お気に入り曲まとめ(2023.8~11)

https://bcoredisc.bandcamp.com/album/oswego

 薄い本作業でサボってたやつ。

 

 

 8月~11月のお気に入り音楽のまとめです。とりあえずRVNG関連は入れてないです。

 

 

 

アークナイツ 音律聯覚2023・WANTED

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news.denfaminicogamer.jp

 

 アークナイツがやってるライブコンサート。ゲーム外も含む関連楽曲のパフォーマンスが約2時間。なんでゲーム外楽曲がこんなにあるのか。なんでこんなガチのライブやってるの? しかもそれ全編無料で観ていいんですか? これもうわかんねえな。

 ゲームのプレイヤー全員がイミフと思っているHypergryph(開発運営会社)の音楽にかける情熱。とうとう「Hollywood Music In Media Awards」で受賞するまでに至りました(リンク先下方、「LIVE CONCERT FOR VISUAL MEDIA」の欄)。いち企業の趣味?が世界的に評価されるレベルに。もはやゲーム会社なのか音楽会社なのかわからない。

 謎を加速させるのは明らかに売り上げを度外視してハイクオリティのコンテンツを作り続けていること。いや実際に度外視してるかは本国のプレイヤーじゃないと評価できないように思いますが、日本のいちプレイヤーから見ても(これお金取れるだろ!)と感じるコンテンツが多すぎる。このライブだってそうですよ、こんなん無料で公開するなって。去年のもそうだけど、普通にお金払うから! というか円盤売ってくれ。

 

 内容については盛りだくさんすぎてあまり語れない。とりあえず上に貼ったツイの2曲、特に「Magic Theorem」が好みでした。下に単体で動画貼っておくので試しに聴いてみてください。全体で言えば去年のライブの方が好きな曲は多かったかも。今回は危機契約というゲーム内イベントの楽曲のメドレーが目玉の一つで……改めて考えると危機契約ってかっこいい新曲発表の場でもあったんだなって…。

 ゲーム自体もクソおもしろいのでぜひみなさんアークナイツに触れてください……ということでトップで紹介しました。

 

www.youtube.com 開幕のシンセの音色でもうノックアウト。

 

 

 

 

 

 

 

The Ahmad Jamal Trio『The Awakening』(アルバム)

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 今年の春に一度別の作品で取り上げたAhmad Jamal。彼のおそらく一番有名な作品なんですけど、その評判通りに良くて時おり聴いていました。

 適度にリズミカルで、適度にメロディアスで、適度にグルーヴィ。この流し聞きできる微妙な塩梅こそがアーティストの個性なのかも、とか。お気に入りは#1、#2、#4、#5あたり。#2「I Love Music」は一部音色がヨレるところがあり(Salami Rose Joe Louisみたいな感じ)、それが幽玄なムードを醸している。これは狙ってやったのか、また、後からの編集なのか……。

 

 

 

 

 

 

 

suzukiski / So Long、Footsteps、The Night Sands、Labyrinth、Gradquad、Take It Easy、Around A Fire、Bloom

 from『Helix』

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 前にツイッターで教えてもらったアーティストの作品。レイハラカミに通じるセンスを持つエレクトロニカ。非常~~~に微妙な音楽です。ポップス的なわかりやすい曲構成はなく、基本的にアブストラクトな味わい。突出しているのは音色とコードのセンスで、個人的にはそれこそハラカミを聴くときと同じ感じで、音色だけでほわ~んとさせられてしまう。

 

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 『Helix』は2003年発表の作品で……話は飛んで、自分は『lust』では最後の2曲(「approach」、「first period」)がとても好きなのですが、それらに通じる、なんというか「無常」な空気がこのアルバムにも漂っています。『lust』(2005年発表)以前の作品にもそういう空気はたびたび登場していて……だからsuzukiskiとハラカミで互いに影響を与え合っていたのでしょうね。

 エレクトロニカというかほぼほぼ抽象的なアンビエントですね。よくこんなアンニュイなムードにフォーカスできたなと思う。なにもない日の午後とかに聴いたら死にたくなるかもしれない。すごい作品です。

 

 

 

 

 

 

 

