はじめての同人誌作成ガイド

 イベント満載な8月が終わりました。お疲れさまでした。で、今回はじめて薄い本…もとい同人誌を作った訳なんですが、もっとあーすればよかったこーすればよかった、とか、あれは無駄だったなあ…とか思う点がけっこうあるので、ここでまとめておこうと思います。

 

 

(イラスト・マンガ系じゃないので注意!)

 

・本を作る基本の流れ

1.作る本のサイズ・ページ数などの仕様を決める

2.印刷してもらう印刷屋さんを決める(1で決めた条件での納期・値段を複数の印刷屋さんで確認・比較して良さげな印刷屋さんを探す)

3.(印刷屋さんへ)入稿~(印刷屋さんから)納品、本完成

(1、2と並行して原稿の作成は進めておきます。)

 

 原稿の作り方はさておき、同人誌を作る際には「本の仕様を決める」「利用する印刷屋さんを決める」という工程が必ず入ってきます。今回の経験からするに、これらをだいたいイベント(=本を頒布する日)の二週間くらい前に終わらせておけば、まあなんとなく大丈夫かなという気がします。

 

 逆に言えばイベントの二週間くらい前までは原稿を好き放題に書いていい・二週間くらい前になったら原稿をまとめ始めないといけない、という感じです。いやまあ本の完成形が明確にイメージできている人はいいんですけど… とりあえず、今回の自分のケースでは、本の完成形が定まってきたのがだいたいイベントの2~3週間前というタイミングでした。

 

 特にページ数が決まるのがけっこう終盤だった印象があります。本の作り方として先にページ数を決めるやり方・先に本の内容を決めるやり方の二種類があると思いますが(まあ実際に作る段になると両者の中間のやり方になると思いますが…)、後者の場合はページ数が決まるのはかなり後の方になるように思います。

 

 

 

 

 以下では初めて紙の本を作るよ!という人に向けて、おおまかな作成の過程と、それぞれの段階におけるポイントを挙げていきます。本当になにも知らない人&なにも決めてない人向けです~。参考になれば…

 

 

 

 

 

0.作る本のサイズとだいたいのページ数を決める

 まあまだふんわりでいいです。なんとなくで。

 

 

 

 

1.まず印刷屋さんのHPで締切と入稿の仕方を確認せよ

 個人的にはここが一番大事、かつ一番キツい工程です。なぜかというとたくさんの情報が一気にドバーっと入ってくるから。ローンチしてある程度期間の経ったソシャゲを何も知らない状態で始めるとき、みたいな感じです。

 まず、そもそもの基本情報として、「印刷屋さんごとに締切・入稿の仕方は違います」。イベント前になるとツイでよく締切が~割増が~という内容のつぶやきが流れてきますが、締切はイベント側が決めているわけではなく、印刷屋さんが自身のキャパシティを鑑みて決めています。この仕様でこの量なら納品までに~日かかります、というサービスの内容をHPなどで示しているはずなので、それをよく確認します。印刷屋さんごとに得意なことが異なるので、同じサービスの内容でも印刷屋さんによって値段や締切が変わったりします。

(この値段・納期を確認するために0の項で決めた本のサイズとだいたいのページ数が必要になってくるのです。だいたいの印刷屋さんのHPにお手軽見積もりシステムみたいなものがあるので、そこのフォームに値を入力して値段・納期がどのくらいになるのか見てみましょう。)

 入稿の仕方についても印刷屋さんごとに変わってきます……が、基本的な部分(最終的にこちらから提出するもの)は変わらないかな? 入稿のガイド的なものを印刷屋さんが作っていると思うので、とりあえずそれを読んでみます。……たぶんわからないことだらけだと思います。まあまだ完璧に内容を掴む必要はないんですけど、わからない用語は意味を調べつつ、いろんな印刷屋さんの入稿ガイド・原稿作成ガイドを繰り返し読みましょう。

 

 とりあえずこの段階では「入稿してから納品までにだいたいどのくらいかかるのか」(作る本の仕様によって変わりますが、まあおおまかな値ですね)を知ることと、印刷関係の基本的な知識を吸収することが目的です。後者は定着するのに時間がかかるので、長い目で取り組みましょう。入稿ガイド・原稿作成ガイドのページをブックマークしておいて、仕事の休憩時間とかに気分転換も兼ねて読んでみたりするといいと思います。

 

 

 

 

