デッキ構築型ローグライクを組み込んだアイドル育成シミュレーション。
評価:10/10
プレイ時間:数えてないけど50時間くらいはやってんのかな
この記事フォーマットで扱うゲームは基本的に完結したタイトルにしているのだけど、学マスはソシャゲであるにもかかわらず、ここまでの(自分の)プレイ感覚が買い切りゲームのそれに近かったので、この形式で触れることにします。
初めて親愛10にできた(最近話題のお休み編成をお試しで
— にんず (@ninz51) June 16, 2024
その後の演出も初めて見たんだけど、いやこれエンディング…! pic.twitter.com/0HkAFPWS0t
エンディングが用意されているということはここまでで一区切りなんでしょう一応 学マス神ゲーっす 一本ゲームクリアしたという満足感がある これ無料でプレイできちゃっていいんですか しかもまだ拡大していくし
— にんず (@ninz51) June 16, 2024
ちょうど今朝、一人のキャラでエンディング的なものに到達できてスタッフロールを見れたので、ここらで感想まとめとくか!と筆を取った次第です。リリース日が5月16日で、昨日でちょうど一ヶ月でキリがいいから、ということもあります。今のところ無課金です。
以下、トピックごとに軽く触れていきます。
・3Dモデルのすごさ
この分野だとウマ娘がひとつのマイルストーンだと思っているのですが、学マスの3Dモデルはウマと比べても遜色のない出来です。
肉感の表現が一番の特長で、ウマよりも一段階リアルな身体を3Dで表現できています。肉感って究極的には曲線のニュアンスで表現されるもので、だから基本的には二次元的な表現に一日の長がある(えっちなマンガを思い出してほしい)と思うのだけど、学マスはそれを3Dでやっていて度肝を抜かれました。
実際に見てもらった方が早いんですけど……公式で一番肉感が掴める脚にフォーカスした画像とか動画はないかも…。ガリガリ不健康体型の篠澤広とか分かりやすいけど、アスリート的に引き締まった咲季やめちゃくちゃ女性らしい莉波とかもすごい。
これは蛇足ですが、肉感の表現ってリアルであると同時にエロさも出てしまうので、良し悪しというか…。だから別にウマ娘のモデルが学マスのモデルに劣っているとか、そういう話ではないので一応。単に方向性が違うんですね。ウマは多少デフォルメが効いていてある意味で清楚というか、現実から一歩引いた感じのデザインになっているんですね。
(さらに蛇足。他にも目立つところでは汗の表現とかいろいろすごい3D表現があるのですが、それらのいくつかは開発元が同じ『IDOLY PRIDE』にて先に登場していたそうです。)
・旨味しかないキャラデザ&ストーリー
ここでのキャラデザは見た目以外の部分も含みます。キャラクターのおもしろさと、なにより洗練されたストーリー表現が非常に好みでした。どのストーリーを読んでもおもしろいところしかない。楽曲におけるサビみたいな部分のみで構成されているかのような。エピソードの厳選・作り込みが上手すぎる。
一応どのキャラもそれぞれの問題・課題を抱えているんですが、その提示から解決までの流れが超スマート。そして解決手段には合理や納得に加えちゃんと驚きもある。読んでてストレスがないのは当然として、普通におもしろいんですよね。
この短さでこの濃さ・おもしろさ、という。すさまじくクオリティが高いと思います。
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— 学園アイドルマスター【公式】 (@gkmas_official) June 5, 2024
🔸#初星コミュ
明日は7話&8話公開!!
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📝あらすじ
咲季との勝負が迫る
弱気なことねを勝利に導くため
プロデューサーは「お金」の話を始める
📺6/6 22:00(予定)https://t.co/tqsO3CYeV6
お楽しみに✨#学マス pic.twitter.com/oZB0pI0YCW
ソシャゲの公式がメインストーリーを誰でも見られるようにするのは珍しいと思う ストーリーってプレイに対する褒賞みたいな位置付けだったりするので。これを別段溜めたりもせずにサラッとやってしまうあたり流石だな、なんて
— にんず (@ninz51) June 6, 2024
そしてなんとこのゲーム、メインストーリーとも言える「初星コミュ」を無料公開しています。ゲームをプレイしてなくても見れちゃうんです。そんなことある?
