ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(2017)感想・評価

 オープンワールドアクションアドベンチャー

 

 

www.youtube.com

 

評価:9 /10

プレイ時間:70時間(クリアまで)

 

 ティアキンの流行に乗ろうと、ティアキン発売の一週間前くらいにプレイ開始(一緒にスイッチも買いました)。結局発売までにクリアなんて全くできなかったし、満足するまでプレイしたら逆にしばらくティアキンは触らなくていいや…となっている今現在。

 

 回生の祠を初めて出たときの演出で充分に伝わっていると思うが、自然豊かな世界の描写がすばらしい。その風光明媚さがゲーム中の移動を楽しくしている。世界を豊かに描くと移動自体がコンテンツになる。

 

 移動の楽しみを増す要素として祠やコログなどの細かな到達目標というか探しものが世界中に大量~~~にある。おかげで寄り道が止まらないしゲームプレイも止まらない(ずるずると長時間プレイしてしまう…)。ブレワイのメインコンテンツはストーリーでも戦闘でもなく、移動と探索なんだろうなと思う。

 

 ストーリーへの没入感を高める仕組みも良い。主人公リンクは初め記憶喪失の状態であり、それはまだゲーム内世界についてなにも知らないプレイヤー自身の状態と文字通りリンクする。プレイヤーはリンクを通じて・リンクと一緒に世界や歴史、そして自身の使命について知っていくことになる。

 

 とはいえストーリー自体はかなり薄味で……まあこれはエルデンリングもそうだったんだけど、おそらくプレイの自由度とストーリーのおもしろさは若干競合状態にあると思う。ストーリーを強めると、主人公のロールを演じることへの要求がどうしても強まってしまうから。自由な「移動と探索」を一番の強みとするなら、この程度まではストーリー要素を弱めなければいけなかったのかな、という。とはいえ、昔の記憶を思い出す場面は毎回興奮したし、リンクに思いを寄せているミファー関連のストーリーは胸熱だった。……今思い返してもゾーラの里でのゲーム体験は完璧だったなと思う。

 

 料理のシステムや気温・温度のシステム、服装(装備)のシステムに(リンクの発する)音まわりのシステムなど、すべてはゲーム内世界の解像度を上げることに奉仕していて、プレイヤーはリンクを通じて世界の手触りをつぶさに感じ取ることができる。そしてこれこそが「ブレス オブ ザ ワイルド」であって……つまり本作のテーマなんだろうなと思う。

 

 実際にプレイしているとかなり作業的になってしまい飽きてしまう部分もあるのだけど、それを差し引いても、このテーマで一本ゲームを完成させたことは偉業だと思う。BGM関連の制御なんかに顕著ですが、作り手の美学がしっかりと感じられる神ゲーでした。美しいです。