2019年に聴いてよかった作品

 2019年の年間ベストです。

 

選抜範囲
・自分が2019年1月〜2019年12月の間に聴いた音楽作品。
※旧譜も入っています。

 

 

選抜基準
・作品の完成度

・自分の好み

・音楽性のユニークさ

 評価基準の中では上2つがメインで、3つ目の「音楽性のユニークさ」はボーナス点みたいな扱いです。繰り返しますが旧譜も普通に入っていますので注意。

 コメントは過去にもその作品についての言及があった場合、それを踏まえた内容になっています。ので「過去の言及」としてそのページへのリンクを貼っておきました。リンク先どれも重いかもしれないんですけど、気になった作品があればそちらも見てみてください。

 

 それではどうぞ~。

 

 

※追記

 お気に入りの曲でミックス作りました! これ流しながら読むといいかも。番外編で取り上げるつもりの作品の曲の方がいっぱい入ってるけど… トラックリストは記事最後に。→いやこれ作品ごとに試聴用リンク貼ってるから流さなくてもいいな…

 

 

 

 

 

 

 

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25

Special Occasion / Ibiza Redux

(2019)

 

 Special OccasionなるアーティストのEP。まったく知らなかったけど、bandcampでフォローしてる人が買ってて気になって聴いた作品。Domenique Dumontが浮かぶような異国情緒のあるエレクトロ・ポップ。ファニーでどこかとぼけた味わいの「Jet Ski」、キラキラしたサウンドのユーフォリックな「Let Me In」など、中盤以降に好みの楽曲が揃っている。外国のおみやげ屋さんで買う小さなアクセサリーみたいな作品。

 

 

 

 

 

 

 

 

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24

Yoshino Yoshikawa / Ultrapop

(2019)

 

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過去の言及:お気に入り曲まとめ (2019.9~11) パート1 - ヨーグルトーン

 だんだん元気になってきた芳川よしのがその勢いのままに発表した待望の1stフル。かねてから自身が提唱していた「Ultrapop」なる概念をタイトルに冠した充実作。もはや暴力的とも感じられる極まった機能性はそのままに、アルバムというフォーマットを活かして約60分の滑らかな流れを作り上げた。前にも書いたけど中盤の少し穏やかなボーカル曲群が好き。このままどんどん活躍していってほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

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23

Jerry Paper / Like a Baby

(2019)

 

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過去の言及:お気に入り曲まとめ (2019.1~2) - ヨーグルトーン

 アメリカのSSWの、この名義では7枚目?のアルバム。ゆるふわポップな基本路線は変わらないのだけど、レーベルが変わったからなのか外部のプロデューサーを招いた(BadBadNotGoodのMatty Tavares)からなのか、ここ数作の中では完成度高くまとまっている。今後もどんどんいろんな人と関わってどんどん音楽性を変えていってもおもしろそうだなと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

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22

Thom Yorke / ANIMA

(2019)

 

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過去の言及:『2010年代の200枚』(2018~2019年) - ヨーグルトーン

 奇妙で少し不穏なコードでこちらの気を引きつつ、ミニマルなビートを細かに抜き差ししゆっくりと盛り上げていく。『A Moon Shaped Pool』よりはストレートな表現で、ライブでもしっかりと機能しそうな感じ。じわじわ盛り上げはするんだけど爆発しきらないという寸止め感のようなものがあって、そこで少し好みが分かれるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

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21

yojikとwanda / ナイトレイン

(2019)

 

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過去の言及:お気に入り曲まとめ (2019.5) - ヨーグルトーン

 日本の二人組音楽ユニットの新作(4th?)。Yojikのボーカルのすばらしさは変わらず、ソングライティングやらアレンジやらがすんごい進化を遂げている。特に冒頭、「ジャイアントパンダ」と「ブライアンイーノ」の二曲。これまではわりとストレートなポップスだったと思うのだけど、今回は”ブライアンイーノ”なんて曲名に冠していることからも察せられるように一筋縄でいかない出来になっている。いやいままで聴いたことないです、こういう曲。やっぱ実験がこういう、新しいポップさを生んでいくんだなあと思いました。他のファンはどうかわかりませんが、自分はこの路線を絶対支持します。

