アークナイツ『火山と雲と夢色の旅路』雑感想

 

 

www.youtube.com ストーリー読んだ後だと動画冒頭の字幕だけで泣けてくる…

 

 ツイに投げた雑な感想をまとめたものです。

 

 いきなり中盤以降の話になりますが。戦闘のないシナリオだけのステージであるSL-ST-2の話がめちゃ良かった。道具でもお化けでもなんでもいいんですけど、「人の想いを人以外のものが媒介する」みたいな話が個人的なツボらしく(だから『もっけ』とかが好き)。今回の話も今を生きる人間ではない、ドリーの創造物を介してエイヤに想いが伝えられます。おそらくはエイヤのパパママなんでしょうけど。。ストリングス基調のbgmもいいし「雨、雨、あっち行け」というタイトルもいいし、涙……。

(改めて確認したらこのシナリオの最後の文が「さようなら、アデル。」で、今回のイベントのタイトル回収となっていましたね。)

 

 

 

 

 

 

 

 「自分の石を植えて、それが根を張り芽を出すのを、遠くへ行くのを見守る」「小さな石ころもマグマとなって、噴火しようとしている」「それは雲となって、また地面に落ちるだろう」「もはや石ではなくて、ひとすくいの暖かくて白い火山灰に変わるんだ」「栄養が含まれていて、土に混じると花を咲かせることのできる」……

 すべて前述のSL-ST-2からの引用ですが。おそらく人類の、人の営みについての話で。羊からエイヤに語る構図ですが、一歩引いて見ればそれを外から見るプレイヤーがいて……だから、自分はこれはアークナイツがプレイヤーに対して教え諭しているようにも思うんです。今回のイベストでエイヤは両親の死を乗り越えましたが……それを読んだ僕らもなにかを乗り越えるための力を得られたのではないか。

 ……ぶっちゃけて書くと、これからどんなに辛く苦しい展開があっても、このお話を経た君たちなら乗り越えてくれるよね?とでも言うような、アークナイツ側からの再確認のようなものでもあったのかなと思っています。辛く苦しい展開、とは例えば「キャラクターの死」とか。鉱石病の進行が特に酷く、ストーリー中でもその影を感じさせていたエイヤが中心に置かれることで、イベストのテーマ的なものがより身近に、確かな重みをもって感じられます。

 

 

 

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 描写される出来事自体はふわふわしたものもあり、そもそも(ドリーの生み出した)羊だって時と場合によって存在を感じられたり感じられなかったりする不確かなもので。アークナイツにおいて過去イチで抽象的な部分が多いストーリーだったと思いますが、同時に今までで最もはっきりとしたメッセージ性も持っていて……良かったです(語彙死)。

 

 

 oyukiさんのこのポストを見るまで副題?の「So Long, Adele」を認識していませんでした。ストーリー読み終えてから気づいて(´;ω;`)ブワッとなりました。

 

 世界が厳しさを増すほどに価値を増すメッセージ。それはエイヤやセイロンなど作中のキャラクターはもちろん、外から観察するプレイヤーにとってもだ。

 

 

 

 

 全体に渡って比喩的な表現が多いストーリーで、自分自身すべてを読み取れたという自信はまったくありませんが、とりあえず、一読しての感想となります。

 明るく楽しいパートもありましたが、個人的にはお葬式……とまでは言わないまでも、「通過儀礼」的なお話だったなと思っています。SL-ST-2のエイヤが見た夢も、終盤に親の防護服を着て実際に火山に確認に行く行為も、そして商店街の面々が海辺で開くパーティーも……広い目で見れば人が次の段階へ進むためのイニシエーションの一部だったんだろうなと。

 「物事を受け入れて先に進む」という、普遍的な、いつでもいくらでもやっていいタイプのお話だとは思いますが、とはいえ夏の、【限定・遊】のリミテッドスカウトのタイミングにこういう話を持ってくるのは豪胆だなと思いました。時期としては、日本ならお盆のときなんかに読みたい内容で……改めて考えればドリーの生む羊ってご先祖様の霊みたいな感じだし(集まって騒いでいる様は、見ようによっては百鬼夜行みたいなものなのかも、とか)。

 ただ、新作の「エンドフィールド」もあるので……そういう意味ではタイミングとしては最適でもあったのかな。プレイヤーが新しいタイトルに移るための通過儀礼として今回のイベントがあった説。…まあこれは半分冗談ですけども。でも、今回のシナリオを読むことで、あまり言葉にはしたくないんですけど、アークナイツという物語がいつか終わることに対しての覚悟が持てたような気がします。そのいつかって絶対に来るし、そのいつかに備えるためには絶対こういう話が必要だったと思う。自分が「アークナイツ誠実すぎる」って呟いたのはまさにそういう意味で……。今回、アークナイツでこの話が読めて本当に良かったです。すばらしいお話をどうもありがとうございました。