Nidhogg(2014)感想・評価

 どちらが「画面」を先に進められるかを競う横スクロール対戦アクション。

 

 

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評価:8/10

プレイ時間:2時間(シングルプレイ2周のみ)

 

 シンプルな2D対戦格闘と一味違うのが勝利条件。このゲームは横方向に広いマップで、先に左右の端にたどり着いたプレイヤーが勝者となる。ゲームはマップの中央で始まり、相手を倒すとプレイヤーは画面を先に進める(=画面をスクロールさせる)権利を得られる。権利を得た状態で画面端まで行くと画面がスクロールし、一段階ゴールに近づくというわけだ。倒された方は倒したプレイヤーの少し前方でリスポーンする。そうして何度も戦闘しつつ徐々に画面を進めていく(Steamのストアページではフェンシング「綱引き」ゲームと紹介されている。たしかにマップ・画面を使った綱引きである)。

 

 戦闘部分もよく出来ているが、ゲームの仕組み上、戦闘技術よりも「相手に先を行かせない立ち回り」の方が重要になることもある。画面を進める権利は相手に倒されない限りは維持されるため、権利獲得後の戦闘はスキップできるのだ(スキップの手段は主に相手をジャンプで飛び越えること)。だから慣れてくると「いかに相手を倒すか」ではなく「いかに相手を出し抜くか」を考えるようになる。

 相手に自分がスキップされた場合、互いに移動速度が同じなため追いつけず、移動よりも速度の出る「武器投げ」かリスポーンで対応することになる。武器投げは回避されることもあるし、武器の数にも限りがあるので、最終的にはリスポーン択が安定となる。すると今度はいかに早くリスポーンするかを考えるようになり……。そう、一つの戦闘が終わってもまだゲームは続いているのだ(上手い人はリスポーンが早い)。

 

 だから純粋な「格闘ゲーム」を求める向きには実はジャストフィットしない可能性もあるのだが、それでも「対戦ゲーム」としては本作は極上だ。YouTubeで「Nidhogg」と検索すると日本一ソフトウェアの社内大会動画なんかがヒットするし、ゲーマーの間ではかなり盛り上がっていた作品なのかもしれない。

 

 ……なんて、ここまで書いてきたが、自分はいまだにマルチプレイをしたことがない。もし体験していたらもう一段評価が上がっていたかも? そして、検索すればすぐわかることなのだけど、本作には続編が出ている。おそらくそちらの方がゲームとしては充実・完成していて、プレイ人口も多いはずなので、今から本作を触るよりは直で続編を触った方がいいと思う。個人的には初代の抽象的なピクセルのグラフィックやあのDaedelusが手掛けたというサウンドトラックも好みではあるのだけど。……やっぱ対戦したいもんね。

 

 自分は画面を使った綱引きというゲームメカニクスが非常にユニークだと思っていて、それだけでも触る価値はあると思う。たとえ対戦相手がいなくても、NPC戦でも充分にゲームのおもしろさは伝わる(実際に自分はシングルプレイでかなりエキサイトしてしまった。めちゃくちゃ声が出る)。速いゲームスピードとテンポ・レスポンスの良さで常に頭がフル回転させられる。とにかく展開が速く、プレイヤーだけでなく見ている側もハラハラさせられる。

 対戦ゲームの名作だと思います。自分はそもそも対人メインとは知らずに買った口なのですが、それでもそれなりに楽しめました。

 

 

 

参考:

www.youtube.com

 調べると本作の元ネタとして「グレートソードマン」というゲームがヒットする。タイトーから発売された84年作。たしかに戦闘部分が似ている。完成度によるのかけっこう後の機種にも移植されてるっぽい。