 

 

 

 

 

 

 

 

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20

Cass McCombs / Tip Of The Sphere

(2019)

 

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 アメリカのSSWによる9th。安定したペースで良曲を生産し続けている。しっかりと骨の入ったソングライティングは健在で……これは個人的な話なんだけど、作品の印象が映画監督のクリント・イーストウッドのそれと被って見える。まあこれは聞き流してください…。

 オープニングの「I Followed The River South To What」の勢い(終始ボーカルが熱く歌い上げている)に驚かされるが全体としてはのんびりとした落ち着いた曲が多い。「Estrella」「Real Life」といった曲ではとても繊細なアレンジが為されており、Big Thief『U.F.O.F.』に通じる味わいがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

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19

Zebra3 / Warm Blanket

(2017)

 

過去の言及:Zebra3 [Warm Blanket]、[Warm Blanket 2] - ヨーグルトーン

 謎のアーティストによるミックステープ。うどんのジャケットが象徴するような日常系イージーリスニング。牧歌的で控えめなサウンドながら非常に強いムードを持っており、流した瞬間に部屋の空気が変わります。聴きやすさもあってよく聴きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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18

Sandro Perri / Soft Lamding

(2019)

 

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 カナダのプロデューサー/SSWの新作。どんどんチルで幽玄な、浮世離れした方向へ向かっていく。桃源郷の、仙人の奏でる音楽です。16分にも及ぶ「Time (You Got Me)」の恍惚感。溺れているのか浮いているのかわからず、ただゆらゆらと漂っていく。素面の音楽ではない。月でスキップでもしているかのようなスロ~~~なソフト・ファンク「God Blessed The Fool」もよく聴きました。

 2017年のMonchiconのインタビューでは当時、アルバム4枚分の楽曲が溜まっていたらしく、ということは少なくともあとアルバム2枚は出せるよって感じらしい。へろへろになりながら待ってます~…

 

 

 

 

 

 

 

 

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17

MIKE / May God Bless Your Hustle

(2017)

 

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過去の言及:Standing On The Corner [Red Burns]とその周辺について - ヨーグルトーン

 アメリカのラッパーの3枚目?のアルバム。詳しくは過去の言及として挙げた記事を読んでほしいのですが、当時のニューヨークの先鋭的なヒップホップシーンを代表するような作品。音楽的にも、客演的にも。そして、聴けば分かることですがEarlの『Some Rap Songs』に直接つながるサウンドです。ただあそこまで濃密ではなく(Adé Hakim a.k.a. Sixpressのスムース路線がいい具合に中和しているように思う)、まだ日常的に聴くことができるくらいにはポップです。バランスが取れている(Earlは一線を越えている)。Sixpressプロデュースの「FOREVER FIND FLIGHT」がハイライトか。MF DOOMやKing Kruleのザラザラ路線の曲ではないですが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

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16

Moodymann / SINNER

(2019)

 

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過去の言及:『2010年代の200枚』(2018~2019年) - ヨーグルトーン

 彼の作品をそこまで聴けているわけではないのだけど、今までで最もDJとしての資質とSSWとしての資質がバランスよくまとまった作品だと思う。いや今までにSSW的な楽曲を発表したことがあるのかわからんのだけど…。DJ的なトラックとSSW的な歌曲のちょうど中間のようなイメージを今作の収録曲からは感じている。踊らせる機能はもちろん備わっているのだけど、それと同じくらい、いやそれ以上にひとつの楽曲として聴かせる力が強い。大胆な構成の「I'll Provide」がまさにそんな感じである。個人的には嬉しい変化です。

 

 

 

 

 

 

 

 

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15

Solange / When I Get Home

(2019)

 

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過去の言及:Standing On The Corner [Red Burns]とその周辺について - ヨーグルトーン

