2018年に聴いてよかった作品 番外編

 

 去年と同じく、ベストに選ばなかったけどよく聴いた作品をここで取り上げます。全部いいよ! 順番は思いついた順です。

 

 

 

 

 

HAPPLE 『ハミングのふる夜』(2017)


HAPPLE『恋人たちの間奏』(360° Music Video)

 2017年に出た3rd。2ndではヒップホップを取り入れた挑戦的なサウンドを作り上げていたけど、今回は1stの路線に回帰した印象。つまり爽やかでキラキラしたポップスで、また1stの頃より洗練されたのか、なんとなく音の響きやアレンジが上品な感じがする。ストリングスのせい? 「手紙」「Taxi」という曲がお気に入り。

 

 

 

 

 

 

 

 

Blood Orange 『Freetown Sound』(2016)

 2016年の話題作を今さら堪能。#2「Augustine」の2分半過ぎからの展開を聴いてあ、これ好きなやつだなと確信。楽曲やサウンドがこれ以上はないというくらいに洗練されていて、例えるならアンビエント要素の強い『Dirty Mind』といった感じ。全体的に、すりガラスの向こうから響いてきているかのようなもやもやした、ムーディーなサウンド。ジャケットはちょっと怖いがとても優しいアルバム。個人的ベストトラックは#8「But You」。

 

 

 

 

 

 

 

 

Aylu 『Serum』(2018)

www.meditations.jp

 meditationsの店員さんからおすすめされた作品なのでmeditationsの紹介文を読んでください。Sun Arkからのリリースなのでちょっと気軽でちょっとへんな音なんだろうなと思っていたけど、予想よりもかわいい音だった。なんかすごく小さい生物を観察してるみたいな気分になります。そういうゲームがありませんでしたっけ、DSとかで…

 これだ!! ↓


エレクトロプランクトン

 

 

 

 

 

 

 

 

Ween 『White Pepper』(2000)


Ween - Even If You Don't

 Weenの7枚目のアルバムらしい。あまりおふざけのない、真っ当にいいアルバム。どの曲もあまりにもポップスとしてよくまとまっているので、以前の一発ギャグみたいな楽曲群とのギャップを感じ、子猫を助ける不良を見たときのようなムズムズした気持ちになる。タイトルの「White Pepper」はビートルズのホワイト・アルバムとサージェント・ペパーをくっつけたものらしい。一応ピッチフォークで8点を獲っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

Giegling 『RA Label of the Month』(2014)

DJ Metatron 『This is not』[Giegling Mix #07](2015)


DJ Metatron aka Traumprinz - This Is Not (Giegling Mix 07)

jp.residentadvisor.net

 Giegling関連のDJミックスを二つ。アンビエント成分強めのディープ・ハウス。どちらもオープニングがとてもよくて、そのままヌルヌルと聴いていってしまう。前者は2014年にRAで特集が組まれたときに提供されたもので、全体の流れで聴かせる感じ。後者はレーベルがたまに出してるミックスで、2015年のDJ Metatronが担当したもの。こっちはとにかく曲が良くて、一曲一曲をしっかり聴かせてくれる。現在は袂を分かった彼らですが、依然として要注目な存在。

 

 

 

 

 

 

 

 

DJ healer 『Nothing 2 Loose』(2018)


Dj Healer - We Are Going Nowhere [APW-2]

 流れに乗って。DJ Metatronの人がGieglingから離れ、新しい名義で帰ってきたやつです。RAでの彼の長年の高評価を受けてか、今作からピッチフォークでもレビューが付き始めました。内容は宗教的な空気のアンビエントと、抽象的かつ控えめなディープ・ハウスです。全体の1/3くらいはノンビート。彼の代表作である『2 The Sky』も控えめな空気を纏っていましたが、今作はそれよりもさらに慎ましくなっています。個人的ハイライトは「We Are Going Nowhere」~「The Interview」(作中で唯一ポジティブな雰囲気を持つ曲)。「The Interview」はこの前作ったミックスのエンディングに使ったのでよかったら聴いてみてね(宣伝)。どうでもいいけどDJ healerっていう名前が好き。ちなみに最終曲の曲名は「Protectionspell(防御の呪文)」。

 

 

 

 

 

 

 

 