Morphine / I'm Free Now、Candy、Cure for Pain

 from『Cure for Pain』

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 アメリカのバンドの2nd。ピッチの90年代のリスト(初版)で発見。二弦のスライドベースにバリトンサックス、ドラムという編成が一番の特徴で、とにかく低音が強い。文字通り地を這うようなサウンド。低音ゆえか全体的にそこまでソリッドな感じではない……音の輪郭がモワっとしていて、少し幻惑的というか、ストーナーな感じもある(モルヒネだしそりゃそうか)。

 4分を超える曲がなく、全体でも30分半くらいでかなりコンパクト。なのでぼーっと流しているといつの間にか終わっている。サウンド的にはKing Kruleとか好きな人にウケるのでは。こんなユニークな音のバンドがいたんだなあと驚いています。フロントマンの急な死によって解散したらしく、それゆえに伝説的な扱いもされているそうですが、まあなんにせよ惜しいなと思ってしまいますね。

 

 

 

 

 

 


Pharoah Sanders『Pharoah』(アルバム)

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 名前は知ってるけど今まで全く聴いてこなかったアーティストシリーズ。ピッチでBest New Reissueを獲得していたので聴きました。

 ただ名前を知っていただけで特にサウンドに先入観は持たずに聴いたのですが、形式的にはけっこう聴きやすいと思った。キャッチーなループがあって、その上でそれぞれがソロを披露していく。初聴時に思い浮かべたのはTortoiseで……77年発表とのことだけど、個人的にはなんとなくポストロックみを感じた。ギターのせいかな…。

 曲も演奏も悪くないんだけど、何よりも録音がしょぼいというか素朴で、むしろこの録音こそが一番の個性と思うこともある。Tortoiseみを感じたのもその録音に由来するところがあるだろう。尖った音がまったくなくて、全体的に中音域に寄っている。

 サックス奏者のリーダーアルバムだけど、ギターが常にキャッチーなリフを爪弾いていて存在感があるので、ロックが好きな人なら特に抵抗なく聴けると思う(自分がそう)。B面はゴスペルの影響かけっこう熱いけどA面(「Harvest Time」)は鎮静的。

 あまりに録音が特異で、おそらくディスコグラフィー全体で見れば外れ値的な作品な気がする(これ一作だけを聴いてアーティスト全体を判断することはできないと思う)けど……でも個人的には普通に好きなほうなので、これを足掛かりにして、ね…。やっぱ好きな作品が一つでもあると、すでに実績があるということで他の作品も聴いてみよう!ってなるので。だから聴いて良かったです。しかしなぜ本作はセルフタイトルなんでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

Soccer Team『Real Lessons In Cynicism』(アルバム)

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 SpotifyでChad Clark周辺聴いてたらサジェストされたバンド。Beauty Pillの元ギタリスト、Ryan Nelson中心のバンドかな。これも曲単位ではっきりとしたお気に入りがあるわけではないんだけど、全体的に良いです。素朴な歌心と地力を感じるアンサンブル、楽器の鳴りはDischordのお墨付き。Beauty Pillが好きなら気に入るでしょう。The Evensみたいなちょうど良さがある。

 

 

 

 

 

 

 

Oswego / Lemonade's Cheap At The Petting Zoo / Mallet Snare、 How Come You're Always Out Of Veggie Patties?

 from『Oswego』

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 Soccer Teamが良くて、Ryan Nelsonを手掛かりにいろいろ辿った結果たどり着いたバンド。どうやらパーカッションで参加しているらしい。

 上に貼ったツイートに出てくる固有名詞でビビッとくるほどにはこの界隈に詳しくない。自分が反応できるのは今作のプロデューサーがJawboxのJ. Robbinsってことと前述のRyan Nelsonが関わってるよということくらいです。

 内容はまさにワシントンDCのハードコアサウンドで、中でも個人的なお気に入りポイントはボーカルがしっかりと歌っていることと、ほんの少しゆっくり目なテンポでバンドのグルーヴがはっきりと感じられること。楽曲は奇をてらわずに王道のポップセンスを備えていて……この界隈でこのセンスは珍しいんじゃないかと勝手に思っている。変に“外し”たりしないんだよね。繰り返すところはしっかり繰り返して、素直にメロディーを響かせる。テンポも本当に絶妙で、重厚感と疾走感がうまく両立する塩梅。

