ゲーム音楽は止まらない! 『ゲーム音楽ディスクガイド』刊行記念トークイベント のメモ

 

 『ゲーム音楽ディスクガイド』刊行記念トークイベントに行ってきました。基本ツイッターのまとめで、合間にちょくちょく感想を…

 

 

イベントの概要について

 

 「執筆人全員そろってのイベント出演は実はこれが初」そうなんですよ、今まで謎の存在とされてきた(?)糸田屯氏がとうとう登場するという… 

 

 

 

 

sites.google.com

 今回のイベントの目玉の一つ。「Vol.01」ということで、今後も続いていく模様。イエーイ。トークイベントもおそらく続いていくと思うので、今回入手できなかった人も次回のイベントで入手できるのでは。

 

 

 

 

 糸田屯氏、実在していました。話によればゲームのファイナルファンタジーと同い年?だとか(若い!)。hally氏に「スーファミ世代」と呼ばれたりしていましたが、たしかに音盤のチョイスが他のメンバーとは違っている感じがしました。

 

 

 

 

 

 

 

イベントの内容

 初めて行ったROCK CAFE LOFT。小ぢんまりとしていますが、出演者との距離が近く、親密な空間が広がっていました。18:30開場19:30開演。この日はVケットの開催日でもあり、日中に行われた開会式とその後のワールド探索でわりと疲れていたのでゆっくり会場入りしたのですが… DJあるなら早く来ればよかったな…

 

 イベント開始後はまず出演者4人の馴れ初めについて、少し突っ込んだお話がありました(フクタケ氏と井上氏は「アイドルCD交換会」ではじめて出会ったとか、井上氏と糸田氏は両者がDJとして参加したクラブイベントで出会った(糸田氏は天狗のお面をしていた…)、などなど)。その後はhally氏がある「お題」を出し、それに沿って出演者たちがチョイスした作品を実際に曲をかけながら紹介する、という感じで進んでいきました。

 

 以下、各お題ごとに自分が気になった作品を…

 

 

 

1.ダントツにおすすめの1枚

tk-nz.game.coocan.jp

wikiwiki.jp

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 井上氏の推し、木村直樹ドラゴンスレイヤー伝説」。元のゲームの音楽をアレンジしたもの? 会場で流された曲はシンセによる透明感のあるサウンドが中心で、今なら日本産ニューエイジとしてリイシューできるのでは?という感じでした。Visible Cloaksとか、昔のOPNとか、そこらへんを思い出す。

 基本的には「シンセを中心に作られたシンフォニック・ロック」だと思うんですが、バロック音楽風とかディスコ風とか、いろんなスタイルの曲が入っているようです。

 

 

 

 

 

2.ダントツにおすすめのアーティスト

 

 

 

w.atwiki.jp

togetter.com

youtu.be

 フクタケ氏の推しの岡村静良。「ビューポイント」というゲームの曲が流され、それが自分の好みでした。ハウスやテクノの要素を早い時期にゲーム音楽に取り入れた方らしい。今もクラブミュージックの現場で活躍されている方とのこと。「もどきではない、クラブミュージックのマナーにのっとった音楽をやっていた」「早い段階で本物を聴かせてくれた人」「現場の経験が生きている、アッパーなだけでなくてチルの要素も入っている」CDのライナーに「ラリー・レヴァンに捧ぐ」なんて記述があったとか…。

 個人的には聴いていて寺田創一を思い出しました。ジャパニーズ・ハウスの文脈、だれか整理して…。

 

 

 

 

 

3.「ゲームらしい音楽」ってこういうものだよな、と思う1枚

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 hally氏の挙げたタイトー「Taito Game Music」。紹介された「フェアリーランドストーリー」が良い曲だった。クラシックのピアノ曲でありそう。

 hally氏曰く、ゲームの世界観に合わせるとか、プレイヤーを盛り上げるといったゲーム側からの要請・縛りのない、純音楽的な感じが良いのだとか(かなり意訳)。そしてこの曲に限らず、昔のゲーム音楽にはある種の「儚さ」があって、hally氏は今もそれを追い求めているとのこと。

 

 

 

 

 

4.「過小評価されている」「もっと評価されて欲しい」と思う1枚

 

 糸田屯氏セレクトの「Bomberman Hero Original Soundtrack」。Massive Attackの作品でありそうなジャケットからしてクラブ臭がむんむんするのですが、内容もまさにクラブ仕様の……これは、ジャングルですね…。自分の大好きなiconsと同じフィーリング……。

youtu.be

 とはいえ一応ゲームのサントラなのでジャングル一辺倒というわけではなく、チルに寄ったダウンテンポなども収録されています。ウィキペディアによると本作の作曲者の竹間ジュンはチュニジアの音楽院で学んだガチのアラブ音楽演奏家らしく、え、いやそんな方がこんな音楽を…? 芸風広すぎでは…??と少し困惑してしまう。しかしサントラ最終曲(ボーナストラックらしい)の「Loom」が聴くと実際そういう感じの曲で、本当なんだな…と。

 

 