 アメリカのSSWの4th。かっちりと形式を決めずにするするとムードが移り変わっていく、非常に製作が難しそうなスタイルのアルバム。無意識の、表にはっきりと出てこないレベルの繊細な感情の動きをそのまま音楽へと昇華させたようで、とても微妙な味わいがある。Standing On The Cornerの作品などに事前に触れていたので、こういうスタイルに対する驚きはなかったけど、メジャーなアーティストがこういうスタイルをやろうとすること自体がすごいとも思う。完成度も音楽的な快感も前作の方が上だとは思うが、このスタイルでしか出ない良さ・美しさがあり、単純な比較はできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

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14

Weyes Blood / Titanic Rising

(2019)

 

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過去の言及:『2010年代の200枚』(2018~2019年) - ヨーグルトーン

 アメリカのSSWによる、Sub Pop移籍後のアルバム。単純にソングライティングがめちゃくちゃ良いです。特にアルバム前半はよくリピートしました。ちょっとビンテージな音色の、暖かみのあるアレンジも良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

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13

Helado Negro / This Is How You Smile

(2019)

 

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過去の言及:『2010年代の200枚』(2018~2019年) - ヨーグルトーン

 アメリカのSSWによる6th。トロピカルなムードのある内省的なフォーク。長らくレーベルを共にしていたSufjan Stevensの『Carrie & Lowell』に通じる繊細な作品。ノスタルジックで少し寂し気、でも全体としては優しくて暖かなアルバム。

 

 

 

 

 

 

 

 

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12

Earl Sweatshirt / Some Rap Songs

(2018)

 

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過去の言及:『2010年代の200枚』(2018~2019年) - ヨーグルトーン

 アメリカのラッパーによる3rd。リリックについては他に譲るとして、とにかくそのまさしく”異形”なトラックがすごい。ぐちゃぐちゃだよ、なんだろうこれ。ポップというよりはエクスペリメンタルの領域で、これにラップ乗っけてるのもすごい。ドープなんて表現で追いつかないところにいる。そんな好きという感じではないのだけどサウンドがすごすぎるのでこの位置に。

 

 

 

 

 

 

 

 

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11

Girlpool / Before the World Was Big

(2015)

 

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 アメリカの女性二人組インディー・ユニットのデビュー・アルバム。直近の12月に出会って、そこからすごい勢いで回数聴いた作品。聴いたきっかけはPitchforkの2010年代のリストで、この作品が119位に挙がっていたのだけど、それを見て(あれ、このグループって他にもっと評価の高いアルバムなかったっけ?)と思い、逆に(?)気になって聴いてみたのでした。

 ギターとベースのみのミニマルなサウンドに乗せてフレッシュな女性ボーカルがエモーショナルに響く。Wireの1stを彷彿とさせるような初期衝動を感じさせる出来栄え。二人のボーカルが重なったときの無敵感…。今作がリリースされたとき、二人はまだ高校を卒業したばかりだったらしいが、そのタイミングでしか鳴らせない・歌えないことがしっかりと今作には刻まれている。

 完成度で言えば次作以降だけど、特別感で言えば今作が飛びぬけている。個人的にはスーパーカーの1stと並べたい作品。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 10

James Blake / Assume Form

(2019)

 

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 イギリスのSSWによる4th。歌詞は例のごとく読んでいないので的外れな可能性もあるのだけど、本作のサウンドとそこから発せられるムードからはすごく宗教的なものを感じる。「Assume Form」、「Into The Red」、「Power On」などの曲が象徴的なのだけど、ゆっくりと上に昇りつめていくようなスタイルの楽曲が多い。上に貼った「Can't Believe The Way We Flow」や新たにビデオの公開された「I'll Come Too」なんかは常に達しているような感じがあるけど…。そういう意味でD'Eon『LP』やKanye West『JESUS IS KING』といった作品が浮かぶ。

 今作ではSSWとしての側面が強く出ているように思いますが、シングルとして発表された「If The Car Beside You Moves Ahead」(日本盤にボートラとして収録されている)ではまためっちゃ尖った音作りもしているので、一方に偏らずにアーティストとして真っ当に成長しているように思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