 名盤ですね。ハードコアというよりはもっと広範な、ロックのファン全員に響くと思う。どの曲もそれぞれの良さがありますが、お気に入りに挙げた2曲(名前が長い。他の曲もだけど)は特に広く受けるはず。

 

oswegodc.bandcamp.com

 謎ですが、バンドの楽曲をまとめたコンピレーションがBandcampでNYPです。

 あとこの作品をリリースしているBcoreという、スペインはバルセロナのレーベルがハードコア~エモ~ロックあたりで有力なレーベルらしい。ので時おり掘ろうかなと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

Julian Lage / Tributary、Word for Word、Echo、Fairbanks

 from『View with a Room』

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 Spotifyでてきとうに現代ジャズギター周辺を辿っていたときに出会った作品。ジャケットの時点でなんとなく良さげではある。

 いざ意識してみるとツイッターとかでもたまに名前を見かけるし、既に日本でも世界でも人気のアーティストなんでしょう。実際内容もとても良い。曲や演奏がいいのはもちろんだけれど、さらに前提となるギターの音色やらプロダクションがいい、というか好み。尖ったところがなくて日常にフィットする。

 同じセッションから生まれたらしい今年リリースの『The Layers』もまあまあ再生しました。あと、今回の期間(8月~11月)にJohn Zornと杉山和紀のTzadikのカタログがサブスク解禁されたのですが、そちらでもJulian Lageの名前を見かけます。『View with a Room』ではBill Frisellと共演しているのですが、このJohn Zorn経由での縁も当然あったということですね。……Tzadik関連は雰囲気良さげな作品だけメモっただけでまだ聴けてないです。

 

 

 

 

 

 

 

Modern Nature『Island Of Noise』(アルバム)

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 ピッチのレビューで見かけて、ジャケットに引き寄せられて聴いた作品(ちょっとTalk Talkっぽくないですか。いや他にもっと似たのあるだろうけど)。

 

hiroshi-gong.hatenablog.com

 概要を調べて書くか……と思って検索かけたら日本語で情報をまとめてくださっている記事がヒットしたのでペタリ。ということで詳しくはリンク先をご覧ください(久しぶりの仕草)。いつも弊ブログに反応くださってる方ですね。お世話になります。それはそれとして、けっこうベテランの集まったバンドらしいですね。基本的にはJack Cooperという人が中心で……これ以前にもいろいろなバンドをやっていて、その中にはUltimate Paintingなんかもあるらしい。この人だけでかなり大きなツリーを描けるであろう、重要人物っぽいですね。

 話を戻して。内容はフラットなテンションの牧歌的な室内楽+ロック。アレンジはかなりミニマルで、「Noise」という語を冠していながらも非常に整理整頓されている印象。余白を無駄に汚したりしない、丁寧な仕事ぶりです。

 ボーカルは朴訥としていて……そこまでムードにフォーカスしているわけではないし、そもそもメロディーのセンスがかなり違っているんですけど、それでも総体的にはSam Prekopとかを連想しちゃいますね。なにか飛びぬけた一曲があるわけではないのですが、全曲が高クオリティでアルバム全体で聴かせるタイプ。非常によくまとまった作品です。

 安定したペースで作品を出していて、今年も9月の終わりに新作を出したばかり(今回取り上げたのは2022年のリリース)。なんかジャケットのデザインに統一感があって……その延長でどれもクオリティが安定してそう。鉱脈感ありです。

 

 

 

 

 

 

 

Vince Guaraldi『A Charlie Brown Thanksgiving』(アルバム)

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 ごく最近ピッチで取り上げられた作品。こいつピッチフォーク見すぎだろ。というかピッチフォークくらいしか音楽メディア見てないんですよ。

 50周年だから、オリジナルは1973年ということですね。ピーナッツのアニメ作品のサントラらしい。ポップでキャッチー、しかし節度のある、とても気持ちのいいソフト・ジャズ~ファンク。これでいいんだよ、これで……なんて思わず呟いてしまう。

