上田正樹とSOUTH TO SOUTH『この熱い魂を伝えたいんや』

 

www.youtube.com #3「最終電車

 

 運転中のBGMとして流したもの。上田正樹というアーティストのキャリア初期に発表されたライブ・アルバムで、75年9月に兵庫県で行われたライブの音源を収録している。

 

 同時代のR&Bといえば個人的には小坂忠『ほうろう』が浮かぶ(『ほうろう』は75年1月、『この熱い~』は75年12月発表)。あちらがティン・パン・アレーをバックに都会的で洗練された……あるいは後のゴスペル路線に通じるような敬虔なR&Bを展開していたのに対して、こちらはよりファンキーで泥臭いR&Bを沸騰しているかのような熱量で炸裂させる。関西というか、より直接的に言えば"浪速"のフィーリングであり、今作を聴いた後では『ほうろう』は少し大人しいな、なんて感じてしまうほどにエネルギッシュである。

 

www.youtube.com #4「こわれたコーヒー・カップ

 

 でもねー、この人たち、こんなふうに書いてきましたけどね、しっとり聴かせるところはちゃんとしっとり聴かせるんですよ。これね、ずるいですね。#4「こわれたコーヒー・カップ」みたいなじんわり沁みてくる曲もきちんとこなせるんですよ。ファンキー路線の曲に続けてこんなの聴かされたらもう落差でイチコロですよ。。

 

 うーん、非の打ち所のない名盤です。めちゃくちゃ強い。上記の『ほうろう』と憂歌団『”生聞”59分!』を混ぜ合わせたような作品です。演奏もいいけど本人の色気のあるハスキーボイスもいいです。全9曲中5曲がカバー。