blueberry garden(2009)感想・評価

 ゆっくり沈んでいく世界を探索する2Dパズル・プラットフォーマー

 

 

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評価:8/10

プレイ時間:1時間

 

 一瞬、水が流れる蛇口が写されたのち、なんの説明もなくスケッチ風の世界に放り出されるプレイヤー=なんともいえない鳥人間。主要なアクションは食べる・運ぶ・滑空する・(ゲーム開始地点へ)ワープすることのみ。画面下部にそれぞれの操作方法が表示される他にはガイドはない。……じゃあ探索するか!

 

 世界にはなぜこんなものが?と思うような様々なオブジェクトが散在していて、それに少しの時間接触しているとプレイヤーはゲーム開始地点に戻され、同時にそのオブジェクトは開始地点の直上にワープ・落下する。開始地点には透明なドアがあり、開けると(開始地点の直上に)落下したオブジェクトの上にプレイヤーが現れる。

 オブジェクトを回収し積み上げることによってプレイヤーは「高度」を得られる。世界はかなり高低差があり、浮島も多々あるため探索には高度が必要だ。探索⇒オブジェクト回収⇒稼いだ高度+滑空でさらに探索……というようなサイクルが基本的なゲームプレイとなる。

 

 これだけ見ればシンプルな横スクロールアクションだが、本作独自のポイントもあり、それが「自立した生態系」だ。ゲーム内世界には変わった動植物が存在していて、それらの一つ一つが互いに影響しつつ生命を循環させている。木は実をつけ、枯れ、落ちた実は種を残し、そこからまた新たな木が育っていく。空を飛ぶ鳥は実を食べフンとして排泄する過程で植物の種を遠く運んでいく。そしてプレイヤーは「運ぶ」アクションによってそれらの循環に手を加えることができる。

 また、植物の実は食べることで様々な効果を発揮する。効果について説明はされず、自分で推測することになるのだが……一つだけ解説すると、ゲーム中で最初に目にするであろう植物はブルーベリーで、それは食べると短時間だが滑空アクションで(普段はできない)上昇をすることができるようになる。飛ぶ力が一時的に強化されるのだ。

 

 自分の望むように環境を変化させつつ、より高いところから空を飛んで……果たして世界の果てにはなにがあるのか。

 

 

 

 攻略自由度の高い絶妙なゲームバランスに魅力的な音楽とビジュアルが備わった良いゲームだと思います。短いながらも充実した体験でした。

 実はゲーム内ではとある要素が、見えないところでリアルタイムに世界を侵し続けていて、その対策を早めに打っておかないとゲームオーバーになります。時間の制限がある。その対策さえできれば後はなんの制限もなく世界を探索することができ、落ち着いてゲームクリアまでいけると思います。逆にその制限を利用して……世界を侵し続けているなにかを利用してゲームをクリアすることもできるらしい。自分は自力ではその解法に気づけず、他のプレイヤーのコメントで知ったのだけど、そんなプレイもできるのかと本作の作り込みや自由度の高さに驚いた記憶があります。

 昔の作品だけど、Independent Games Festivalの大賞受賞作ということで、今でも新規にプレイする人がいるらしい(もちろん自分もその一人)。クリア後に提示されるある"場"を見て、なんというか「作品のあり方」としてこれが一つの理想かもなと思ったりしました(これはゲーム部分とは関係のない感想です)。

 

 ゲーム内で独自の法則・世界観を確立させているので、クリアとか無視して自分で自由に目標を設定したりして遊び続けることもできます。そもそもエディットモードみたいなのもあるし。そういう意味でも懐の広い作品だなと思います。