お気に入り曲まとめ (2018.9〜10)


 プリキュアのオールスター映画がめちゃくちゃ良かったです。記憶をテーマにしたヒーローものの作品としてすごく出来がいいと思う。ミデンという、ある記憶にまつわる道具のおばけ?の出自がもう切なくて… また音楽を活かした激熱なオールスターの演出もやばい(シリーズを観てきた人ほどクるものがあるはず)。今作の主人公であるはなの心の動きもとても丁寧に描かれていて、違和感なく話を追うことができた。ロジックや展開に違和感があると肝心の演出に気分的に乗れなかったりするからね… 後の展開に説得力を持たせるためでもあるんだろうけど、前半部分などはかなり重いので少し覚悟しておくといいかも。さよ朝や若おかみなどに続いてプリキュアもこんな傑作を出してくるなんて。今年はアニメ映画の当たり年ですねー。





Isaac Hayes / Walk On By、By The Time I get To Phoenix

 アイザック・ヘイズの1969年作『Hot Buttered Soul』より最初と最後の曲。アルバムには4曲しか収録されていないけどその内の2曲(今回挙げた曲)は10分超えの大曲で、他の1曲も9分台というなんかやりたい放題な感じの構成だけど、これがけっこう売れたらしい。プログレみたいに多くのパートで構成されているわけでもないのに普通に最後まで聴けてしまうのはアレンジが優れているからか。「By The Time I get To Phoenix」は8分過ぎくらいまでほぼ語りのみで英語わからんマンにとっては苦行(キーボードの音色はいいけどね)なんだけど、一度頑張って最後まで聴いてみてほしい、感動するので。。 初めてスティービー・ワンダーの「Living for the City」を聴いたときブラック・ミュージック版のプログレじゃんと驚いたものだったけど、それの4年前に尺的にもアレンジ的にもさらに巨大な楽曲が存在していたとは…(というか69年だとプログレよりも早いんですよね)








Cocaine 80s / QueentoBe、Takemykeys、Thiscantbeacrime

英サイトFACTが「2012年のベスト・アルバム TOP50」を発表 - amass
Cocaine 80s | bmr
 FACT誌の2012年の年間ベストで載っていたので音源を入手したはいいものの今まで聴いていなかった作品『Erxpress_og』より。No I.D.って名前のプロデューサーが中心人物のプロジェクトで、Commonも参加してたりしてなかったりするらしい。ギターサウンドが心地いい良質な歌もの。








古井戸 / ごろ寝、ろくでなし、たまにはいい

 ジャニスで借りた、日本のフォークデュオによるファーストアルバム『古井戸の世界』より。RCサクセションのギターの仲井戸麗市が以前に組んでいたのが古井戸。加奈崎芳太郎のコブシを効かせたボーカルがめちゃくちゃいい。歌心〜〜〜








Angel 1 / Nature Walk + Intro (slow)、Mg、Jones、Liberal

Liberal | Exo Tapes Inc.
 Angel 1が2013年にexo tapesからリリースしていた作品『Liberal』より。友人にフィジカルを売っていただいた。『Allegra Bin 1』をポップミュージックの超傑作と思っているのだけど、その前に出ていた今作もめちゃくちゃいいじゃないですか。完全にポップというものを理解している。。 当時の1080pや、今ならPacific RhythmやらMood Hutなどのカナダ勢に通じる清涼感のあるサウンド。もっと評価されていいアーティストだと思います。今は「Angel 1」で検索しても遊人のえっちなマンガが先にヒットしてしまうんですけどね…








センチメンタル・シティ・ロマンス / うちわもめ、うん、と僕は

 ジャニスで借りたやつ。75年のセルフタイトル作より。はっぴいえんどのフォロワーとして有名なんでしょうか。完成度がたっかい。隙がまったくない。アダルト・オリエンテッド・ルーツ・ロックってのがもしあったならこんな感じじゃないか、とか。








はっぴいえんど / いらいら、朝、雨あがりのビル街、十二月の雨の日

 間違いなく今回のまとめで一番の回数聴いた曲たち。1970年(ファーストアルバムを出した年)のフォークジャンボリーでのライブ録音で、そのフォークジャンボリーのコンピやはっぴいえんどのボックスセットに収録されている。予想よりもずっと激しいサウンドで、誇張じゃなくぶっ飛ばされてしまった。めちゃくちゃかっこいい。遠藤賢司のカバー「雨あがりのビル街」がもう…もう本当にかっこよくて、ぜひ音源を入手して聴いてみてほしい。








