評価:9 /10
プレイ時間:3時間(クリアまで1時間半)
情報過多な現代社会に疲れた?主人公が叔母さんに連れてこられた公園で体験するちょっとした冒険。ほぼタイトル通りの内容で、自然豊かな環境を気ままに散策し、最終的には公園で一番高い山に登ることになる。
難しい操作が要求されることはなく、メインのチャレンジとなる山登りもサブイベントをこなして追加のスタミナ(黄金の羽根)を入手していればそこまで苦労しない。だからこのゲームのキモはアクション部分にあるわけでなく、柔らかなゲーム内世界をハイキングする(ブレワイ的な)体験と、そして上述したサブイベント群……つまり個性豊かなキャラクターたちとのコミュニケーションにあるのだろう。
人生に迷走しているような主人公だが、ややハード目なハイキングや隣人との交流を通してしだいに心が晴れていく。ゲーム内でのスタミナにあたる黄金の羽根はたぶん精神的なものを表してもいて……イベント・探索を通して得られるそれは主人公が新たに獲得した「自信」や「活力」でもあるのだろう。
個人的な体験としてもキャラクターたちとの暖かな対話が一番刺さったポイントで。住民が抱えている問題ってお金がない!みたいな具体的なものもあれば、気の持ちようだよ!というようなふわふわしたものも多くて、というかそもそも問題と捉えてないようなものもある。ちょっとナーバスで……みたいな。ふわふわした問題にはふわふわした解しか出なくて……こういう曖昧なところはもしかしたら人を選ぶのかもしれない。
でもこういうところが実は個人的な癖でもあって……このゲームね、「根拠のないポジティブな感想」が多いんですよ。「願い」とでも言うか。「~だったらいいな!」「きっと~だよ!」とか、そういうやりとりが多くて見ててほっこりするんですよね。
逆にというかなんというか、「気持ちの問題」をちゃんと問題として捉えるには気持ちを大事にしていないといけなくて……だってそれは気持ちを大事にしていなければ問題にならないから。だからそういったものを問題として扱っている本作は気持ちを大事にしているんですよ。ということで……「気持ち」や「気分」といった曖昧なものにフォーカスしている点がこのゲームの人を選ぶ点であり、また一番のストロングポイントでもあるんじゃないかと思うのです。
これは特にネタバレでもないと思うので貼ってしまいますが、タイトル画面のオプションで「キミにおくるメッセージ」というものがあって、そこで「今日も素晴らしい一日を (^^)」って言われるんですね。たぶん「Have a nice day!」の訳かと思うのですが、個人的にはこれが一番このゲームを象徴しているなと感じます。隣人愛に溢れたすばらしいゲームだと思います。
(ちょいネタバレ)個人的に失敗したなーと思うのが、クライマックスで山頂から飛行するときに、上昇気流でどこまでも上がろうと思ってジャンプボタンを押しっぱなしにしていたらそのまま直滑降が始まって一瞬で着地してしまったこと。あれは自分がここまで登ってきた世界を達成感とともに悠々と眺める……スタッフロールなんかが流れてもおかしくないような名シーンだと思うのですが、そのときの自分はまだ直滑降の操作を知らなくて、一瞬でグライドが終わってしまったんですね。それまでの余韻とかが全部吹っ飛んでしまって、体験としてはかなり損したなと思いました。ネタバレって書いてるのであれなんですが、もしこれからプレイする人がいたらちょっと気を付けておいたほうがいいかもです。