井手健介と母船『Contact From Exne Kedy And The Poltergeists』

 

 どのくらいの人が待ち望んでいたのかわからないけれど、とにかく出ました、待望の井手健介と母船の新作。これがすごく良くて、もう一月くらいずっと頭の中で今作の曲が鳴り続けています…

 

参考リンク:

www.ele-king.net

 

www.youtube.com

 

 キーワードは「グラム・ロック」で、艶のあるサウンド、ケレンみのあるプレイ・パフォーマンスが味わえる。#3「ロシアの兵隊さん」冒頭のギターの鳴りがもう、これだよこれ~!ってなる。グラム・ロックってこういうサウンドだよね!(あとこの曲はボーカルもグラムグラムしていて良い)1stにも収録されていた曲ですが、ここまで見事に生まれ変わるとは…

 

 前作とは打って変わってボーカルはいろんなスタイルが試みられていて(多重人格みたいになってます)、正直変!って感じることもある(1曲目の「イエデン」から度肝を抜かれます)のだけど、それが楽曲に見事にハマっているものだから手に負えない。聴けばなるほど「井手健介」じゃなくて「エクスネ・ケディ」が歌っているんだなということがわかる。

 

 このアルバムにはとにかく「歌心」があって、それが個人的には一番の魅力になっています。今年触れた作品の中でダントツに「歌」が良い。それこそグラム・ロック期のデヴィッド・ボウイを思わせるような強い引力が備わっていて、どうしようもなく惹きつけられてしまう。

 

 個人的にツボったのが#4「ポルターガイスト」で、山賊みたいなボーカルとロマンチックなストーリーを感じさせる歌詞のギャップで萌え死んでしまう。すごーくシンプルな曲なんだけどそのシンプルさがまたドラマを引き立てていて… 大サビで入ってくるアコギのジャカジャカ…が聴こえてくるともう涙腺が崩壊してしまいます。常に幽霊みたいにひゅう~と鳴らされているスティール・ギターもすごく雰囲気が出ていて、これが曲の終盤になるとまるで幽霊が泣いているかのように聴こえてくるんですよ。まあ半分くらいは聴き手というかぼくの妄想なんですけど…

 

 とにもかくにも痛快な作品です。自然体で作ったら穏やかな曲ができてしまうタイプの人なのではと勝手に思っていましたが、こんなロックな作品になるとは。。こういう(良い意味で)軽薄で退廃的な音楽って昨今珍しいかも? すごくフレッシュに感じました。