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9

マイクロキャビン / ドラゴンハーフ ゲームサウンドメモリアル

(1994)

 

過去の言及:お気に入り曲まとめ (2019.9~11) パート1 - ヨーグルトーン

 同盟の漫画作品を原作としたRPGゲームのサウンドトラック。ギャグ要素の強い作品だったらしく、音楽にもドタバタするようなコミカルな感じが反映されている。テンポは速く、曲調もコロコロと変わる忙しない音楽で、基本のんびりしている自分にとってはそのテンションに(自分を)合わせるのも一苦労という感じなのだけど、ひとたび曲調を掴めるとこれがもう最高に楽しくなってくる。前にもチラッと書きましたが、小学校の運動会を4倍速くらいで見てるような感じの音楽です。

 メロディーには独特の歌心があるし、遊び心はこれでもかというほどに詰め込まれていて……とにかく楽しい音楽です。こういう路線の、最高峰の出来なんじゃないかと思う。ハチャメチャ・ドタバタを音楽にするとこうなる、といった感じ。相当突き抜けた内容です。『ゲーム音楽レヴュウ Vol.01』にて紹介されている作品。

 

 

 

 

 

 

 

 

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8

Serani Poji / ワンルームサバイバル

(2002)

 

試聴:Serani Poji: one-room survival

過去の言及:お気に入り曲まとめ (2019.7~8) - ヨーグルトーン

 『ゲーム音楽ディスクガイド』で見つけた作品というかアーティスト。ドリームキャスト用ゲームソフト『ROOMMANIA#203』の音楽のために結成されたユニットの2ndアルバム。個人的に今年一番どっぷりとハマったアーティストがこのセラニポージのササキトモコで、ピチカート・ファイヴをもう少しキッチュでフェティッシュにしたようなサウンド・楽曲にもうメロメロになっていました。これ以外の作品も一通り聴きましたが、セラニのアルバムの中ではこの『ワンルームサバイバル』が一番フレッシュで勢いがあると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

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7

Pizzicato Five / Bossa Nova 2001

(1993)

 

www.youtube.com いつの間にか公式チャンネルが…

 日本のバンドの7th。以前に聴いたときは冒頭の「Sweet Soul Revue」~「Magic Carpet Ride」(どちらも超名曲)だけでお腹いっぱいになっていたのだけど、ミュージック・マガジンのなんかの特集でこの作品がトップに選ばれていたことをきっかけに聴き直してみたらヤバ……となった作品。冒頭だけじゃなく中盤にも神曲が並んでいた。。

 #6「Peace Music」からの数曲の流れがとっても良い。軽やかで、適度に華やかで。BGMとして流すとなんでもない日常の一幕も優雅な時間に早変わり。こういう音楽があるとどうでもいいような出来事も楽しくこなせるんですよ。こんな素敵なことってない。これの前後のアルバムもちゃんと聴こう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

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6

Caetano Veloso / Livro

(1997)

 

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過去の言及:お気に入り曲まとめ (2019.7~8) - ヨーグルトーン

 ブラジルの至宝、Caetano Velosoの97年作。ロックもファンクも完璧に修めたマスタークラスによる極彩色のポップ・ミュージック。多彩なパーカッションとふくよかなストリングスによる豊かなアレンジが聴き手を桃源郷へと連れていく。メロディーも、本人の優し気なボーカルもめっちゃ良くて……とまあ、なにからなにまで超一流の、歴史的名盤というやつです。

 前にチラッと聴いたことはあったんですけど、2019年に改めて中盤以降を意識して聴いて感動し直した(?)ので取り上げました。トロピカルなポスト・パンクとも言うべき#8「How Beautiful Could a Beeing Be」~#9「O Navio Negreiro (excerto)」以降の、テンション高めな後半までちゃんと捉えられるとアルバムに対する印象がまた変わってきます。ラスト5曲は全部名曲。

 

 

 

 

 

 

 

 

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5

Radiohead / A Moon Shaped Pool

(2016)

 

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過去の言及:『2010年代の200枚』(2016~2017年) - ヨーグルトーンお気に入り曲まとめ (2019.9~11) パート1 - ヨーグルトーン

