お気に入り曲まとめ(2021.6~10)その2

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月ノ美兎 1stアルバム「月の兎はヴァーチュアルの夢をみる」クロスフェード
https://www.youtube.com/watch?v=5rvzyCed6Bo

 その2です。

 

 

 

 

 

月ノ美兎 / ウラノミト、光る地図、みとらじギャラクティカ、部屋とジャングル、ウエルカムトゥザ現世、NOWを、Moon!!(Avec Avec Moonlight Power Pop Re-Arrange)

 from『月の兎はヴァーチュアルの夢をみる』

 この項目だけ文章が長いよ!

www.youtube.com

 

www.barks.jp

 「それゆけ!学級委員長」はシングル出たときに扱ったのでスルー(名曲です)。Sony Musicのページは楽曲ごとのクレジットが書いてないのでこっちのページをペタリ。

 

 アルバムめちゃ良いです。良すぎてかなり聴いたので、お気に入りの曲ごとに一言づつ…。

 「ウラノミト」MONACA広川恵一が作編曲。エレピの幽玄な響きでイントロから掴まれる。どちらかというと線の細い。繊細なボーカルパフォーマンス。MONACA的な情報量の多い忙しない楽曲で、ぶっちゃけボーカルかなり難しそう。最後のサビは直前にブレイクが入るんだけど、これが個人的にはビミョ~に違和感があって、勝手に苦肉の策だったのかな、などと思っている。たぶんアレンジのめちゃ難しいところで、間奏~ブリッジで盛り上げて、その勢いを殺さずにサビに突入するのって、曲によっては新たなパートを書き加えたりする方が楽なのでは…というくらいに難しかったりする…のだと思う。いやまあ聴き流してるとそんなに気にならないんですけど。

 

 #4「光る地図」冒頭のエクストリームな打ち込みで長谷川白紙だなとすぐわかってしまう。メロ部分はなんというかメルヘンチックなのだけどサビで一気に神々しい雰囲気に。初めて聴いたときはサビでマジで時間の流れがゆっくりに…世界がスローモーションになったように感じてしまった。誰でも一発で印象に残るでしょこれ。やっぱ天才なんだよな…。こういう曲久々に聴きました。

 上のツイで触れていますがアイマスの「Mythmaker」とは基本的な構造が似通っているので、片方が気に入ったらもう片方もぜひ。たびたび言及してますがMythmaker超名曲なんで…

 初回特典のBDに白紙からのメッセージ的なものが入ってるんですけど、この曲にはなんか高度な仕掛けがあるらしいです。なんそれ。なんかわかった人がもしいたら教えてほしいな~なんて…。

 

 #6「みとらじギャラクティカ」たまに凄まじいクリティカル出してくると個人的に話題なARM(IOSYS)の作編曲。ひなビタ♪の芽兎めう楽曲なんかを彷彿とさせるこれまた絶好調な一曲。VTuberに限らずキャラクターものの企画ではこういう感じの曲が主流な気がしていて、だから委員長のアルバムもこの路線の曲で埋まるかと思いきや、本人がオタクだったのでそうはなりませんでした。自分もこういう曲が得意というわけではないので当初はふーん…という感じでしたが聴いてたらだんだん馴染んてきた。サビ良いっすね…。今ではアルバムがアートとエンタメのバランスを取るために一番重要な曲だったのでは…との思いも。

 

 #7「部屋とジャングル」堀込泰行矢野博康というベテランによるネオ・シティポップ。超名曲で一番再生してるかも。アルバム中でも完成度が図抜けている。車移動中にベトナム人技能実習生に一回聞かせたんだけどその一回でメロディー掴んでてすごい、いやそうだよな…!と感動。機能性も振り切れている。

 なるほどね~。そうかもしれない。コロナ禍ソングの側面。そして(貼ったツイのリプライでも触れられてるけど)委員長もカバーしたセラニ神曲「ありふれた毎日の歌」とは曲中で描かれるシチュエーションに通じるところがある。だからどうというわけでもないけど!