これも短い時間におもしろさがギュッと詰め込んであるので、未プレイ者も短編アニメを見る感じで一度見ていってほしい。もろもろの洗練っぷりやキャラの個性の強さが伝わると思う。(1話から見てね。8~9話がひとつのハイライトだと思っています。)
・当然のように良い音楽
まず上に貼った1stPVを見てもらって……めちゃくちゃかっこいいんですけど、使われてる曲(「Fighting My Way」)が非常に現代的なサウンドでびっくりする。演出の都合上、半分以上はインストなのですが、無骨なキックにぶっといベースというゴリゴリのベースミュージックという攻めたスタイルがダイレクトに伝わる。ブレイクの存在感、音と無音のビビッドな対比。終盤のサビで入ってくるボーカルの挑発的なパフォーマンスにも痺れる。
PVの最後に主要なスタッフクレジットが流れるのですが、そこで挙げられるコンポーザー陣もかなり熱いのかもしれません。疎い領域なので自分は長谷川白紙や田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)くらいにしか反応できないのですが。
ゲーム内BGMも良いです。後述しますが基本的にゲームプレイのテンポが速く、それに合うように速めのテンポ、短く印象的なイントロとはっきりしたメロディーを備えています。
おもしろいのが、録音・プロダクションにラフなところがあること(エッジを残している)。そしてドラムの多様なフィルインなんかが象徴的ですが、各パートに遊びの要素があること。総じて完璧さ・ウェルメイド感よりも生っぽさ、ライブ感が重視されているように思います。指揮者がいたり、あらかじめ完璧にプログラムされているようなイメージではなく、みんなでせーので合わせている感じ。バンド的、ロック的と言ってもいいかも。
音楽性もあまりソシャゲでは見かけない気がする……スタイルで言えばおそらく「スカ」で、これもおもしろい。2拍・4拍を強調するバックビートに(おそらくラフな印象の源泉でもあろう)ブラスのサウンド。総じて熱く、勢いがあります。
ゲーム内BGMと同じく「Fighting My Way」も基本は裏拍に乗る音楽で……これなんかさ、オタクをダンスミュージックに慣れさせるみたいな隠れた意図があったりしませんか? なんとなく日本人って裏拍が苦手なイメージがあるので…。学マスプレイしてたら(=BGMを聴いてたら)自然に裏拍に慣れる気がする。もしそういう意図があったとしたら、その野望の大きさ、アプローチの真面目さに敬服します。いや、実際裏拍乗れた方が絶対良いですからね。音楽の楽しさ2倍くらい変わってくると思う。
そろそろゲーム性の部分に踏み込んでいこうと思うのですが、あらかじめ書いておくと自分はSlay the Spireをやったことがありません。なので学マスのゲーム性が偉大な先人と比べてどれだけ進化しているのか、(すごく高そうな)ジャンルの標準と比べてどうなのかという話はできません。事実として言えることは、「自分はめちゃ楽しめた」ということだけです。
というかゲームのジャンル・スタイル自体にもあまり触れないです。ひとつ言えるのはアークナイツ(RTS、タワーディフェンス)と同様、元からかなり完成されたゲームメカニクスを採用していて、まともに作れば一定のおもしろさは保証されていそうだということ。
そんな感じで、メカニクス?の部分は放置して、個人的にいいなと思ったところだけ挙げていきます。
1. ゲーム全体のテンポが良い
どうしてもウマ娘の重さ(シナリオをまともに読むと新キャラの育成一回に数時間かかる)と比較してしまうのだけど、学マスはワンプレイが軽めです。慣れると一周30分もかからないくらい。これはソシャゲが溢れ、複数本を掛け持ちプレイすることも普通になった現代に合っています(というかウマ娘が異常なだけ)。
一周のうちに読める(挟まる)メインストーリーはだいたい2,3話、多くても4話になるように調整されていて、それがワンプレイを長くしすぎないように働いています。ウマはワンプレイでストーリー全部見せるんでね、プレイヤーとしても腰が重くなることがありました。
一周の長さとは別に、個々の操作のレスポンスも良好。これに自然に3Dキャラの演技を合わせているのだから大したものです。
そして、この軽さ、テンポの良さがゲームのコンセプトの根幹に据えられているように思います。
2. 情報量のコントロールが完璧