 イギリスのバンドの9th。2010年代を振り返っているときに聴き直して、改めてすごい…と思った作品(ようやく消化できた)。繊細な音響を身にまとい、微妙なムードの間を渡り歩いていく芸術的な作品。ストリングスによる華麗で滑らかなアレンジも、バンドによるしなやかなグルーヴも並列に存在する不思議なスケールの作品。派手さはないがユニークであり、彼ら以外には作れないサウンド・雰囲気だと思わされる。好きという気持ちよりはすごい、という気持ちが先に立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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4

小袋成彬 / Piercing

(2019)

 

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  2019年もギリギリのタイミングで発表された本作。当時、上に貼ったツイートに続く形で流した感想をここでまとめておきます。

小袋成彬『Piercing』初聴感想。これが1stなのでは?と思ってしまうくらいにフレッシュで、勢いがある。そしてすごくポップ。1曲目「Night Out」のビルドアップ……各トラックの入り方が鮮やかで、そこでもうガッシリと掴まれてしまった。

 

一枚のアルバムとして「流れ」が、「フロウ」がめちゃくちゃいい。緩急をつけつつ滑らかに流れていく。前作が歌と伴奏と分けて聴くこともできたのに比べると、今作はソングライティングとトラックメイクが完全に一体化していて(流れの良さの理由でもある)、完全にネクストレベルの出来になってる

 

今作と比べると前作は「シンガーとしての作品」って感じで、少し伝統的なイメージも出てくる。
流れを自由自在にコントロールしていて、そういう意味ではソランジュの今年のアルバムも浮かぶ(こっちはソランジュほど気ままではなく、ちゃんとポップに聴かせようとしてる気がするけど)

 

Piercing、ストレートにエモいですね。歌詞が、言葉のチョイスがかなりストレートになって、すごく自然に感情が乗ってる。普通にエモい。このエモさが勢いの良さ・フレッシュさに繋がってるんだな。いや前作も充分エモかったんだけど表現がちょっと迂遠なところがあった

 

「SSWのアルバム」から「SSS+トラックメイカーのアルバム」へ、という感じ。blondeというよりはendless。今作からはSSWの人も刺激を受けるだろうけど、それ以上にヒップホップ畑の人やトラックメイカーの人が刺激を受けるんじゃないかな。

 

tohji‘s trackメッチャ流れぶった斬っててなんなんだと思ってたけど、もしかしてこれがPiercingの「ピアスの穴」なのか?

  2018年にあんだけすばらしいアルバムを作ったので次はまだまだ先かな~と思ってたけど来ましたね、1年ちょいで…。

 風通しが良くて、勢いがあって、もうとにかく流れがいい。アーティストがノリにノってることが伝わる内容。前作の製作を経て完全に自分の思い通りのサウンドを作れるようになったのか、サウンドとアーティストの歌がこれ以上ないレベルで一つにまとまっている。無敵だ…。歌と同じエモーションがトラックからも伝わるんだよね。

 『天気の子』と同じく、聴き終わった後に「やりやがった!」という気持ちになる作品。こういう作品は触れるたびに自分も…!と鼓舞されるんですよね。傑作です。

 

 

 

 

 

 

 

 

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3

NAMCO / ことばのパズル もじぴったん おりじなるさうんどとらっく

(2003)

 

過去の言及:お気に入り曲まとめ (2019.6) - ヨーグルトーン

 またまた『ゲーム音楽ディスクガイド』で見つけた作品。今や押しも押されぬ人気クリエイターである神前暁ナムコ在籍時に手掛けた作品。キラキラした彩度の高い電子音とどこまでもポップなメロディーの相性はバツグンで、アルバム全体に突き抜けた爽やかさがある。同時代のエレクトロニカと同様の繊細な作り込みも、渋谷系由来のおしゃれな遊び心もここにはあって……誇張でなくポップ・ミュージックの理想のサウンドの一つだと思う。いや本当、ポップさが振り切れている。ディスクガイドでは「見落とされたネオ渋谷系の先駆」と紹介されている。まともな音源でまともな環境で聴いてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

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2

Big Thief / U.F.O.F.

