Talking Heads『Remain in Light』はどんな感じで聴かれているの?

(雑文だぞ!)(そもそも記事タイトルが雑…)

 この間のピッチのSunday Reviewでトーキング・ヘッズのリメイン・イン・ライトが取り上げられました。

Talking Heads: Remain in Light Album Review | Pitchfork

 そこでは10点満点中の10点という最高の評価をされており、個人的には(ですよね。)という、普通に納得という感じだったのですが、今日仕事中にツイッターを眺めていたらこんなツイートが流れてきて……

 これを読んであれっもしかしてピッチの満点評価を見て複雑な気持ちになる人ってけっこういるのかな? とか思っていたんですけど、仕事を終えて帰宅してから改めてツイを眺めたらこのツイート自体がある記事に対するリアクションであるということに気が付きました。

 そのリアクションの元になった記事がこちら。

(これらが連続で投稿されていたのに気づかなかった。s.h.i.さんがピッチ見て自分から言及しだしたのだと思っていた…)
(記事タイトルの後ろにある「文句は別にないけど……」という文言がとても微妙な雰囲気を醸し出している…)






 読んでみると、10点という点数自体に文句はないようだけど、『Remain in Light』に対する「アフロ・ポリリズムを取り入れた名盤!」という評価に納得がいっていないらしい。



 少しこの記事に出てくる言葉を整理する。だいたいウィキより。

ポリリズム:複数の異なる拍子が同時進行で用いられている音楽の状態。3/4と4/4/とか。

アフロ・ポリリズム:よくわからんけどポリリズムを使ったアフロビートのこと? 検索すると菊地成孔がいっぱい出てくる(まだ作品聴いたことない…)。

アフロビート:そもそもアフロビートを知らないぞ。アフリカ音楽のジャンルで、アフリカのパーカッションを用いたブラスバンド編成が特徴なのだそう。フェラ・クティが自分の音楽をアフロビートと呼称して広まったらしい。アフリカっぽいパーカスとブラスが入ってればアフロビートということでいいんでしょうか(たぶんよくない)。

シンコペーション:各自で調べて…

ダウンビート:小節の最初の1拍のこと。指揮者が手を振り落とすところ。拍子頭と同義のような気もするけどどうなんだろう。

オスティナート:ある種の音楽的なパターンを続けて何度も繰り返すことらしい。ハウスとかテクノって全部オスティナートなのかな(?)。



(この方の書く記事、とても充実していていいと思うのだけど、専門用語がばんばん出てくるので難しい。)







 こういう言葉の意味を踏まえて記事を読みつつ作品を聴いていくと…

 たしかにポリリズムではないな… アフロビートっぽさは正直わからん(フェラ・クティ通ってないんですよね自分。。今度聴いてみようと思います)けどパーカッションの音はアフリカっぽいのでアフロなんとかと呼んでもまあいいんじゃないかと思う。

 ……はい。そうですね。書かれている通りだと思います。





 実は今回の記事はですね、さっきのツイートとimdkmさんの記事のタイトルだけ見てなんでそんなにリメイン・イン・ライトをくさしてるの?と思って書き始めたものでして、記事内の指摘を検証してあわよくばツッコミ入れて、やっぱめっちゃいい作品じゃん!という方向に持っていこうと思っていたやつなんですけど、実際に記事の内容を読んだらリメイン・イン・ライト自体はまったくくさしてなくてですね(くさしてるのは作品ではなくレビュー)、またそのことにほんのさっき気づいてですね、つまり……………………全部なかったことにさせてください……。



 あーでもですね、最初に貼ったツイートの「何も考えずに理屈抜きに楽しめるかというと、ポストパンク的な音に慣れてない場合は特に難しいのではないかと思います。」という点については、個人的にはそうは思いません。いや別にこれは反論でもなんでもない、個人の感想ですけども。トーキング・ヘッズって基本的には「16ビートの、リズムに凝ったギターロック」で、「複数のフレーズを組み合わせてポップに聴かせるのが抜群に上手いバンド」だと自分は思っていて……特にポストパンクに通じていなくても、なんというかリズム感があれば誰でも楽しめる音楽なんじゃないかと思っています。少なくとも同年代のポストパンクにおける代表的な作品……Joy Division『Closer』、The Fall『Hex Enduction Hour』、Public Image Ltd.『Metal Box』、This Heat『Deceit』などと比べるとこちらの方が聴きやすいのではないかと。(サウンドのかっこよさは伝わるけど気持ちよくはない…みたいな。おれがまだポストパンクに慣れてないだけ??)



 さまざまなフレーズの絡み合いが気持ちいいのであって、だから例えばスライの『暴動』とか、D'Angeloの『Voodoo』などで聴けるようなグルーヴ、というかリズムの揺らぎの気持ちよさがわからなくても、今作のサウンドは楽しめるんじゃないかと思います。図形で言えば曲線じゃなくて直線だけで成り立っている幾何学模様というか…(よくわからんくなってきた)。個人的にはこの快感はミニマルテクノを聴いているときのそれに近いと感じています(これはこれで偏った受容の仕方な気が…)。



 リズム面も含めて、いろいろな音をごった煮にしたミュータントなサウンドのオリジナルさが評価されているのでは? とも思ったのだけどどうなんだろう。というか、レビューに対するリアクションに噛みつく前に元のピッチのレビューを読めという話ですね。ああー……



 まあそれはそれとして、みなさんはこのアルバムをどういう風に聴いて・捉えているのでしょう。自分としては慣れないところ、よくわからんところもあるけどそれ以上にポップで、先ほど書いたように黒い粘りのようなものはないけれど、それでも勝手に身体が反応してしまうくらいにダンサブルな音楽だと思っています。 ……どうですか?