冗長さの正体予想

 

 

ポップス信仰と冗長さへの嫌悪 - ヨーグルトーン

 

 前の記事(↑)にて「裏切らないのなら安易に予測させるなや!」なんて書いたのだけど、まあこれがメカニズムのひとつというか……

 

 なんらかの予兆を捉えて自分が予測……というか無意識レベルで想像したものよりも、追いついた現実がしょぼかったときに落胆するんですよね。その落胆、その「がっかり」の解釈のひとつとして冗長があるのではないかという。

 

 もう少し正確に表現するならば、そこにはちょっとした倒錯がある。予兆(とそれが聴き手にもたらした予測)に対して結果がしょぼければそれはただの「期待外れ」であって、その結果自体は冗長ではない。この場合に冗長なのは結果ではなくて「予兆」ですね。

 と書いて伝わってるかどうか。言ってしまえば、予兆(=結果に至るまでの過程、匂わせ)が大げさだった、思わせぶりすぎた、ということ。このとき、その「大げさ」「思わせぶり」は冗長さである。

 

 なので……予兆と結果……現在のパートと続くパートのバランスが釣り合っているか、もしくは結果(続くパート)が上回っていれば問題はない。聴き手に先を予測させて、かつその予測を超えられないのが問題。

 

 

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 自分が「Cybele's Reverie」をつまらーん!って言ってるのはまさにこのメカニズムによるもの。Aパートで喚起される想像を、その後のコーラスが超えられていない。聴けばわかるじゃないですか、このあと盛り上がるなーって。で想像した通りに盛り上がっておしまい。だから自分はこの曲が好きではない。「Smells Like Teen Spirit」も同様。

 

 ただ、この曲自体はなにも悪くないんですよ。なぜならその予測って聴き手自身の経験に依るものだから。要するに聴き手が過去に似たようなパターンを経験してるから予測できちゃうし、つまらなく感じるという。だからこういう曲は……スメルズとかもですが、できれば音楽をあまり聴いていない段階で触れるのがいいんですよ。

 ……そして、あまり音楽を聴いていない層にも刺さるからこれらの曲は名曲なんです。音楽をめちゃ聴いてる人よりもそれ以外の人の方が絶対に多いじゃないですか。音楽を聴いている人に好かれる曲よりも音楽を(あまり)聴かない人に好かれる曲の方が、好きな人の数が多いじゃないですか。好きな人の数が多いんだからこれはもう名曲ですよ。

 だからまあ……「つまらない曲」と言うよりも「初心者向けの曲」と言ったほうが丸いかもしれませんね。いやそっちのほうがムカつくという人もいると思いますが…。そして、音楽を数聴いていろいろなパターンを経験するほどに「つまらない」と感じる曲は増えていきます。人間の頭は優秀なので。残念ながらこれは不可逆の変化ですね。

 

 

 

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 こういう「予測と裏切り」の話は過去にもたびたびしていて……そしてスマホのメモ帳にもこれを発展させた話が、「ダサい考」や「音楽における機能性とは」などのタイトルで残ってたりします。ここらへんはスマホを替える前には記事にしたい(メモそのままのコピペにする可能性もある)。