(2019)

 

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過去の言及:お気に入り曲まとめ (2019.9~11) パート2 - ヨーグルトーン

 練られたソングライティングと繊細な音響で聴かせる作品。その不思議な聴き心地はまるで妖精の隠れ棲んでいる森をさまよっているかのよう。とてもニュアンスの豊かな作品で、バンドアンサンブルの中で小さく鳴らされている音に意識を向けるとおもしろく聴こえてくるはずだ。

 このバンドは2019年に2枚のアルバムを残しているが、流れてくる個人やメディアの年間ベストを眺めているとけっこう票がばらけていておもしろい(2枚共、魅力的な作品であることの証左だ)。自分が『Two Hands』を挙げていないのは単純にまだ聴き込めていないからだけど、『U.F.O.F.』の方が聴き疲れしないというのは事実としてあると思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

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1

sora / Re.sort

(2003)

 

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過去の言及:お気に入り曲まとめ (2019.5) - ヨーグルトーン

 京都在住?のアーティスト、黒澤 健のsora名義のデビュー・アルバム。クリック/グリッチを通過したミクロな部分まで作り込まれたエレクトロニカに、古いジャズやボサノヴァカットアップしたものをふりかけた作品。自由なリズムに奔放で少し寂し気なメロディー、光を反射してきらめく電子音……ともうあらゆる要素がツボなのだけど、なによりもそれらの総体として浮かび上がる独特の”ムード”がすばらしい。rei harakamiやmeiteiの音楽にあるような日本風の空気もあれば、ジャズのピアノ・トリオやボサノヴァが持つオシャレで軽やかな空気もあるし、The Caretakerのようなアーティストが放つ年代不詳のノスタルジックな空気もある。

 ツイッターがきっかけで聴いた作品。驚異的な作品だと思います。2018年にリイシューされており、そちらではTaylor Deupreeリマスタリングを行っています。

 

 

 

 

 

 自分の音楽体験の根っこの方にゲーム音楽があって… というか、音楽を能動的に聴き始める前からゲームにはハマっていたんですよね。その影響がモロに表出した感じです。ということで今年の個人的MVPは『ゲーム音楽ディスクガイド』です。

 まあそれを差し引いても2019年の、リアルタイムの音楽が例年より多く選出されてるような。おそらくサブスクの影響です。今までほぼローカルな環境で音楽を聴いていたのですが、この一年くらいをかけてゆっくりとサービスに馴染んできました。今では自分が聴く音楽の6~7割くらいはApple Musicで聴いてると思う。代わりにCDをめっきり買わなくなってしまった…。中古の、完全にディグ目的の買い物はたまにドバーっとしますけど、新譜はもう……レコードオンリーの作品くらいしか買わないんじゃないかな…。ミックス作るから曲のデータがほしい!ってときは買いますけど。

 

 サボりすぎてアップが2020年になりましたが、今年もいい音楽に出会えるといいなと思っています。よろしくお願いします~!

 

 

 

ミックスのトラックリスト:

sora - pause
Cass McCombs - Real Life
Frankie Cosmos - Floated In
はっぴいえんど金延幸子 - 時にまかせて
Big Thief - Strange
Steve Gunn - Lightning Field
Earl Sweatshirt - Riot!
MIKE - GREEDY ft. Jesse Brotter
Earl Sweatshirt - EAST
Solange - Binz
小袋成彬, Kenn Igbi - New Kids
Kanye West - Water (feat. Ant Clemons)
toki nakayama - dreamin' on our spaceship
Yoshino Yoshikawa - Don't Leave Me (with Noto)
Serani Poji - さよならいちごちゃん
ホララ・ホリック with 日向美ビタースイーツ♪ - じもとっこスイーツ♪
Serani Poji - 地球人のカラダ ~the next stage mix~
Factual Brains - No Streets (Dead Summoner Sleep Mode)
gassyoh feat. mochilon - Dance Music (Hercelot Remix)