 

 アルバム中では、なんというかノリや雰囲気が一番古臭い曲……なんだけど、怒涛のように押しよせるヒロイックなメロでノックアウトされる。隙を生じぬ下降クリシェの二段構え。元JUDY AND MARYのTAKUYAが作曲で、言われてみればそんな気もしてくる。るろ剣がもし再アニメ化したらこの曲タイアップしましょう。

 

 Seiko Ito(いとうせいこう)全面プロデュースの#9「NOWを」。光る地図に並んでサビでぶっ飛ばされた曲。サビで裏拍に乗るのが気持ちいいし、自然とそうなるようにデザインされている。あとDJ KOOみたいな合いの手が良いですね。

 サビで爆発するために、それまでに温度を上げていかなきゃならないんですけど、その役割を委員長のラップが9割くらいの割合で担っていて、で実際にサビに至るまでに聴き手をぶち上げさせているのですごい。いやマジで委員長すごいと思います。「これがロックスター?ただの虚空じゃないか」「これがアイドル?ただの騒いどるじゃないか」といったニヒルな詞もよく嵌っている。

 この曲も実習生秒で馴染んでました。最後のサビで曲に合わせてHO! HO!言ってて笑った。

 

onmokoblog.com

mato-liver.com

 #10「Moon!!(Avec Avec Moonlight Power Pop Re-Arrange)」。調べてみると元々は委員長のファン発のオリジナル曲らしい。愛されてるな。。それを今回Avec Avecがリアレンジして収録したと。アイマス感というか素直なアイドルソング感があって安心する。アルバムの締めくくりにちょうどいい温度感・スタンダード感があります。めちゃくちゃなお気に入りではないので上で名前は挙げませんでしたが、せっかくなので触れました。

 

 長い! 結局ほとんどの曲について書いてしまった。いいアルバムなのでみんな聴いてね。

 

緑仙 with DJ WILDPARTY / 夜明けまで

www.youtube.com

 流れで同にじさんじ所属のVの曲を。これも切なげな夜街ポップ。ブリッジ部分の「あぁ、」と下がるところがめちゃくちゃいい(動画だとちょうど1:21のあたり)。

 

 

 

 

 

捨てアカレコメンド

 8月の下旬、捨てアカさんが何気なく放ったこのツイがアンビエントファンにけっこうな影響を与えました。捨てアカさんとは日本のレーベルLocal Visionsの偉い人で、さすがのセンスで良い音楽を紹介してくれるのでこのブログでもたびたび言及されています。

 画像だけでは情報が掴めなかったりしたので極東極楽さんなどがリプで直接作品について聞いてくださいました(感謝…)。せっかくなので作品のリンクをまとめて貼っておこうと思います。まだ消化できたわけではないので…まあ、メモですね。

Danny Scott Lane『Caput』

Marigold Sun『Swimming』

Blank Gloss『Melt』

G.S. Schray『The Changing Account』

 

 

 

 

 

 

Nala Sinephro / Space 1、Space 4、Space 7

 from『Space 1.8』

www.youtube.com

 

 流れでこちらもご紹介。この作品も捨てアカさん経由で知った作品で、流してみて本当に良いじゃん……と思ってたら翌日にピッチフォークでBNM認定されるという…。

 空間的な音遣いが印象的なアンビエント+ジャズ。丸い音色のハープを中心に、薄靄のようなシンセサイザーとフィールドレコーディングが聴き手を包み込む1曲目「Space 1」から作品世界に引き込まれる。その後もややフリーキーになったりエクスペリメンタルに寄ったりしつつもスピリチュアルな音世界をさまよっていき、最後は20分近くもあるより抽象的な大曲で締め、という…。

 隙間がたっぷりあるのでリラーックスできます。前回紹介したArooj Aftabの作品がフィーリング的には近い。二作合わせて秋の夜長に。え、もう冬? いやだ、ずっと秋でいてくれ…

 

 

 

 

 

 

Phonolite Strings / カフェおじさん、No Miss K、Morning Haze、Song 315

 from『Phonolite Strings』

www.youtube.com

 ツイで何度か言及してるのでツイ見てる人は知ってるかもしれない(特にリアクションをもらったことはないけど)。今回のイチオシ!