 Spotifyにあるのはまさに50周年記念版でボートラがかなりあるので、自分はとりあえずボートラだけ抜いたプレイリストを作ってそちらで聴いています。なんとなくアルバムとしてのまとまりを気にしてしまうので。曲単位でお気に入り挙げてないですが、まあ全部良いです。

 

 

 

 

 

 

 

 桃井聖司 / Greek City、Town & Village、Battle

 fromヘラクレスの栄光Ⅲ』

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 偶然見た『ヘラクレスの栄光Ⅲ』というゲームのプレイ動画。しばらく見ていたら町や戦闘のBGMが頭に染みついて離れなくなった。

 「Greek City」(海外版だと「Olive-Scented Town」なんでしょうか)は今回お気に入りとして挙げた音楽の中でもトップのお気に入り。超名曲だと思います。というか他の曲も含め、確実に「コードを細かく変え続ける」スタイルの音楽で……このスタイルは過去にも何度か触れていますが、例えばZappaの桃とか田中秀和Lampなど、まあいっぱいいるんですけど、とにかく自分のツボなんですよね。

 作曲家は桃井聖司。他にもゲーム音楽を作っていて、自分の知っているところだと『テイルコンチェルト』や『メテオス』、近いところだと『Re:LieF〜親愛なるあなたへ〜』(エロゲです)なんかも一部担当しているらしく。他の作品がみんなこういうコード偏重のスタイルなのかはわかりませんが、なんにせよ過去作も触れていきたいですね。

 

 

 

 

 

 

 

Low / 2-Step、Missouri、Immune

 from『Secret Name』

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 Lowは定期的に聴きたくなる。今作から録音がアルビニで、もろもろ飛躍した印象。ポップな曲とそうでない曲の差が激しく、曲単位で見ればキャリア屈指のものもあるが、アルバム単位で見るとやや粗削りで、総合力で言えばやはり次作に軍配が上がると思う。けど「2-Step」名曲すね~。

 

 

 

 

 

 

 

トロールズ / エイシア

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 小袋成彬が重大発表と銘打ってペトロールズというバンドのレコードを発売することを告知。調べてみたら東京事変浮雲長岡亮介)がやってるバンドらしい。林檎~事変は自分の音楽の原体験の一つなので、こんなところでまた繋がりができるなんて。過去の人気曲を集めた作品になるらしく、だから小袋が内容に直接関わっているわけではないんだろうと思うけど(わからないけども)、自分の会社からリリースする以上は通じるセンスがあるのだろう。

 現時点で1曲サブスクで公開されていて、普通に名曲。ドラムのキックの三連、数回登場するだけでその後のリズムにずっと幻影が浮かび続けるという…。『Obscure Ride』やそれこそ小袋の作品みたいな、ブラックミュージックを消化したロック~ポップという感じになるのかな。期待です。

 

 

 

 

 

 

 

Serú Girán / Peperina、Llorando en el espejo、Parado en medio de la vida、Esperando nacer、Salir de la melancolía

 from『Peperina』

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Seru Giran……というかCharly Garcia関連も定期的に聴きたくなる。メロディーが濃ゆくてね、もはや演歌なんだよな。上で触れたBCore関連もそうだけど、スペイン語圏(アルゼンチンもスペイン語公用語らしい)ってかなり日本と親和性が高いというか、メロが濃い文化なんじゃないだろうか。

 これは4枚目のアルバム(81年リリース)で、今作を一区切りにバンドは活動を停止します(92年に再結成)。1stからそうですが、哀愁のメロディーが全編に渡って炸裂している。演奏力だって抜群なはずだけど、ここでは情感を最優先。「Llorando en el espejo」の突き抜けきらないコード展開の妙。「Salir de la melancolía」では一転して小気味よいグルーヴを披露。肩の力の抜けたスマートな演奏。こういうのがかっこいいんですよ。

 過去作より録音がずっといいのもあるけど、やっぱ曲がいいですね。名盤だと思います。

 

 

 

 

 

 疲れた~~~絶対に抜けはあります。とりあえずこれで終わっていいか!? ティアキンやりたすぎる。行ってきます!!