Average White Band『Cut The Cake』『Soul Searching』

https://www.hmv.co.jp/artist_Average-White-Band_000000000002432/item_Cut-The-Cake-2_9487112

 

 

www.youtube.com

 

 メンバーの半数以上が白人ながらその演奏は「平均的な白人には過激すぎる」ということでこんな奇妙なバンド名を名乗っているらしい。そんなエピソードの存在が示すように抜群の演奏力を持っている。

 聴いたのは75年の3rd、76年の4th。年代的にも非常に(音楽的に)豊かな時代という印象があるが、実際の内容も超充実したソウル~ファンク作品となっている。

 

 自分が本心から気に入るということはその作品には独自の歌心があるということで(ファンク成分オンリーだとそこまで響かない)。今までの例に漏れずこの2作品にも甘さと苦さの同居した味わい深いメロディーが備わっていて、またそれらはアルバムの中盤以降で顕著になる。具体的にはどちらのアルバムも前半はファンク寄りで後半はソウル寄り。

 その上で、4作目の方がアルバム全体でサウンドに個性を付けようとしているように感じられる。ジャケットが象徴するようにムードはダークで内省的。音の響きはより密室的になり、もこもこしている。テンポは少し落としてじっくりねっとり聴かせる。またアルバムの構成も凝っていて、各面ではじめの曲と終わりの曲に共通のメロディーを採用し音楽的なまとまりを作っている。

 ということで、アルバムトータルでは4作目の方が完成度が高いと思うが、各楽曲の充実度合いで言えばどちらもほぼ同じくらいです。カンストしてます。とにかく曲がいいです。演奏だけじゃない。なんか知らんけどめちゃくちゃ曲が書けている。

 

 非の打ち所がない。歌ものも良いけどファンクだってもちろん良くて、バンドの代表曲らしい「Cut The Cake」の切れ味といったらないし、「Love Your Life」のグルーヴの粘りも凄まじい(A Tribe Called Quest「Check the Rhime」の元ネタの一つでもある)。

 名盤ですね。個人的な今年の年ベスにも入ると思います。というかこれだけ良いのに70年代とかのリストに入ってこないのなんなんだ(見かけてたらもっと早く聴いてたよ)。それだけ70年代には特別な作品が多くあったということですね。恐ろしい。。