 

公式サイト?

www.ab.cyberhome.ne.jp

 

 基本情報について、公式サイトから引用。

水谷浩章が主催する"phonolite"(木管金管、弦を含む十数人編成のオーケストラ。2003年~)より、ストリング・セクションのみを抽出したコア・ユニット。ビオラ、チェロ×2、コントラバス、という変則的なストリング・カルテットに太田朱美(フルート)をむかえ、2012年、アルバム "phonolite strings" をリリース。
柳原陽一郎浜田真理子原田郁子クラムボン)、青葉市子、柴草玲、さがゆき、高瀬"makoring"麻里子(DiVa)らとのコラボレーションなど、その活動は多岐に渡る。

 

 水谷浩章個人の経歴についてはこちら。

www.jazz.co.jp

 過去には、Tipographica大友良英ニュー・ジャズ・クインテット山下洋輔(p)のグループなどに参加していたようです。

 

 作品について、もう全部良い……。なんというか、オケは好きだけど金管楽器の音が苦手というタイプの自分にとっては、Phonolite Stringsはもう編成の時点で神!という感じで、もはやこの編成であればどんな曲を演っても好きになっちゃうのでは?まである。

 アルバムの「Phonolite Strings」はけっこう過去作の再演があるのですが、今回のアレンジが一番音色的に柔らかくて、自分にはフィットしています。というか、今作バージョンのアレンジに慣れちゃうと他の……以前のアルバムに収録されていたバージョンを楽しめなくなってしまうのではないか、という危惧が…。

 「カフェおじさん」はおそらく97年に発表された曲で、時期的にTipographicaからの影響があるのではないかと思う。ループやリズムが掴みづらい、不思議でポップな味わいの一曲。演奏ももちろん良いのだけど、それ以上に作曲がすごいと思う。良すぎて聴きまくった結果メロディーを覚えてしまったのだけど、その状態でもこの曲が何拍子の曲なのかわからないという…(一度譜面を見てみたい)。

 「No Miss K」これも不思議な空気の曲。Hatfield And The Northの楽曲のようにポジティブ~ネガティブなムードの間をゆらゆらしつつ緩やかに高みに昇っていく。この微妙~な動きがね、言葉にならない良さ…。

 あとはもうね、実際に聴いて良さを確かめてもらって…。たぶん上に貼った「カフェおじさん」だけで良さは充分伝わると思うので。。でも改めて聴くとやっぱ、コードのチョイスがすごいなと思います。ふわふわした不思議な空気がある。

 

 一応、一般には流通してない作品っぽいので、自分がCDを買ったお店のリンクを貼っておきます。自分が作品を知った7月終わりごろには「売り切れ」ってなってたんですけど、問い合わせたら入荷してくださいました。今注文すればすぐに届くと思います。

phonolite strings『phonolite strings』

 

 

 

 

 

 

ゑでぃまぁこん / くさり、夏虫、影列車、みらいのくうき、てんとちと

 from『綿の煙の招待状』

www.youtube.com

 

eddiemarcon.com

 

 フルート繋がりでこちら。姫路のやわらかフォークグループの作品で、音源入手できていないのだけどもう……何度も聴いてしまった……。

 個人的なお気に入りアルバムの『やっほのぽとり』と同じく2009年にリリースされたらしい。あまりグループのことは知らないのだけど、なぜ1年の間にすばらしい作品を二枚も…?(すごい)

 1曲目2曲目は長いイントロダクションといった感じ。続く「くさり」~「夏虫」~「影列車」という中盤の流れがフェイバリット。特に「くさり」はアルバムのリードトラックとも取れそうな出来で、彼らにしては珍しくはっきりとしたサビがあり、テンション高く歌い上げている。

 自分が彼らに出会えたのはCDレンタル屋(ジャニス)のおかげで、そこに置いていなかった過去作品(本作を含む)はいまだに聴けていないので、普通にどんどん作品を流通させてくれ!と思っていますが、インディーな方々っぽいのでそれも難しいのかな…とか。本当はYouTubeで聴くのもよくないのだろう(アーティストがアップロードを認可してる場合もあるけど今作は違うような気がする)。さかなとか、似たような状況にあるアーティストもけっこういますが。

 

 アルバム再発してくれ!