2.原稿を作成するアプリケーションを決める

 いろいろあります。おおまかに言えばMicrosoft Office系とAdobe系があり、Adobe系はさらに一枚もの系(IllustratorPhotoshop)とページもの系(InDesign)に分かれます。が、一枚もの系でも普通にページものは作れるようです(一枚一枚の集まりがページものなので…)。とはいえページものを作るなら素直にInDesignを使った方が楽なのではないでしょうか(Illustrator使ったことないのでわからん)。

 一応書いておきますが、どれも有料です。Office系はもしかしたら職場や自宅のPCに入っていたりするかもしれません。Adobe系はそういう仕事をしている訳でもなければ入っていないと思います。。

 最近ではその選択肢ににAffinityというグラフィックソフトウェアシリーズが加わってきているようです。Adobe系との大きな違いは「買い切りタイプ」ということ。Adobe系を使う場合と比べて相当出費を抑えることができそうです。

 

参考:

stocker.jp

 

 自分は勉強も兼ねて一番スタンダードっぽいAdobeInDesignを使うことにしました。(後でも触れますが、最終的にはPhotoshopも使いました。ぶっちゃけ、ソフト代だけでもけっこうかかります。こちらも予め確認しておくことを勧めます。)

 

 

 

 

3.原稿作成

 それぞれのソフトの使い方についてはチュートリアルを参照しましょう。例えばInDesignならこちらのページ。

 

helpx.adobe.com

 

  基本、公式が一番詳しいと思いますが、詳しさと分かりやすさは別なので、読んでもよくわからん~!ってなったら適宜検索して調べながらやっていきましょう。

 

 この部分に関してはそんなにアドバイスできないので… とりあえず個人的に躓いたところを挙げていきます。

 

 

・本の構造を意識したレイアウト

 これは自分のやらかしなんですが、ソフト(InDesign)上での見た目が良いのでなんとなくページ内で線対称のレイアウトで原稿を作っていたのですが、改めて実際の、てきとうな商業の本をぱらぱらとめくってみると……対称じゃないんですよね。ノド側は多めに、小口側は少なめに余白を取ってあります。単純にノド側は奥まっていて見にくいのでこういうレイアウトになっているのですが、そのことに既に100ページ近く原稿を作ってから気づいた自分は…

 

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 今回作った本から画像を持ってきました。この画像、一見整っていていい感じなんですけど、これがいざ本になると、ノド側(画像中央部分)まで文字が入っていて読みにくくなるのです(本を目いっぱい開かないと読めなくなる。)。なので……

 

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 ノド側の余白を多めに取ってあげましょう。そうすると実際に本になったときに読みやすくなります。(本当はもうちょい広く取りたかったのですが、レイアウトが崩れるのでこのくらいで妥協しました。)

 

 一応、ドキュメント内のすべてのオブジェクトを一度に移動させる方法(スクリプトのAdjustPageItemsだったか)があったので良かったですが。でなければすごい量の作業が発生しているところでした。基盤となるレイアウトのミスは後々めっちゃ響いてくるので、早めの段階で、一度数ページ実際に印刷して確認するとかしてみた方がいいです。

 

 

・画像の解像度

 まずはこのページの「Step1-7. 解像度とは」の動画を見ましょう。

helpx.adobe.com

 

 動画見るのがめんどくさかったらこちらのページを。

helpx.adobe.com

 

 他にもネットで検索すれば分かりやすいページがあるのでいろいろ読んでみましょう。

 

 注意点としては、「PCのディスプレイ上では低解像度の画像もきれいに見えてしまう」ことがあります。紙に印刷するとモザイクのように見える画像もディスプレイを介するとなんの問題もなく見えてしまう、ということがあります。画像を使う場合は解像度の値に注意しましょう。

 

 一度試しにネットでてきとうに画像を落として、エクスプローラーでプロパティを開いて見てみてください。「水平(垂直)方向の解像度」という項目で解像度を確認できます。

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 ネットに落ちている画像のほとんどは72dpi or 96dpiです。そしてそれらの画像もディスプレイ越しではきれいに見えます……が紙に印刷すると、これがもう全然なのです。

 

 解像度の低い画像を使う場合、Photoshopなどのソフトで解像度を上げる作業が発生します。この作業自体はそこまで時間のかかるものではないのですが…… 多少考慮して予定を立てることを勧めます。

 

 

 

 

4.改めて本の仕様を決定・確定する(イベント三週間前くらい)

