検索で謎を解き明かす推理アドベンチャー。
評価：7/10
プレイ時間：10時間（エンディングまで約5時間）
映し出される古めかしいPCのディスプレイ。立ち上げられたアプリの検索窓には「殺人」の文字。結果として返ってきたのは数件の動画ファイル……。
プレイヤーにできることは究極的には検索することのみ。様々なワードで検索し、ヒットした動画を再生、奇妙な事件/物語の謎を追っていく。ゲームプレイの半分くらいは動画を視聴している時間なので、本作のゲームジャンルが「インタラクティブ・フィルム」とされていることもある。
唯一？ゲーム的な部分は「検索結果が上位5件までしか表示されない」という制限で、このためにプレイヤーにはある程度の工夫が求められる。
数秒～数十秒のクリップが数百本あり、物語の体系的な理解にはメモが必須。自分は基本的に「事実は事実として確定させたい」みたいな人なのでしっかり目にメモを取っていたのだけど、改めて考えるとそのせいでプレイのテンポが下がり、思考をフル回転させる楽しみを損なっていたかもしれない。そこまでメモを取らず、直感的にプレイするなら2～3時間でエンディングに到達することもできると思う。
一応書いておくと、このゲームに明確な終わりはない。エンディングはクリップを全解放せずともある程度解放したら見れてしまうし、また全てのクリップを見たところで物語にはまだ曖昧なところが残っている。究極的には、プレイヤーがこの物語に納得した時点でこのゲームは終わるのだろう。詳しくはネタバレになるのだが、エンディングで初めて明らかになる構図（プレイヤーが操作していたのは動画の女性の娘で、自身の母親のことを知ろうとしていた）もリアルのプレイヤーのそれと美しく一致する。
デザインは斬新ながらゲーム性は薄く、ゲーム的におもしろいとは言い難いが、推理する楽しみはしっかりある。語られる物語は興味深く、登場人物の演技も真に迫っている。自分の体験からすると、メモ取りで消耗することにさえ気を付ければ広い層が楽しめるゲームだと思いました。まあ序盤はどの情報が重要なのかわからないので仕方ないですが、話の大筋が掴めてきたと思ったらあとは割と直感で進めても大丈夫な気がします。