 

 

 

 

 

 

長岡成貢(作曲) / 恋はDISCOMMUNICATION、ママがサンタにキスをした(カバー(トラディショナル?))、鷲羽の子守歌、眠れる縁側の美女、ちょっと無口な女の子

 from『天地無用! 歌う大決算!!』

ちょっとクラゲファンタジーソーダ思い出す。

 ツイ経由で知ったやつ。個人的キーワードは「長岡成貢」で、プリティーシリーズで数々の名曲を手掛けていたことが記憶にあったので、気になって聴いてみたら……良かった……。

 原作はすごい長寿なアニメシリーズで、なんか最近もやってたらしい…? 機龍警察やウテナ月村了衛が脚本やってた、ということだけ知ってる。

 ボーカル曲だけをまとめたCD6枚組のボックスがあったのでそれを中古で入手して聴いてます。サウンドには時代がかったものを感じます(サザンのKAMAKURAみたいな)が、楽曲にはやはり古びない良さがあると思います。歌謡曲のね、精髄が詰まってると思う…。SMAPを筆頭にJ-POPの世界でも活躍していた方なので、そういう音楽が好きな人にもきっとハマるでしょう。

 

 お気に入りに挙げてないけど、この曲の合いの手が愛に溢れすぎてて聴くたびにじ~んときてしまう。。

 

 

 

 

 

 

Viper / I Ball For Gunshots、I'm That S-West Blood、This Is How I Ball、That Baller Out Your Best Side

 from『You'll Cowards Don't Even Smoke Crack』

www.youtube.com

 

www.tinymixtapes.com

 

 なんとなく見たTMTのディケイドのベスト企画記事で発見した作品。調べてみると2008年(!)にリリースされたものが2013年くらいにネットでミーム的な広がりを見せて話題になったらしい(ジャケットが印象的なので…)。もこもこしたサウンドにややゆっくり目なテンポ、やる気の感じられないラップとかなり脱力した内容で、スロウな日常生活にけっこう合うためリピートしていた。

 2008年ってかなり早くて、チルウェイブの流行より前なんですよね。そしてもちろんクラウドラップの流行よりも前……ということで、上記の2ジャンルの特徴を備えたこの作品が2008年に出ていたということに驚いています。

 そして何気なくウィキのクラウドラップのページを見てみたらちゃんとViperの名前が出てきていいね~となった。のだけどあれ、よく見ると取り上げられてるアルバムはこれじゃなくて、さらに前、2006年の『Ready & Willing』という作品で…… もしかしてViperって思ったよりもすごいアーティストなのでは?となってるのが現在。

 

 一応Spotifyにもあるので聴いてみるとたしかにそういうサウンドをしている。『You'll Cowards~』よりもこっちの方がポップかな? でも『You'll Cowards~』はこれはこれでJerry Paper『Fuzzy Logic』的ふにゃふにゃの極致に達してるのですごいと思うんだよな。。と思ったらこっち(『Ready & Willing』)も中盤けっこうそういう領域に達してて草。すごいじゃん……

 いや、すごいと思います。知ってたら前の00年代個人的まとめ本で取り上げてましたね。とりあえず今回は『You'll Cowards~』を取り上げたことにして、過去作もちょっとずつ聴いた方がいいかも。特に『Ready & Willing』は名盤な感じする。あとウィキに載ってたLil B『6 Kiss』も。CDは2010年だけどデジタルでのリリースは2009年だったっぽいので、一応クラウドラップの流れを掴むために…。蛇足ですが個人的にクラウドラップの走りはタイラーの『Bastard』(2009)だと思っていました。いやまあそれっぽいサウンドっていっぱいあるんですけどね、トライブの4th5thもぽいし……

 

 

 

 

 

 

Stephan Mathieu & Ekkehard Ehlers / New Years Eve、Rose、Turkey Song、Supertramp、Vinnies Theme、New Years Eve

 from『Heroin』

www.youtube.com

 前回のミックスを作るきっかけにもなったStephan MathieuとEkkehard Ehlersのコラボレーションアルバム。2000年の年末から2001年の年明けにかけて約一週間でレコーディングされたらしい。

 ドローンやグリッチを組み合わせた抽象的なアンビエント。アルバム序盤、#1~#4の流れがキャッチーかつとても強い雰囲気を持っていて作品に引き込まれる。特に「Turkey Song」は印象的で……美しい楽曲がボロボロに掠れたサウンドで奏でられることで儚げな雰囲気が超引き立っている。実はミックスで使おうと思っていたけど雰囲気強すぎてミックスの流れに組み込むのが難しそうだったので断念しました。

 アルバムで見るとけっこうよくわからんところもある(同盟の曲が複数あったりする)作品だけど、音的なドッキリポイントがないことと、うっすらとだけど流れにメリハリがあることなどから一枚通しで聴きやすい。

