのだけどずっとPC版を積んでいることもあって、いいタイミングと思い同人誌の作業の合間を見てプレイしました。せっかくなのでフルボイス化・フルHD化された移植版……のさらにSteam版(2023年12月発売)を新たに購入してプレイ。

 

 プレイ時間:本編20時間、番外編(笑ってはいけない~)4時間

 

 

 

 スクリプト……と言うんですかね、ノベルゲーとしての演出部分が際立っていて、文字通り映画と本(文章)の中間だなーと思う。背景が超美麗でかつ数もあり、よく動くものだから相当な没入感がある。テキストの時点で三人称視点なので、それを起こした画も基本は三人称視点。つまり画面に常にカメラの意識がある。その点で一般的なノベルゲーとは一線を画している。(上に貼った動画はカメラ感が伝わりそうなものを選んだつもりです、一応。)

 物語の全体の半分くらいは日常描写で……しかも青子が「終わったときに互いに傷つかないように」日常が過度に楽しくならないようにセーブしているのでかなり牧歌的。といっても弛緩しているわけではなくて、各々が互いの領域を最大限意識した結果の平穏、という感じで。だからパーソナルな接触はものすごく繊細だったりする(まあ領域を見誤ったら即殺し合いになっちゃうんで…)。

 インタビューできのこが言っているように、雑居が始まってから橙子さんが現れるまでは特に平和で、金鹿みたいに(これがずっと続かないかな)とか思ったりした。その流れで脱線すると、金鹿主役の番外編は人気キャラのヒロイン昇格とhollow ataraxiaを一緒にやったみたいな感じだった(それをあの文量に収めているのだから相当洗練されている)。

 

 ゲーム全体のベース部分がめちゃくちゃ豪華なのだけどやってる話には平穏な部分がけっこうあって、それで「上品」という印象が立ち上がったのだろう。贅沢品ですね。

 

 

 

 

 ⇧橙子戦ラスト、橙子を殺そうとするスーパー青子を草十郎が止めたシーンを見て咄嗟に出た反応。

 

 このシーン、上のツイではまったく言語化できていないのですが、自分は(青子は止まるしかない、完全に詰みだ)と思ったのでした。

 

 上記のシーンが個人的に象徴的なのですが、展開にものすごく説得力があるんですよね。納得してしまう。ここまでに描写された二人の人間性・関係性だったら、ここで草十郎が来たら絶対に青子を止めるし、青子は草十郎に止められたら絶対に止まる、って思った。この「絶対」の絶対さがすごいと思った。

 

 というのも、青子も(このときの)草十郎も芯がめちゃ強くて。あまりに純粋すぎてもう方程式みたいな感じなんですよね。この値を入れたら確実にこの値が返ってくる、みたいな。こういう研ぎ澄まされた人間性描写はきのこの味だなあと思いました。

 

 

 そもそもの話をすると、魔術師という人種全体にそういう傾向(純化、洗練)があるんですよね。魔術師一人一人が数式じみていて、だから魔術師が出てくるととたんに思考実験的な、SF的な味わいが出てくる。一般的には魔術とか魔法ってファンタジーなイメージだと思いますが、きのこのそれは原理はファンタジーでも扱う手付きがとことん科学的で。ああだからきのこ作品ってファンタジーとSFの良いとこどりみたいな感じなのかな(書きながら考えています)。

 

 

 

 そしてやっぱり魔術師戦はめちゃおもしろい。この世で一番おもしろい戦闘描写の一つだと思う。

 Xに物事をなんでもかんでも概念バトルとして見てしまう人たちがいますが、彼らのその仕草の起源にあるのは型月作品なんじゃないか。また脱線すると最近はブルアカにそういう人たちが流れ込んでる感じがあります。まあゲーム内描写(ゲマトリア関連とか)を踏まえるとたしかにそういう見方・楽しみ方ができるのですが。製作陣のギャルゲ趣味を考えれば型月を通ってないほうがおかしいか…。

 

 

 

 キャラクターの人間性については詠梨神父が丁寧に解体というか解説してくれてて……特に青子についてはもうあんまり謎が残ってないような(魔法くらい?)。だからわりと気軽にスター・システムできてるのかもしれない。

 有珠・草十郎は人間性というか背景部分にかなり謎が残ってて、まあここは普通に続編に期待ですね。

 

 人間性に変化の余地があるのも有珠と草十郎で。逆に言えば変化の余地がない…わけではないけど、最初から自分の道を選んでいるから青子は強いんですね。

 

 だから、本作を成長物語として見るなら主人公はどちらかと言えば有珠と草十郎で。エピローグで描写される、本棚の上に隠されたルーンのグリモアは有珠が人間性を拡充したことをも示していて。あれだけ見るとこの先は明るい日常しかないじゃん!と思っちゃうんだけど、でも謎が残っている以上はシリアスもあるんだろうな、という感じで…。

 

 

 

 マジでとりとめがない。恋愛要素の薄さもあって比較的無事に読み終えられました。まあそれはただこの時期の彼らに余裕がなかったからなので未来はわからないんですけど。とりあえずTYPE-MOON Wikiを読みながらFGOコラボイベント、劇場版、続編を待ちたいと思います。月姫PS4初回版買って積んであるんだよ、この流れでプレイしたいな…。