Dwig 『What's Paradise』(2017)


dwig - what`s paradise

 2017年、自身の名を冠した自主レーベル「Dwig」からリリースされた3rdアルバム。…と思っていたのだけど、どうやらGieglingの傘下らしいですね。DJ Metatronに通じる、シンプルで優し気なディープ・ハウス。どこで知ったのか忘れたけど、タイトルトラックの「What's Paradise」に一瞬で惚れて入手した作品。ぶっちゃけその曲と最終曲「Way To Eden」以外の曲は多少退屈なのだけど(統一感はあります)、それを補って余りあるほどにそれらの曲が魅力的。DJ healerと同じく、夜中にゆっくりと浸りたい作品。

 

 

 

 

 

 

 

 

DJ Sprinkles 『Skylax House Explosion』[CD1](2018)


Sameed - Bad You

 二枚組なのだけど、DJ Sprinklesの担当したディスク1しかまだ聴けていない…。コードのチョイスが光る、始終柔らかい音色で統一されたディープ・ハウスのDJミックス。2曲目の終盤、満を持して鳴らされるコードの鮮烈なこと。。 2013年の『Where Dancefloors Stand Still』が気に入った人は今作も気に入るはず。ミックス作品だけど#7「Bad You」は単体でよく聴きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

Ian O'brien 『Desert Scores』(1996)

 初めて聴いたとき、もっと早く聴いておけばよかったなと思いました。ジャケットは何度も見ていたのだが…。1曲目の曲名(「Mad Mike Desease」Mad MikeUnderground Resistanceの中心人物)が象徴するようにURチックなサウンドなのだけど、あちらよりずっとポップに洗練されている(『Galaxy 2 Galaxy』しか聴いてないけど…)。なんというか、Loneに通じるような「キラキラ感」がある。音色の彩度が高いというか…。今までに聴いたデトロイト・テクノの作品の中で一番とっつきやすいと感じました。Black Dog Productions 『Bytes』くらいの扱いはされていいと思う。#2「Homeless」が超名曲。

 

 

 

 

 

 

 

 

Lamp 『ゆめ』(2014)


Lamp 「さち子」 M.V.

 この作品がベストではなく番外編に載っているのは、ひとえに自分が消化できなかったからです…。一曲一曲が強すぎてマジで参ってしまう。オリジナルアルバムなんだけどベストアルバムのような趣もある。内容の充実度で言えば『ランプ幻想』を凌駕しているかも。ワンチャン2019年のベストに入るか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

Machine Girl 『...BECAUSE I'M YOUNG ARROGANT AND HATE EVERYTHING YOU STAND FOR』(2017)

 普段穏やかな音楽を聴くことが多いんだけど、その反動か年に数枚はこういうめっちゃ激しい作品にハマる。 ジャンクでハードコアでゲームでエモ。体力がもたなくて最後までたどり着かない。「DUMBASS!!」がキャッチーでよい。ジャケット的にHausu Mountainかと思いきやOrange Milkからのリリース。

 

 

 

 

 

 

 

 

Ty Segall 『Freedom's Goblin』(2018)

(緑色が好きなのでこの曲を…)

 何枚目なんだろう…。リリースペースが早すぎて追えていない。全19曲でさながら『メイン・ストリートのならず者』やホワイトアルバムのようだけど、こういう感じの作品はこれが初めてでもなくて、2014年の『Manipulator』もこんな感じだった。いい感じに枯れたサウンドで奏でられるグラマラスな楽曲たち。歌唱も含めて大物感というか風格が出てきている。微妙な曲もある、という認識を前提に、曲単位でスパスパ聴いていった方がいい。巨大さに尻込みして腐らせるよりは。一番回数聴いた曲は「My Ladys On Fire」だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

mochilon 『セレクテッド弾き語りワークス Vol.3』(2016)

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 三毛猫ホームレスの白魔法使う方?の弾き語り作品。10曲で15分くらいのコンパクトな作品。シンプルなサウンドで(弾き語りだから当然では)曲の良さがダイレクトに伝わってくる。聴いている感覚としてはGuided By Voicesの『Bee Thousand』が近い。歌のコアの部分だけが詰まっている。やけくそ気味なユーモアに溢れた歌詞もいい。9曲目とか完全にごり押しやんけ。Vol.2だけ持ってないからほしい。FANBOXで支援してるのでなんかいい感じにがんばってほしい。なんかdiscogsに一品出品されてて笑った。→もう売れてた。。

 

 

 

 

 

 

 

 

Pendant 『Make Me Know You Sweet』(2018)