 トークではその後、本作をmallsoft風にアレンジした『BOMBERMALL』なる作品や、竹間ジュンの最近の動向(RVNG Intl./Freedom To Spendからの過去作リイシュー)について語られていました。RVNG Intl.!? 急に話が現代に近づいてきた。日本のニューエイジ再評価の流れでしょうか。

 

 

 

 

 

5.他ではちょっと聴けない独特きわまる1枚

  岩崎琢、アニメの印象が強かったけどゲームの音楽も作ってたんですね…。

 

igcc.jp

nijiiroleina.blog49.fc2.com

game.watch.impress.co.jp

masterbootrecord.bandcamp.com

 このお題のときは尖ったチョイスが多かったです。ミュータント感がある。まあゲーム音楽ってジャンル自体は音楽性についてなにも規定していないので……

 

 

 

 

 

6.発売当時は微妙だったけど、今回魅力を再発見した1枚

 

mru.txt-nifty.com

 

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 井上氏セレクトの「妖怪ウォッチ オリジナルサウンドトラック」。アニメの劇伴にもそのまま使えそうなウェルメイドな作品。こういう日常っぽいのはもろに自分の好みです。

 

 

 

 

 

7.他の執筆者から選んだ「こんなのあったのか!」な1枚

 ここでのhally氏セレクト(ディスクガイドでは井上セレクト)の「魔法図書館キュラレ」はもう完全に同意で、まさに「こんなのあったのか!」という感じでした。自分の感想は前回のお気に入り曲まとめで… トークによるとポップンミュージックもポスト渋谷系として抑えるべきとのこと。

 

 

 糸田氏セレクトの(ディスクガイドではまたも井上セレクト)「花鳥風月シリーズ 雪月花3」も近い音楽性で、早めにチェックしようと思います。

 

 

 

 

 

8.分かってもらえるかどうか微妙かも……と思っている1枚

 井上氏セレクトの……作品の情報メモってなかったんですけど、アンビエント~ポスト・クラシカルなゲームのサントラ。こういう明確な盛り上がりがない音楽は人に薦めづらいという話。盛り上がりポイントが明確にあり、かつそれが曲の早いタイミングに登場する曲ほど薦めやすい(良さを伝えやすい)。一応、hally氏によればゲーム内容の多様化によってこの手のサウンドの作品は増えてきているらしい。

 

 

 

 

 

9.好きなんだけど敢えて外した、あるいは載せそびれた1枚

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youtu.be

 

 

 

 

 hally氏セレクトのマイクロキャビン『ドラゴンハーフ・ゲームサウンド・メモリアル』。3の項目でも触れた「コミカル・キラキラ・儚げ」というhallyの好みに合致した作品とのこと。メロディーがどんどん展開していくのがおもしろいなと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 イベントの後半はもううろ覚えなんですけど、お題としてはこのくらいだったかな? その後はロスタイム的な感じで、時間が押す中、これも紹介したかった~!という音源を矢継ぎ早に紹介して終わりました。その中でも気になった音源を…

 

www.youtube.com

 どちらもゲーム業界に身を置いている人物の作品。弘田佳孝は株式会社スクウェアでアルバイトとしてファイナルファンタジー6の効果音を作成し、その後も様々なゲームの音楽に携わる。戸高一生任天堂に所属している作曲家で、「とたけけ」という名称でゲーム中にたびたび登場することで知られる。

 CORE2『Talk While A Sleep』アブストラクトなテクノで、サイケデリックな効果音が渦を巻いていく。田中フミヤのリミックスも収録。Liberal Music『Undercurrent』こちらもまたアブストラクトな、音響クラブ・ジャズ(会場ではやたらベースが大きく聴こえた)。竹村延和のLollopレーベルからのリリース。「こういう音楽を作ってた人が任天堂に入ってる。不思議な感じ」

 

 

 

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 井上氏セレクトの『コナミファミコン・クロニクル Vol.2』。むちむちプリン聡子、悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくん(うろ覚えなのでキーワードのみ羅列…)

 

 

 

youtu.be

 

 

 

usamimi.info

www.silversecond.com

 hally氏セレクトの『うみとまもののこどもたち』。第6回のウディコンに投稿されたフリーゲーム。会場で聴いて良さげでした。サントラはフリーで落とせるので聴いてみよう。フリーゲームの音楽(オリジナルなもの)もまとめないといけない気がしますね。

 

 

 

 

 

 

 最後にまたちょっと別の話題…とそれについての自分の感想ツイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 終わり。 #ゲーム音楽ディスクガイド というハッシュタグを付ければほぼ確実に執筆陣の目に留まると思うので、こういう意見やら要望やら批判やらはどんどん投げていいと思います。たぶん喜んで反応するんじゃないかと。。

 

 

 

 あとそのnoteの記事の下の方でサジェストされた良さげな記事をペタリ。

note.mu

lie-fujishiro.hatenadiary.org

 (はてな版ではnote版の続きが読めます)

 

 

 

 あとTLで流れてきたやつ。

 おもしろそう~。トークショーでやったらいいな~と思うけどバラエティに寄りすぎとか言われるかもしれない…。Vがこういう企画の動画作ってくれないかな~とも思うけど、V(というかようつべ)は権利関係が厳しいんだった…