シャムキャッツ [たからじま]


 4人組のロックバンド、シャムキャッツのセカンドアルバム。2012年作。
たからじま – siamese cats official web
interview with Siamese Cats アドヴェンチャーしないとね! | ele-king
【合評】シャムキャッツ『たからじま』(P-Vine) - COOKIE SCENE

 毎年5〜6月くらいになるとこのアルバム聴いてるな…。大学時代、部活の合宿があったとき、バスの移動時間で聴いてたことを思い出す。そのときが初聴だったんだけど、一発目からドンピシャでハマって、テンション上がりすぎて一人挙動不審になっていた。



 上記の田中宗一郎のインタビューなんかで語られ尽くされてるような気もするけどまあいいです。
 シャムキャッツの二枚目のアルバム。個人的には、その後の「AFTER HOURS」に比べてちょっと不遇な扱いをされてるような気がする(個人的にですよ)ので今回取り上げるんですけど。というのも、2010年代前半ってなんというかシティポップがすごくもてはやされてたような気がしていて。いや単にぼくが見ていたものが偏っていたってのもあるんでしょうけど(ceroとか一十三十一とか見てた)、まあそういう時期にこんな直球のギターロックが出てきてしまって、うーん、みんなの気分と合わなかったのかな…なんて思ったり。自分の感覚だと「たからじま」〜「AFTER HOURS」って乱暴に言えばロックからAORくらいの音楽性の変化だよなあって思ってて、で後者の方がシティポップ好きにはずっと合うんだろうなと。人によっては「GUM」以前〜「たからじま」での変化ですでに今回と同様な印象を受けてるっぽいですけど(クッキーシーンのレビュー参照)。まあ「たからじま」あっての「AFTER HOURS」の広がり方ってのは確実ですが…

 うだうだ書いてきましたけど、一言で言えば「たからじま」はもっと語られていい作品だってことです。ぼくはただ「AFTER HOURS」に比べて「たからじま」の話題をあまり見ないことにムムっとなっているだけです。「AFTER HOURS」もすごい傑作なんですけどね。

 内容については上記のインタビューに詳しく載ってるので読んでください。最高のロック。参考になるかわかりませんけど、ぼくがこのアルバムの両隣に置く作品を選ぶとしたらビートルズの「ヘルプ!」とペイヴメントの「クルーキッド・レイン」になります。

 まあでも改めて考えると語りにくさもあるかもなあなんて思ったり。流行の音とかが使われているわけでもなく、ただ純粋にロックしてるので。アルバム全体で見ても「○○から××への流れがやばいんだよなあ…」とかそういうのは少なくて、どちらかといえば単純に最高の曲を12曲そろえて詰め込みました、っていうスタイルなので。まあ流れ重視の作品を聴くことが多い自分としては(最近はそうでもないけど)新鮮でこれまた最高なんですけど。どうでもいいけど、オウガにはぜひ一度こういうキラーチューンだけ詰め込んだポップアルバムを作ってほしいです。



 個人的には昨年のGuided By Voices「Bee Thousand」と同じく、「もったいなくて聴きにくいんだけど聴かずにはいられない」って感じで短い期間で猛烈に聴いてしまった、愛すべき作品です。こういう聴き方すると、ハマっているときと聴き尽くした後での感動のギャップにすごく寂しくなったりしちゃうんですけど、仕方がないです。良すぎることは決して悪いことではないです。寂しいけど。
 自分的には現時点で10年代の邦ロックのトップ集団に位置している作品なんですけど、某誌の10年代前半のリストになかったので勢いで書いてしまいました。自分の感覚、そんなマイノリティじゃないと思ってたんですけど…



9.2