Return of the Obra Dinn(2018)感想・評価

 ホラー風味?一人称視点3D推理アドベンチャー

 

 

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評価:9 /10

プレイ時間:13時間

 

 無人となって帰ってきた商船「オブラ・ディン号」にいったい何があったのかを調査するため、不思議な懐中時計を使ってムーディー・ブルースよろしく乗員の死の瞬間を再生していく。非常に独特なデザインのゲームで、それゆえにシステムや操作に慣れが要るけれど、その分ゲーム体験も特別なものになっている。

 

 最終的な目的は乗員全員の身元と安否を確定することなのだけど、この謎解き部分がとてもよくできていて、論理的に物事を推理する楽しさを存分に味わえる。死の瞬間を再生できるので死因はある程度分かるのだけど、身元がぜんぜんわからなくて、プレイヤーは観察力をフルに活用することを求められる。服装や身体的特徴、人間関係(会話の内容など)など、あらゆる情報を活用して推理していくのがべらぼうにおもしろい。おそらく英語ネイティブの人ならば、英語の訛り方なども手がかりになるのだろう。そのくらい細かなところまで作り込まれている。

 

 その作り込みの細かさゆえに、日本人プレイヤーには謎解き的に少し不利なところもあるかもしれない。というのも舞台や登場人物が基本的に海外のものばかりなので。。現実世界の特定の国の文化の知識があってはじめて手がかりとして機能する情報がかなりある。上述した「訛り」なんかはその一例ですね。そういう意味では少し大人向けのゲームと言えるかもしれない。高校生で地理とか世界史を取ってた人とか、今現在それらを勉強している学生とかはより楽しめるかもね。

 

 謎解きは歯ごたえのある難易度だけど、ある程度のあてずっぽうを許容するゲームシステムがあり、そのおかげでかなり間口が広がっている。ここらへんのバランスは見事。

 

 システムや謎解きもすばらしいけど、グラフィックや音楽など演出面もよくできている。3Dと白黒二階調を組み合わせたグラフィックは非常に印象的で、一目見ただけで記憶に残る。実際、自分はグラフィック面から……SNSに流れてきたこのゲームのスクショが印象に残ってたから本作をプレイしたわけで。そして音楽。勇壮なストリングス主体のBGMは雰囲気あるし、またSEやボイスもリッチで臨場感がある。いやSEとボイスのクオリティ本当にすごくて、これが「あえて」抽象化させた(モノクロの)グラフィックと組み合わさることで、プレイヤーの想像力をこれでもかと喚起するんですよね。。

 

 感想書くの久々でちょっと書きすぎた感。芸術性なども含め総合的に見て神ゲーですね。繰り返しになるけどとにかくゲームデザインがユニークで、これだけで触る価値があるし、ちゃんとクリアした暁には確実に思い出に残る一本となっているであろう作品。いわゆる「センスオブワンダー」のある作品で、よくこんなゲーム作ったなと思います。