Lamp [彼女の時計]


 日本のバンド、Lampの8枚目のアルバム。

アルバム特設サイト:
Lamp、8th Album『彼女の時計』2018.05.15 リリース | 特設サイト
公式通販:
Lamp『彼女の時計』(CD) | botanicalhouse
インタビュー:
ときめきと情緒と…Lampの80年代、90年代に触れてみた(1/4) - いまトピ
レビュー
Lamp 『彼女の時計』 夢の先、シティー・ポップの先へ。 | Mikiki
Light Mellow on the web 〜 turntable diary 〜 : ■ 彼女の時計 / Lamp





 Mikikiの天野龍太郎さんのレビューがとても良くて、あれ以上のものは書けないのだけど、まあこういうのは自分で言葉にして、自分の中で位置づけることが大事なので…






 今までの作品と比べてシンセの柔らかい、輪郭のにじんだような音が増えている。これによって、サウンドから立ちのぼるイメージがこれまで以上に幻想的な、なんというかふわふわしたものになっていて……例えるなら今までのサウンドからはどこかの道やら家やら、どちらかといえば具体的なくっきりとしたイメージが浮かんだのに対して、今作のサウンドからはある場面の「空気そのもの」みたいな、より曖昧なイメージが浮かんでくる。まあ感じ方は人それぞれではあるのだけど、個人的にはこのサウンドに対して、前作よりも「ゆめ」っぽいなーとの印象を受けた。






 曲について、全体的にテンポがゆっくりになった……ような気がしているのだけど、もしかしたらそんなに変わってないかもしれない。確かなのは音数というか、音の密度が今までよりも小さく、ミニマルと形容していいほどになっていること。おかげでコード展開やメロディーの美しさにじっくりと浸れるようになっていると思う(テンポがゆっくりに感じるのも音数の少なさが原因のような…)。

 この音の柔らかさ・少なさから、今までで最も聴き疲れしない作品になっていると思う。それでいて全体の統一感、アルバムとしてのまとまりは『ランプ幻想』クラスのため、アルバム単位でどんどんリピートしてしまう。複雑な曲をきめ細かなアレンジで聴かせたハイカロリーな『東京ユウトピア通信』とは、ある意味対照的な作品だと思う。

 個人的に好みな曲は「スローモーション」、「車窓」の二曲。どちらも朴訥とした、地味な印象の曲なのだけど、メロディーがため息が出るほどに美しい。聴いてもいいけど、自分で歌ってもとても気持ちがいい。






 遠い記憶のような、ふわふわとした幻想的な空気がすてきな作品。曲はまったく違うけれどもサウンドの空気感はBoards of Canadaのそれに通じるものがあるかもしれない。2ndの万華鏡を思わせるサイケデリックなものではなくもっと牧歌的な……子どものころにやったシャボン玉のような……




8.4