 ある程度原稿ができてきたら(or イベントが近づいてきたら)まとめる作業に入っていきましょう。本の内容を吟味してサイズ・ページ数やカラーか黒一色かなどの仕様を確定していきます。目次が作れるくらいになると、終わりが見えてきたという感じがしてくるんじゃないでしょうか。

 

 

・紙について

raksul.com

 

 いきなり用紙の種類を聞かれてもいや、知らねえ……となってしまいますね。基本的にはコート(光沢・ツヤがある)とマット(光沢・ツヤがない)の二つを押さえておけばおけばいいような気がしますが、まあ詳しくはネットで調べましょう。なんとなく、迷ったら厚い方(数字がデカい方)を選んだほうがいいと思います。

 

 

 

 

5.印刷屋さんの決定

 仕様が確定したら、その仕様で値段・納期がどのくらいになるのかを確認します(見積もり比較)。もちろん印刷屋さんによって変わってくるので、いろんな印刷屋さんを回ってみましょう(ネット上でですが)。自分の場合、値段が10万以上、納期が4日くらい変わったので……いやまあこれは極端な例だと思いますが。

 

 一応自分の場合、A5、202ページ、本文フルカラーで20部、納期5日という仕様で4万円以内に収まりました。参考までに。

 

 

 

 

6.入稿~納品

 印刷屋が決まったらあとは注文して、頑張って原稿仕上げて入稿するだけです。一応、印刷屋さんも入稿されたデータを見て(自分のところは見てくれました)、謎なところがあったらこちらに確認してくれるんですが、それで納期が遅れることが普通にあるので、少し余裕をもって入稿できたらいいですね。あまりに納期がギリギリの場合は、変なところは全部スルーしてとにかく印刷してください、とか言っておけばそのように対応してくれると思います。

 

 

 

 

番外編

7.イベントにて

 自分のように無名な存在の場合、イベントではいかに無関係の客…というか他のサークルが目的の客にアピールできるか、というのが重要になります。そのためには本の概要の紹介が必須となります。大文字で本の内容が一瞬で掴めるような紹介文を用意して、スペースに配置しておきましょう。視覚情報が本のタイトルと値段しかない…なんてのは絶対にやっちゃダメです。

 あとできればポスターも掲示しましょう。たぶんスペースを見てくれるお客さんの数が大幅に増えるはず。というより、自スペースの対面側のサークルがポスター掲示などで目立った場合にかかる自スペースへのデバフへの対抗手段として、ある程度の目立つ手段は用意しておいた方がいいです。

(イベントでは基本通路の両サイドにサークルが並んでいるのですが、お客さんはだいたい片一方のサイドだけを見ながら通路を歩いていきます。すごく目立つサークルがあった場合、そのサークルがいるサイドを見るので、そのサイドの属するすべてのサークルにバフがかかります。逆に対面側のサークルにはデバフがかかります。またバフは目立つサークルに位置が近いほど効果が高くなります(両隣・真正面が最大))(ゲーム脳かよ)

 

 

 

 

8.通販対応

booth.pm

 

 これも今回初の試み。メールとかツイのDMとか使って完全にDIYでやってもいいと思いますが、前から買う側として使っていたboothを利用してみることにしました。

 勝手に(なんか面倒な手続きとかあったりするのかな…)とか思ってたんですが、実際はそんなことなく非常に簡単に通販を始められました。なんかコツとかあれば書こうと思っていたけど簡単すぎてコツもなにもなかった。手数料的なものも少ないし、なんか参加費とか交通費洗ってイベントに参加するより通販に専念した方がもろもろの効率はいいのでは…?とか思えてくる。いや実際そっちの方がいいんでしょうけど、まあイベントはお祭りですからね、また別の魅力があるので…

 

 

 

 

 

  とまあこんな感じです。これはあらゆることに言えると思いますが、最初が一番きついです。印刷屋のHP見ても情報多すぎてなにがなんだか……デザインソフト立ち上げてもどこから手をつけていいか……

 

 物事の整理には時間がかかります。焦らず、時間を置いてくり返し見たり触ったりしましょう。そのうちちゃんと理解できてきますので。

 

 原稿も、作り始めると楽しいものです。ある程度出来上がってくるとなんかすごくテンション上がってきますし。実際に本になって手元に届いたときは感動します…

 

 本作りが難しそうに見えるのって、完成までの道筋が見えにくいのが理由の一つだと思っていて。今回、すごく大雑把ですが、自分が辿った道筋を載せておきますので、なにかの参考にしてください。わりと簡単に、フラ~って感じでできちゃうので。どんどんよくわからないものを作っていきましょう。