ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(2023)感想・評価

 ハイスピード3Dロボットアクション。

 

 

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評価:10 /10

プレイ時間:一週目クリアまで15時間、三週目クリアまで32時間

 

 前作からなんと10年ぶりらしいシリーズ新作。シリーズには一度も触れてなかったのだけど、SEKIRO、エルデンで信頼が積みあがっていたし、これだけ間が空いたのだから新規向けにもなってるだろうという予想もあったし、なにより自分の視界内で話題になっていたのでプレイしました。結果、非常に楽しめた。

 

 以下、良かった点を挙げていく。まずアクションゲームとしてのおもしろさ。回避やパリィ主体のSEKIRO系統のゲームとは別の種類のおもしろさがある。ジャンルが違いますねこれは。どちらかというと「近接攻撃ありのシューティング」に近いのかな。形式についてはともかく、おもしろさのキモは「ほぼ反射での操作を要求されるレベルのスピード感」と「攻撃の爽快さ」にあるのかなと思う。自機、敵機、敵の弾にフィールドなど、そもそも情報量が多い上に全体のスピードが速いので、戦闘に入るともうほぼパニック状態というか、リアルでスポーツをしてるときみたいな覚醒状態(?)になっちゃうのですが、これがとてもスリリングでおもしろい。そして敵をダウン(スタッガー)させてから攻撃を畳みかける爽快感。通常時とダメージ効率がぜんぜん違って、正直脳汁が出る。このシステムのおかげでメリハリや駆け引きの深さが生まれている。

 

 そして上記のアクションのおもしろさに通じる点でもあり、また自分がシリーズ初体験ということもさらにプラスに働いてるような気がするんですけど、もう一つのおもしろさのキモとして「全体のスケールの大きさ」がある。とにかく自機がデカくて、自機の大きさを基準として描かれる世界やマップもデカい。この全体的なスケールの大きさになにか原始的なおもしろさが宿っているように思う。

 

 経験者にしか伝わらないと思うんですけど、自分は車の運転を思い出したんですよね。基本的にチキンな性格なのではじめは運転も恐る恐るだったのですが、それでも慣れてくると運転を楽しく感じられるようになったんです。その楽しさの根源って、自分の身体を車に接続したことによる、(車体のサイズに合わせた)自意識のスケール感のアップにあったと思うんですよ。徒歩と車での移動を比較してみてください。徒歩よりもずっと小さいエネルギー・肉体負担で徒歩よりもずっと加速するし移動できてしまう。できることのスケールが大きくなって……あたまの悪い表現かもですが、全能感を感じるんですよね。それと同じことがAC6にも起こっている。

 

 まあこれは自機が人間よりも大きいゲームにはみんな当てはまるとは思うのですが……でもAC6のスケール感の大きさは、現時点では文字通り世界一なんじゃないだろうか。ストライダー戦とか本当に感動しました。あんなスケールのデカい敵(マップ?)見たことない。あのレベルまでいくとセンスオブワンダー的なものを感じてしまう。そしてスケール感を感じさせる……自分を巨大だと思わせるためには、逆に小さいものを丁寧に描かないといけなくて。ミクロからマクロまで、異なるスケールのオブジェクトがしっかりと作り込まれたAC6のマップは本当~~~にリッチだと思います。こんな贅沢なゲームないよ。確実に値段以上の価値がある。

 

 長くなってますがご勘弁。アクション部分だけでなくストーリーもおもしろいんですこのゲーム。具体的に語られない部分が多くてモヤモヤすることも多いフロムゲーですが、今作にはしっかりと本筋があり、そしてそれがはっきりとプレイヤーに語られる。前から思ってたんですけど、ストーリーってやっぱしっかりとドラマを作って、それをはっきりとプレイヤーに伝えるのが第一で、「想像の余地を残す」なんてのはアディショナルな部分なんですよ。優先度の話です。今作ではその優先順位がしっかりと守られている。まず第一に、本筋のストーリーがドラマチックでおもしろいんですよ。傭兵としていろんな陣営で働いて、さまざまな価値観を提示した上で、最後はプレイヤーに選ばせる、みたいな構成も嵌まってますし。その上で、想像の余地も多分にある。なんというかストーリーのおもしろさのバランスがしっかり取れているんですよね。受動的な部分、能動的な部分。

 

 そして……これは個人的にフロムに対する印象が変わってしまうレベルのことだったんですけど、登場キャラクターの魅力がすごい。ソシャゲじゃないんですけど、キャラものとしても楽しめるレベルに登場人物全員キャラが立っている。実際、ゲーム内でキャラクターの外見が描かれることがないにもかかわらず、現実ではSNSで二次創作(?)が溢れかえる事態になっている。異常だよ、集団幻覚すぎる。しかし実際……実際キャラクターがすごく魅力的なんですよ。音声しかないから逆に想像を掻き立てられる、というメカニズムを差し引いてもキャラ立ちがすごい。「乙女ゲーみたい」なんて感想もありましたけど、いやほんとそうなんですよね……(全キャラから主人公に矢印が向けられている図が浮かぶ)。もう全キャラ好きですね。あ、いやドルマヤンだけはそんなに好きじゃないかも。とにかく、フロムゲーでこんなにキャラに萌えさせられるとは思わなかったです。くっそ~~~。。「火を点けろ、燃え残った全てに」っていうキャッチコピーを見るたびにウォルターの声で脳内再生される身体になってしまった(それ以外にも脳内再生しちゃうフレーズがたくさんある)。おれの負けです。

 

 長いのでもう終わりましょう。一部、迷路みたいになってるうんこマップがあったり、細かなマイナスポイントはありますが、それらを超余裕で上回る良さがあります。アクション、マップ、ストーリー、キャラ……。そして難易度のバランスも個人的にはちょうどいいと思います。敵の強さ以上にプレイヤー側の工夫の余地がある。初期装備で行けるところまで行って、特定の強敵で詰まって、初めてアセンブルを変える。ここまでは全員が通る道で、チュートリアルと言ってもいい。アセンブル変えたら余裕で勝てちゃったという体験……色んな強い武器があることにさえ気づいたら、もうその人は最後までプレイできるんじゃないか。

 

 ストーリーの引きはあるし、キャラは魅力的だし、そもそもアクションが気持ちいい。エルデンリングもかなり間口が広かったと思いますが、それよりもさらに間口が広い。本当に広い層が楽しめる、すばらしいゲームだと思います。シリーズ経験者はまた違った感想になると思いますし、実際、シリーズ初見ゆえのバフがかかっている面もあるんですけど(特にスケールの大きさの話)、個人的には余裕で神ゲーでした。神ゲーしか作らないのかこの会社は。細かい部分は触れられていませんがこの辺で。