 なにか革新的なポイントがあるわけではないのだけど、儚げで祝祭的でちょっぴりノスタルジックな雰囲気が唯一無二なため、結果的に唯一無二な立ち位置にいる、みたいな作品です。似たような空気・雰囲気の作品が浮かばないです。ピッチのレビューで「(作品が)小さなモノクロ映画のように感じられる」と書いてあって、たしかにそれはあるかもなーと思いました。

 

 

 

 

 

 

Alejandra and Aeron / Scotch Monsters(アルバム)

 上の『Heroin』に続いてミックスの話題。ネタ探しのためにSonigやらKaraoke Kalkやら、00年代に輝いていたエレクトロニカアンビエント系(というと語弊があるか)のレーベルを調べていて、やがてたどり着いたのがLucky Kitchenというレーベルで、そこのオーナーがAlejandra and Aeronというデュオユニット。『Scotch Monsters』は彼らの3枚目だか4枚目だかの作品らしい。

 フィールドレコーディングとささやかな電子音の組み合わせによる、これまた抽象的なアンビエント。『Heroin』よりも「曲っぽい」曲が少ない。とはいえ作曲感がゼロというわけではなく、非常に繊細に音をコントロールしてるなと感じるところもある。

 …まあ正直、こういうアブストラクトな領域に強い人でもないので、評価もあんまりアテにならないとは思いますが、個人的にはアンビエントとしてはかなり質の高い作品だと思います。音色のチョイスしかり、音の配置しかり、ポップ的なバランス感覚しかり……。

 

 一応、調べたところによると、スコットランドのモンスター…というか精霊をコンセプトにした作品らしいです。ゲーム好きには伝わると思いますが「Brownie」「Pixie」などの曲名は精霊の名前で……あるインスタレーションで、アーティストは本作を流すことで民間伝承に伝わる悪霊を追い払うバリアとした……みたいな記述がネットで見つかります。なので、それぞれの精霊について調べることで「どうしてこういうサウンド・曲なのか」ということについて理解を深められるかもしれません。

 過去にはとある地方に密着して土着の民謡などを録音した作品なんかもリリースしており、なんというか民族学的なアプローチをしているアーティストのようです。おもしろいですね。

 

参考リンク:

imomus.livejournal.com

 

Alejandra & Aeron – The Scotch Monsters

 

note.com

 

 

 

 

 

 

Arovane / Tides、Tomorrow Morning、Seaside、Deauville、Epilogue

 from『Tides』

www.youtube.com

 これは前回(1~5月分で)取り上げるのを忘れてたやつ。薄い本で取り上げるか迷って取り上げなかった作品です。でもミックスで収録曲使ったからタイミング的には今回取り上げてもいいか…。

 ピッチのIDMオールタイムベストやRAの00年代ベストに掲載されています。ジャンルで括るならIDMダウンテンポアンビエントという感じ。ビートもメロディーも明快で聴きやすい。一曲一曲はっきりとした雰囲気があり、それらは総じて陽性というよりは陰性です。元気がいいわけでも爽やかなわけでもないですが、しっとりとした、冷ややかな空気があります。

 作品全体でチェンバロとギターをフィーチャーした、海をテーマにしたアルバムということで、フェネスの『Endless Summer』と並置してみてもいいかもしれません。タイトルがほぼ同じだしAntônio Carlos Jobimの『Tide』なんかも…。ただ、ジャケットの印象に引きずられているかもしれませんが、こちらの方がずっとクールで、無機的で、なんというか人工的なイメージがあります。海は海でも、ちゃんと護岸されてる!みたいな。

 #2「Tides」は活動的なパートと鎮静的なパートが交互に繰り返される曲で、曲名が「潮汐、潮の満ち引き」を意味していることを知っているとその表現にも納得がいきます。#4「Tomorrow Morning」は非常にドリーミーな味わいの曲で、BOCの曲と言われても違和感がありません。続く「Seaside」とセットでそれまでの流れをリセットする効果を発揮しています。最終曲「Epilogue」はチェンバロの力強い演奏とビートが組み合わされた曲で、アルバム内では珍しく勢いがあり、またある種の爽やかさすら備えています。このような曲が最後に配置されていることによって、アルバムを最後まで聴き通したときの印象が少しポジティブなものになります。

 小さめながらよくまとまった良作だと思います。IDMかというとう~ん……でもアンビエントとするのもなあ……みたいな微妙な音楽性の作品。アーティストは04年作を最後に音沙汰がなくなった……かと思いきや10年代半ばからまた活発に活動しているようです。

