カルメン・マキ&OZ『カルメン・マキ&OZ』 

 

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 今さら聴いた日本のロック名盤『カルメン・マキ&OZ』(75年発表)。上に貼ったツイが初聴時の感想で、いやマジですごいなと思った(思っている)。ボーカルの歌唱力がホンマにすごくて、いや本当に「大魔王」っていう形容が似合うんですよ。世紀末とかにこの声が鳴らされていてほしい。

 

 音楽性はハードロック~プログレ+歌謡曲という感じで、個人的に近いと思ったのは上でも挙げられているけどイギリスのバンドRENAISSANCE。ドラマチックでヒロイックな楽曲と、中心にどっしりと構えるボーカルにそれを脇から支えるバンドという構成と……似ているというか、つよつよなボーカルを引き立てる方向にいくと自然にこういうスタイルになるのかな、という感じ。

 

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 ただ、曲の雰囲気はまったく異なっていて、RENAISSANCEが光なら、カルメン・マキ&OZは完全に闇側です。それこそファンタジーものの定番に当てはめて、勇者側と魔王側としてもいいかもしれない。具体的にはRENAISSANCEが爽やかで牧歌的な面があるのに対し、カルメン・マキ&OZはあくまでハードに徹している感じです。

 

 全6曲で、ドラマチックさを突き詰めた結果として?一曲の尺が長めな傾向があります。その中でも比較的コンパクトにまとまっている#2「朝の風景」が聴きやすくて何度もリピートしてしまう。コンパクトでも内容はハードなままで、特にエンディングの「私はなんにもいらない」の繰り返しは聴いてて死にそうになります。いや朝の穏やかなひとときを描写した曲のはずなのになぜこんなにもハードなんだ…(歌詞参照

 

 自分は今まで触れた日本の音楽作品の中ではサディスティック・ミカ・バンドの『黒船』が最強って言葉に一番近いかなーと今まで思っていたんですが(そんな邦楽聴いてるわけでもないんですが)、この『カルメン・マキ&OZ』も相当ですね…。一応、黒船が74年11月リリースなので、こちらの方が後に発表されているのですが、よくよく調べると『カルメン・マキ&OZ』は75年の1月リリースっぽいので、まあほぼ同時期と考えていいと思います。

 

 全曲強いですが個人的にはA面の3曲が特にお気に入り。軽く調べてみた感じだとサブスクにはないっぽいので、まあなんとかして聴いてみてください。自分はツタヤかジャニスで借りたっぽいです。