Queen [A Day At The Races]


 イギリスのロックバンド、クイーンの5枚目のアルバム。
 クイーンの伝記ミュージカル映画ボヘミアン・ラプソディ』が11月9日に公開されました。自分としてはそこまで気にしていなかったのですが、続々と投稿される「良かったよ」という内容のツイートを見て(マジ?)(てかクイーンそんな好きだったんだ??)(よく考えたらまだ公開二日目だぞ???)(みんなクイーンのこと大好きなのか????)という思いが沸き上がってきて……気がつけば明日の回のチケットを予約していた……

 というわけで、なのはプリキュアゴジラとここ最近毎週のように映画館に行っているような気がしますが(アニメ映画しか観てない人みたいなラインナップ…)、明日『ボヘミアン・ラプソディ』を観てこようと思います。そして今日は映画というかクイーンのおさらいとして、自分の好きなアルバムである5th『華麗なるレース』について、軽めに書いていこうと思います。かるーく!





 自分がこのアルバムが好みなのは、全体のイメージがさわやかでなんとなく牧歌的だからです。自分は新潟の田舎で育ったのですが、家の周りは田んぼだらけで、他にはたまにぽつぽつと古そうな家とそれを取り囲むように木が生えているくらいで…… そんな環境で育ったからか音楽の趣味も牧歌的なものを好むようになりました。ピンク・フロイドの原子心母や、ヴェルヴェッツの3rd、フェアポートの2ndなど……


 Fairport Conventionの2ndはめっちゃいい。



 クイーンの作品で熱中して何度も聴いたのはベスト盤と最初の5枚のオリジナルアルバムくらいなのですが、その中ではこの5枚目のアルバムが一番肩の力の抜けた、リスナーがリラックスして聴ける作品になっていると思います。もちろんハードで底なしにポップな作品も好きなのですが(『Queen II』はプログレ/ハードロックの傑作だと思っていますし、大好きです)(「The March Of The Black Queen」とかよく歌っていた)、日常生活で自分がよく聴くのはより穏やかな作品の方でした。



 このアルバムで激しめの楽曲というとオープニングの「Tie Your Mother Down」と中盤の「White Man」くらいで、基本的には穏やかでカラッとしたポップスが多いです。穏やかソングとしては、例えば#3「Long Away」。

 ブライアン・メイのいつもの音色のギター(「レッド・スペシャル」!)の出番は間奏部分のソロくらいで、メインとして鳴らされているのは12弦ギターのふくよかな音色(The Byrdsが頭に浮かびます)。同じくブライアンの担当するリード・ボーカルも優し気で、もうね。癒されますね。



 続いて#5「You And I」。清涼感のある音色のピアノがリードする軽快なロックチューン。それまでとの落差の大きいサビが特徴で、聴いているとまるで空を飛んでいるかのような気分になります。自在に高度を変えるコーラスがすごい。どうなってるんだろう。高音から低音へ、滑らかに重心が移っていく。鮮やかすぎる……



 ダメ押しに#9「Drowse」。大胆にスライドするギターとレイドバックしたグルーヴが聴き手をふにゃふにゃにさせるふわふわロック。ボーカルはコーラスの最高パートを担当することの多いドラマーのロジャーで(情報量が多い…)、華やかなハイトーンボイスがさく裂しています。大サビではデヴィッド・ボウイ的なグラマラスな感じも出ていてこりゃモテるわな、という…。


 いやーマジで全部名曲ですね。そしてここまで書いて気づいたんですけど、今挙げた3曲、どれも作曲とリード・ボーカルが違うんですよ…(上から作曲ボーカルブライアン、作曲ジョンボーカルフレディ、作曲ボーカルロジャー)。ちょっとバンドとして強すぎないです…?





 このアルバムに前作から「'39」とか「Good Company」とかを持ってくれば最高の田舎アルバムができるのでは?とか妄想したりもするんですけど……まあそんなことしなくても前作と一緒に楽しめばいいんですよね、ペアになるようにデザインされているので。
 個人的にはビートルズなどよりもクイーンの方がずっと洋楽入門に適しているのでは?と思っていて(というかまさに自分がクイーンから入っていったので…)、今回の映画公開を機により多くの人がクイーンを聴いて、そしてそのまま洋楽にも親しんでいったらいいな…と思っています。ベストアルバムしか聴いてない人はぜひオリジナルアルバムにも手を伸ばしてもらって… あとそうだ、このアルバムの最後の曲のサビは日本語で歌われているんですよ! その名も「Teo Torriatte (Let Us Cling Together)」! これはもう日本人はみんな聴かなきゃいけないですね。よし、聴こう! そして映画観てこよう! 観てきます!!