 

 

 

 

 

 

Andrew Pekler / On、Roomsound、Rockslide、Dim Star、Contact、Mote、Floating Tone

 from『Cue』

www.youtube.com

 これも00年代の作品で、本で取り上げなかった枠。エレキングでアーティストの経歴がサラッとではあるけど総括されていてありがたく思ったりなど。

 アーティストがラウンジ~ライブラリーミュージックの方面へ音楽性を変化させて以降の作品で一番ポップに寄ったアルバムだと思います。元となる音素材の音色がまあ好みなんですけど、楽曲もクラウトロック的に発展するものもあったりして、まあ……好みですね……。飛び抜けてポップなのは5曲目の「Rockslide」という曲で、エレクトロニカグリッチの名曲だと思います。

 00年代アンビエントエレクトロニカのミックス作ってからはより本作のサウンドが自分に馴染むように感じます。ミックス作る前と比べてなんとなくよりポップに聴こえるような気がする。。ミックスが気に入った人なら本作も気に入るはず。良作。

 

 

 

 

 

 

小袋成彬 / Work、Formula、Strides、Route

 from『Strides』

 これも長い。なんかツイの表示でかくなっちゃったからなあ

www.youtube.com

 小袋成彬の新譜が出ました。ちょい長いけど初聴時の感想を貼ります。

 

 スタイルは割とオーセンティックだと思いますが、音色や演出はきちんと現代のものにアップデートされています。と一応。飛び道具的に入ってくる音など、James BlakeやFrank Ocean以降のそれだなと思ったりする。

 ということでPiercingと比較しながら語ってました。ここからは曲ごとの感想。

 

 「Work」はマジで時代を代表する曲だと思う。詞と歌・ラップのハマり具合がすげえ。単純に言葉の連なりが小気味よくて、音楽なしに唱えるだけでも気持ちがいい。「じゅげむじゅげむごこうのすりきれ~」と同じですよ。「Gaia」のコーラス部分に匹敵する言葉の音の部分の快感が、一曲ずっと持続している。

 「生まれたら死ぬまで一生涯」も曲一回聴けばもう身体に染みつくと思うし。ポップスとしてマジで完璧な出来だと思う。楽曲後半、「儲かったぜ今夜は豪華なディナー」からのバースも勢いがあってめちゃ良い。

 「Formula」は一番最後のパートが……繰り返される「気づいたの 優しさは可視光線」というフレーズが強い。歌われる人物、ぜんぜん気持ち割り切れてないなということが伝わるね…

 一分過ぎのボーカル~というのは「潔く折れた方が 暮らしが良くなりそうだった」のところです。流しで油断してるとこの曲でゾワッてなる。

 

 全体的に洗練されている。トラック気持ちいいよね。サウンド的に華がないかもしれないけど、まあこの音楽の華は明らかにボーカルなので…。ボーカル以外に音楽的な探求が、冒険が少ないかもしれなくて、そういう点では評価が分かれるかも。(というかこういう評価の俎上に上がってる時点ですごいですが)

 歌詞的にはめちゃポジティブな「Strides」の後にシビアな「Route」が来るので、なんとなく冷や水をかけられるような感じがあるけど、音楽性を考えると「Route」はこの位置しかなかったかもなー、とか。

 個人的な評価を書くと、曲単位でBNMは出るけどアルバム単位では出ないかも、でも8.3~くらいの点数は出る、みたいな感じです。

 

 これはツイで感想漁ってたときにもれた感想。細かく説明する気ないので飛躍して見えるかもしれませんが書く。「重い」「軽い」という言葉の比喩的用法の話。われわれは言葉とそれを発した主体の印象のギャップが大きければ「軽い」、小さければ「重い」と評します。つまり「言葉の」重さ軽さの評価ってそれを発した主体(の文脈)ありきの概念なのです。なにが言いたいかというと、作品の評価で「言葉が軽い・重い」と言っている人は作品とアーティストを切り離せていない、ということです。別にそれが良い・悪いとかはないです、一応。

 前提として、言葉自体に重みはありません。言葉で主張が為されたとき、「主張(自体)の激しさ」「主張内容の激しさ」などの概念は別個に存在します。主張を形成する言葉自体には重さはありません。雰囲気で伝わってくれ。

 

参考リンク:

sublyrics.info

 

 

 

 

 

 