Icons / Vertigo、Planet Fusion

 FACT誌の90年代のベストに載っているジャングルの名盤『Emotions With Intellect』の終盤の2曲。A.Iシリーズを代表とするIDMのピュアな音色とジャングルの完璧な融合が本作で果たされている。個人的な理想のサウンドのひとつ。作品を掘っているとき、本作の影が常に付きまとっているような気がしている。








SAKANA / Lady Blue、Lost Words、Rambling Rose、Sunset Davie's Home

 ジャニスで借りたレア盤『光線』より。ディスコグラフィー上で一番シンプルでストレートなサウンドをしているように思う。今作と比べると『BLIND MOON』のサウンドも凝ってるな〜と感じてしまう。もしかしたら個人的な最高傑作はこのアルバムかもしれない。同年に出た『ポートレイト』と比べると録音のクリアーさが段違いなのだけどなにかあったのだろうか。








GARO / 一人で行くさ、二人の世界、何もかも遠くに

 日本のフォークロックグループによるファーストアルバム『GARO』より。Crosby, Stills, Nash & Youngに倣った目の覚めるような華やかなコーラスワークが特徴。最初のシングルに収録された「一人で行くさ」が音楽性を象徴している。公園だとかの自然の中で聴きたいですね。








Grouper / Water People、Moving Machine

Water People | Grouper
 本当にたまたま聴いた曲。Grouperは定期的に聴きたくなるアーティストなのだけど、聴いたことのないやつでも聴いてみるかーと流してみたらめちゃくちゃ良かったやつ。『A I A』と同時期の作品で音楽性もほぼ同じ。つまり自分にどストライクということ…。最近はギターからピアノにメインの楽器を移しているようですけど、自分はやはりギターのサウンドが好きなようです。








MONACA / 輝きはじめた毎日、えがお

 疲れているときはこういうBGMがよく沁みます……というか主張の強い音楽が聴けなくなる。ハナヤマタの劇伴はMONACAが担当していて、取り上げた2曲は帆足圭吾が作曲しています。「えがお」で出てくるメロディーは他の明かるげな曲でもアレンジを変えてたびたび出てきており、アニメの明るい部分を象徴した旋律と言えそうです。








Domenique Dumont / Ono Mambo Haiku 、Sans Cesse, Mon Cheri

ATN044 - DOMENIQUE DUMONT - MINIATURES DE AUTO RHYTHM | Antinote
 10月にリリースされた新作『Miniatures De Auto Rhythm』より。丸くて軽やかな音色だけでもう満点という感じ。こういうサウンドを作る人は貴重なのでぜひ活動を続けていってほしい。Jessy Lanzaがイビサ島でバカンスでもしたらこんなサウンドができるかも…








Jorja Smith / Where Did I Go?

 前も紹介した気がする。『Lost & Found』の3曲目。今年の作品だけれど流しているとなんか90年代に戻ったような気がしてくる。古くさいというよりはオーソドックスと言った方がいい。ぶっちゃけおもしろいところはないけど非常に良質で、間口がめちゃくちゃ広い。








Noname / Self、Don't forget about、Regal

Room 25 | Noname
 なぜかmetacriticで今年リリースの作品で(現時点で)トップを独走しているNonameの新譜『Room 25』より。おれの偏ったセンスはピッチと同等の評価を下しているのだけど、回数聴いたらまた変わってくるかもしれない。そうでなくてもおれにはプラシーボ効果がてきめんに表れるのだ…。オープニングトラックの「Self」が鮮烈で、軽い気持ちで聴くとたぶんコロッといきます。全体的に小気味いいサウンドでサラーっと聴けてしまうタイプ。前作に続いてフリーなので、普段音楽を聴かないような人に届いてほしいですね、切実に。








Kendrick Lamar / These Walls、For Sale? (Interlude)

 2015年の『To Pimp A Butterfly』より。今までまったく触れてこなかったケンドリック、聴き始めました。あ、でもあの無題のやつは聴いてましたね。
 新しい!という感じはしないのだけど、なんというかな……ものすごく作りこまれていて総合力が高い。総合芸術というか… なにかのジャンルに括れてしまうようなサウンドの偏りがない。それでいてアルバムの流れは滑らかで、不思議な統一感がある。特徴的な音楽ほど語りやすいんだけど、これは、ねえ…… 今までのブラックな、良い音楽の総決算みたいな感じかな……
 サウンドを聴いてこれはこのアーティストだな、って分かることあるじゃないですか。というか優れたアーティストってだいたいみんなそういう部分(平たく言えば個性でしょうか)があると思うんですけど、ケンドリックの場合それが分からない。透明? いやまあ自分が掴めてないだけかもしれないし、彼の他のアルバムはどうかわからないですけど。
 いいとは感じているのでとりあえずこのまましばらく聴いていようと思います…