ゲームの導入が大変スムーズで、それはプレイヤーに伝えること・伝えないことの判別がしっかりしてるからなのだろうなと思いました。必要最低限の情報だけ提示することができている(言葉にするのは簡単だけど実践は難しい)。
情報量のコントロール……自分的に言い換えると、「ゲームとしてのコミュニケーション能力が高い」んですよね。プレイヤーにルール、設定を察させるのが上手い。1つのやり取りで2つ以上の情報を(暗黙裡に)伝えられているというか。
とはいえ必要最低限のラインの追求はリスキーでもあります。単純に伝わらないことがあるから! そこで効いてくるのが前述の「軽さ、テンポの良さ」で、一周が短い、周回プレイ前提の作りがあるので、初回の一周にうまくいかないところがあっても痛くないんですよね。フェイルセーフでもないけれど、周回しているうちにプレイヤーが自分で気づくので、多少説明に伝わらないところがあってもあまり問題にならないんですよ。
3. ゲーム性の拡張スピードの適切さ
学マスはある程度プレイするごとにプレイヤーのレベルが上がり、それに伴って新しい種類のカードがアンロックされていきます。段階的にゲーム性を拡張していくんです。現状のルールに慣れた?じゃあ新しいの追加するね!といった感じで、うまい具合にプレイの幅が広がっていくんですね。ここのバランス感覚がとても優れていると思いました。
またアンロックされるカードはそれまでに公開されていたカードと比べると強力かつ尖っていて、単純に魅力的。慣れてくると自然とカードのアンロック(=プレイヤーのレベル上げ)自体がプレイのモチベーションになっていきます。そうして周回は加速していき……マジで雪だるま式にゲームとしてのおもしろさが上がっていくんです。自分の体感でも、今日までゲームのおもしろさ・プレイ時間が右肩上がりを続けています。これも言葉にすると短いんだけど、本っ当にすごいことだと思う。初回プレイからずっとゲームとしてのおもしろさが上がり続けているんですよ。こんなことある?
と、こんな感じで書きたいことは書けたかな。改めて振り返ってもやはり「軽さ、テンポの良さ」志向が中心にあって、それがゲームとしての短所をカバーし長所をさらに伸ばしているように思います。試行錯誤のハードルをとことん下げることによって能動的なプレイを引き出している。
プレイの速度に負けないように戦術も豊富に用意されていて、ぶっちゃけ1キャラ(pアイドル)で1戦術といった感じです。同じキャラでもカードが変わるとプレイスタイルが変わります。今後も新しいキャラ・戦術が増えていくと思うので楽しみです。
個別のシナリオだと、やはり咲季のストーリーが刺さりました。「逆転」がテーマの話だと思っていて、一度シナリオに組み込まれた逆転構造についてまとめようかと思ったけどやれていないです。…というのは置いておいて、本当に熱い物語で良かった。佑芽サイドの描写も交えて一本の映画としてアニメ化してほしいです(佑芽のシナリオはまだ読めてないです)。
ソシャゲと買い切りゲーの違いって明確な終わりが用意されているか、だと思っていて。学マスはソシャゲだけどエンディングがすでに用意されていることが特徴だと思います。他にもガチャ要素やリアル時間に紐づいたリソース制(いわゆるスタミナ制)があり、特に後者は縛りとしてけっこう大きいように思いますが、それでも他のソシャゲよりは買い切りゲーに近いと言えると思います。
ということで、普段ソシャゲをプレイしない層にもぜひ触っていただきたい作品です。スタッフロールを見ることをクリア条件とするなら、それまでに普通にフルプライスのゲーム1本分くらいの時間は楽しめるはず。その後もプレイを継続するかはともかくとして、まず一つのゲーム作品として学マスを捉え、そしてプレイしてもらいたいです。おもしろさは保証します。てか現状の内容そのままで買い切りゲーとしてもリリースできると思うこれ。そしてどちらにしても自分は10点満点の神ゲーとして評価していたと思います。
てかこのクオリティで無料でプレイできるの異常すぎる。実際まだ無課金ですからね自分。これも別段課金を渋っているわけではなくて、ガチャの回しどころを見定めているだけなんですが(まだ1天井分も石貯まってないし)。
ぶっちゃけソーシャル要素が強いわけでもなく……普通にソロプレイのゲームとしてプレイできると思うので。ゲーム好きな方に広くプレイしてほしいと思います。