 これはね……今回改めて聴き直して、やっぱベストに入れておけばよかった~ってなった作品。Stars Of The LidやKyle Bobby Dunnの作品と同じように楽しもうとしたのが間違っていました。アンビエントというよりは広義のサイケデリック・ミュージックとして、不安定な感覚やトリップを楽しむものですねこれ。体験としてはゲームの『ゆめにっき』にも近いかも。とてもユニークな音楽です。

 

 

 

 

 

 

 

 

N.B.W 『magni cantos』(2018)

 2017年の年間ベストに入れた彼ら、安定したペースで活動を続けられていてなによりです。2018年の1月にリリースされた今作では初めて?ボーカロイドではなく肉声のボーカルが使われています。普通にイケボだった。変化と言えばそれくらいで、いつもと同じように楽しめます。個人的には音も曲も、たまには冒険してみてもいいのでは、とか思ったり。(この洗練が武器だとは知りつつ…)(やはり大きなお世話)(言う前に新作を聴きましょうね)

 

 

 

 

 

 

 

 

井手健介と母船 『井手健介と母船』(2015)


Kensuke Ide & His Mothership - Ame bakari no machi

 2015年の1st(新作待ってます!)。フォークとボサノヴァAORを足して割ったやつのややフォーク寄り。ゆらゆら帝国の『めまい』と山本精一のうたもの路線を合わせたような感じ。めまいは言うまでもなく、『幸福のすみか』、オウガの『homely』のファンも必聴。「恋がしたい」リスペクトの「雨ばかりの街」は何度もリピートしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

伊藤真澄 『花の音』(2001)、『夢降る森へ』(2003)

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 2017年の年間ベスト番外編で取り上げた真澄嬢。オリジナルアルバムを集め始めました。アンビエントニューエイジを取り入れたポップスで、ボーカルも含め、クリアーな音遣いが特徴。ゆったりとした時間を過ごせます。これベスト記事で書いておこうと思って忘れてたことなんですけど、2018年の心残りとしてアニメをぜんぜん追えなくなったということがあり…(これ完全に老化が原因なので辛い)。呪いというかアニメを観るきっかけとして2019年は真澄フィルター(真澄氏が音楽担当してたら観なきゃいけない縛り)を起動しようかな…

 

 

 

 

 

 

 

 

国府達矢 『ロックブッダ(2018)


国府達矢 "薔薇" (Official Music Video)

 2018年に3枚出ると予告されていましたが出ませんでしたね(いきなりそこか)。しかし1枚出ただけでもぜんぜん……ぜんぜんいいです。お祭りでした。

 日常であまり聴かなかったのでベストには選びませんでしたが、確実に傑作です。一個人が自身の音楽と真剣に向き合ったときに生まれる「パーソナルな文脈」とも言うべきものが音に宿っています。こういう作品がラジオなどの広いところで鳴らされるのはとても痛快でした。この調子で残りのアルバムや、あるいはまったく別の作品がリリースされることを願っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

RP Boo 『I'll Tell You What!』(2018)

 ジュークも個人的にはサウンド的にすぐにお腹いっぱいになってしまうジャンルなのだけど、RP Booはリズムが気持ち良すぎるので普通に聴けます。やっぱりこういうちょこまかした音楽が好き… 個人的に#2、#5、#9、#12の曲がキラーなんだけど、これらが2,3曲おきに配置されてるのがこのアルバムの上手いところかもしれない。先行発表されていた#2「Back From The Future」が個人的にはベスト。トラックではなくソングの領域を開拓している。こういう歌ものを集めたEPでも出たら自分は絶賛すると思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

Aleksi Perälä 『Sunshine 2』(2018)

 今年一番(サウンド的に)キラキラしてたで賞。少し懐かしい空気もある、浮遊感のあるドラムンベース。自分はかつて『Richard D. James Album』を聴いてこんなに青空を感じさせる電子音楽があるのか、と思ったのだけど、今作にはそれに通じる爽やかな感覚がある(まあアルバム名もアートワークもそういう感じなのだが)。ここにストリングスの音が入ったら…とか想像しちゃう(まんま過ぎるのもあれか…)。改めて考えるとこの不愛想な曲名も、サンクラで暴走してたときのAphexっぽいかもしれない。とりあえず、Skee Maskがいけた人はこちらもいけるのでは。#2、#6がキラー。

 

 

 

 

 

とりあえず20作。残りはパート2で取り上げます。