Grouper / Unclean Mind、Pale Interior、The Way Her Hair Falls、Promise、Kelso (Blue Sky)

 from『Shade』

www.youtube.com

 なんならエモいまであります。上に貼った「Unclean Mind」とか。

 

www.ele-king.net

 

 上記のツイ以外にあまり言うことがない。単純に良い曲が多い。曲ごとにミックスや録音がかなり違ったりして、そういう意味ではあまりアルバムっぽくないかもしれない。パーソナルな日記を途切れ途切れに覗き見ているような……有り体に言えばデモ音源集とかアウトテイク集とか、そういう雰囲気がある。というか実際に、直近15年間に録音された曲を集めたアルバムらしい。アルバムよりも先に曲があったということだ。

 #6「The Way Her Hair Falls」は途中で演奏のミスのように思える部分があるのがおもしろい。実際にミスなのかどうかはわからないけれど、作品をより身近に、親密に見せている。最終曲「Kelso (Blue Sky)」は録音が急にクリアーになったというかサウンドがデフォルメされたというか……とにもかくにも、それまでとは違って儚さのない、力強いパフォーマンスを聴かせてくれる。かなり新鮮です。

 

 

 

 

 

 

 だいたいこんな感じ。です。

 以下はまだ消化できてないけどメモとして残しておきたい枠。

 

・Tirzah『Colourgrade』

 半分くらい前衛~フリーフォークみたいな領域に突っ込んでる気がする。

 

 

・ユウゴウパズル

 たつなみさんの新作パズルゲームが出ました。相変わらず音楽が良い。サントラ買わせてくれ。ゲームの方はもう3ステージ分詰んで終了しました(ダメ人間)

 かわいいね。

 

 

・君島大空

 諭吉佳作/menを聴いたときに似たような印象の名前の日本のアーティストみんな聴いてみようかなと思って一回聴いて、感動しました。このアルバムを一周聴いてこれは七尾旅人1stに匹敵するヤバ作品では…!?と感じつつ、消費カロリーのデカさにおののいて二週目を聴けないままでいる。この記事書きあげて余裕ができたら聴こうと思う。

 

 

西岡恭蔵『街行き村行き』

youtu.be

 実は前に一度取り上げてる。曲単位である程度消化できたのでメモ。中盤の「パラソルさして」「ひまわり村の通り雨」が名曲すぎる。「飾り窓の君」は少しはっぴいえんどの「相合傘」っぽい(良い)。細野晴臣はちみつぱいのメンバーが参加しているからか全曲アレンジがめちゃ良い。マイナー調(雰囲気で使ってるぞ!)の活用が超良くて、まあたまに手癖感を感じることもあるんだけど、特にさっき挙げたパラソル~ひまわりは本当に良い。問答無用の名盤。

 

 

・Pink Siifu & Fly Anakin『FlySiifu's』

 良さげ。『Ensley』みたいな癒し系っぽい。

 

 

・Car Culture『Dead Rock』

 良い作品。ちょいバレアリックな感じもある。なんでツェッペリンなのかは謎。アルバムタイトルはコロナ禍における「ロックダウン」にかけているらしい。快適な時間をありがとアリトン…。

 

 

 めんどくさくなった! 後は名前だけ挙げます。Navy Blue、Space Afrika、Lewis Taylor、Pastor T. L. Barrett and the Youth for Christ Choir、david greenberger、、Indigo De Souza、The MetersNicola Ratti、Free Company、あとスタァライト劇場版で流れた曲(複数)

 

 長い。お気に入りまとめる作業もう完全に飽きましたね……。量を溜めるから良くない。趣味の作業なら楽しくなきゃ。飽きないうちは楽しいので、飽きないように管理しないと。やっぱ一ヶ月単位がいいと思うんだよな、量的にもスパン的にも。今後は余裕ができるのでやっていきたい。

 あとはこの期間のトピックとしていろんなVの引退があった。鈴原るる、御伽原江良…… 個人的にVTuberって個々にめちゃハマったりはしてないんだけど(だからしばらくすると絶対忘れちゃうんだけど)、確実に「好き」なVっていっぱいいてさ… 忘れたくないんだよね。もう忘れちゃってるのもいると思うけど…

 あとソシャゲ積みすぎてて死に始めてます、人生が。ウマ娘とガデテル始めちゃった。もうダメ。

 それではまた次回。ちゃんとひと月後に会えるといいですね。