Pink Siifu『Ensley』

 

 

 ツイッターでPink Siifuという名前のアーティストの『Negro』というアルバムの話題が流れてきて、ぜんぜん知らんアーティストだな…と思いつつ、そのNegroよりも前のアルバムから聴いてみるか……となって聴いたのがこの『ensley』(2018年発表)。これが良い意味で肩の力の抜けた穏やかな作品で、最近よく流しています。

 

 ↑に貼ったアルバム一曲目「ensley (Smile Made Of Gold)」の、「Prototype」やFrank Oceanを思わせるギター使いからもう良い~…という感じ。その後もStanding on the CornerやMIKEを彷彿とさせるローファイでメロウで、ややスケッチ感のある楽曲がつらつらと続いていきます。というか実際にSOTCやMIKEを含む様々なアーティストがこのアルバムに関わっているようで、それらはDiscogsの作品ページやBandcampのページから確認することができます。

 

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 Bandcampのアーティストのページ(ronee sageという名前で登録されているようです)では大量の作品が登録されています。ここではPink Siifu以外にもiiyeという名義が散見されますが、どうやらiiyeとは彼のビートメイカーとしての名義らしいです。てか本当めっちゃ作品ありますね、一部のVaporwaveアーティストを彷彿とさせるくらいに…(音楽性も似てるところがあるんですが)。ぱらぱらと作品を聴いていくと、そのどれもが一定のクオリティを誇っていることがわかり、これは鉱脈……となる。ローファイでドリーミーでミステリアスな音を求めている人ならいくらでも時間をつぶせるよのではないでしょうか。

 

 とりあえず、『ensley』はやや散漫(ゲストがめちゃ多い故か)ながらも穏やかなムードで統一された良作だと思います。レイドバックした雰囲気があり、暗くなってから流すとどんどん沈み込んでいく感覚を覚える。最新作『Negro』はもっとフリーキーで暴力的で、彼のそれまでの作風からすると(そんな聴けてないけど!)異常事態と言っていい感じ(偶然にも、現在アメリカはミネアポリスで起こっている事態ともリンクする、「怒り」を表明した作品らしい)。

 

 彼は他にもAkai Soloとの『Black Sand』やらYUNGMORPHEUSとの『Bag Talk』やら、AhwleeとのデュオB.Cool-Aidやら三人組?のKryptonyteやら、いろんなユニットを組んでいろんな作品をリリースしているようです。いや作品出しすぎ。この多作ぶりと作品のクオリティから、普通にMIKEやEarlと並ぶ才能のような気がします。この調子で作品作ってればすぐにBNM獲得できるのでは?なんて書いてみたり。