ザ・ディランII(でぃらんせかんど)『きのうの思い出に別れをつげるんだもの』

 

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 ザ・ディランII(ザ・ディラン・セカンド)という名前の日本のバンドのファーストアルバムより。前回のまとめで西岡恭蔵のファーストを取り上げましたが、その西岡恭蔵がソロ転向前に参加していた…というか活動初期の中心人物の一人だったのがこのザ・ディランIIというグループ。メインのメンバーは大塚まさじと永井洋の二人で、71年に西岡が脱退してからは二人で活動を継続していく。

 

 西岡の『ディランにて』と同じ72年に発表された作品で、収録曲も数曲被っているが音楽性は異なっており、『ディランにて』がどちらかと言えばタイトで骨太なのに対して、『きのうの~』は柔らかく、少し粘りけがある。ある意味、西岡と大塚のボーカルスタイルがそれぞれの作品の音楽性を象徴していて、朴訥ながらもハキハキとした西岡に対して、大塚はコブシを効かせて粘っこく歌い上げる。

 

 鍵盤楽器…ピアノやオルガンが編成にあるかどうかも音楽性に大きく影響していて(『ディランにて』にはほとんど鍵盤が出てこない)、たとえば#2「子供達の朝」という曲では中盤から薄く鳴らされるオルガンの音色が楽曲の印象を柔らかいものにしている。というかこの曲の、2分過ぎからの間奏部分めちゃいいよね…。

 

 名盤ですね…。パフォーマンスもいいですけど単純に曲がいいです。。サウンド参照元としてはディランはもちろんだけど、音の柔らかさ・粘っこさという意味ではThe Bandの『Music From Big Pink』が大きいような気がします。