Dan Deacon『Spiderman Of The Rings』

 

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 00年代聴き直しの一環。ボルチモアを拠点に活動しているアーティストの2007年作。

 

 Discogsの作品ページの「スタイル」欄でIndie Rock、Chiptune、Electro、Happy Hardcore(!)と挙げられていることから察せられるように、躁的で元気いっぱいな作品です。サウンドは勢いのあるブレイクビーツにチープでノイジーなエレクトロニクスを組み合わせたもので、洗練されることを拒むかのような剥き出しの音色からはジャンクな味わいと原始的なエネルギーを感じます。ラフな録音のボーカルはしばしば加工され、車を高速でかっ飛ばしているかのようなエクストリームな印象を与えます。

 

 メロディーは奔放でややチャイルディッシュなもので、アルバムのハイライトの一つである#3「Wham City」では実際に子供たち(かな?)の声が使われています。スフィアンのイリノイの合唱みたいな感じ。エモい。。

 

www.youtube.com セサミストリートクラウトロックやってるみたいな曲。

 

 たぶんこの「子どもっぽさ」がアルバムにおいてはわりと重要な要素で……なんかアルバムの端々から子供時代に対する憧憬のようなものを感じるんですよね。この前金ローでやった『レディ・プレイヤー1』に通じる空気があるような。スパイダーマンロード・オブ・ザ・リングを組み合わせたであろうタイトルからも子どもに対する目線を感じます。

 

 にぎやかなサウンドの裏にあるセンチメンタルな部分に気が付くとかなり印象が変わると思います。子供部屋を連想させるようなキラキラ・がちゃがちゃしたサウンドからはCaribou『Up In Flames』なんかが浮かびます。あとこのブログで紹介した中からだとFactual Brains『Mind Allotropes』が近いかな。名作だと思います。

 

 どうでもいいですがこの方もニューヨーク州立大学パーチェス校(SUNY Purchase)の出身らしいです。

 

 

 

参考:

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