お気に入り曲まとめ(2018.4〜5)パート2


 4月5月に聴いて気に入った曲のまとめです。パート2は新作からのチョイスが多めになりました。

Parquet Courts / Total Football、Mardi Gras Beads、Almost Had To Start A Fight/In And Out Of Patience、Freebird II、Tenderness


 新譜『Wide Awake!』より。単純にいい曲が多い。いいことだ… 個人的には今作の音楽性はバンドの運動神経で聴かせていた『Light Up Gold』〜『Sunbathing Animal』の頃とソングライティングの実験を推し進めた『Human Performance』の頃のちょうど中間というような感じで、なんというか成熟した印象があります。正直、前作にはちょっともやもやしたような、なんかふっきれられていないなーというような感想を抱いていたのですが、今作を聴くとその前作を音楽的にきちんと昇華している感触があってうれしくなります。いやまあ具体的にどこがと問われると答えられないんですけど…(がんばれば言葉にできると思うけどたぶんめっちゃ時間がかかる)でも「Freebird II」「Mardi Gras Beads」あたりは前作を経たからこそできた曲というような感じがします。
 あとこれは今作のプロデューサーであるDanger Mouseの手腕なのかもしれませんけど、今まで以上にリスナーというかオーディエンスと一緒になって盛り上がれる瞬間が多いです。…何言ってるかよくわからんですね。アンセム的な曲・瞬間が増えてきたということです。一番わかりやすいのは「Total Football」「Freebird II」の最後のコーラス部分。もうバンド全体での合唱みたいになっていて、ここの部分を聴くたびにスタジアムなどで観客と一緒になって歌い上げているシーンが頭に浮かびます。
 彼らの作品の中では今のところ一番キャッチーなアルバムかもしれません。#4〜#6の流れはめちゃくちゃ良くて何度も聴きました。








Stephen Malkmus and The Jicks / Future Suite、Solid Silk、Kite、Brethren、Refute

 同じく新譜『Sparkle Hard』より。一時期この作品ばっかり聴いていました。今までのアルバムと比べて音楽性にそこまでの変化はなくて、ただただクオリティの高い曲が並んでいるといった感じなんですけど… 「Future Suite」や「Refute」など展開が二転三転するクセのある楽曲を違和感なくサラリと聴かせるところには熟練の業を感じさせます。こういう、実際はかなり入り組んでいるんだけどそうとは感じさせないみたいな、そういうのにあこがれを感じるというか、かっこいいなと思うんですよね。コードもリズムも音色も、どれも一ひねり加えてあるのに総体としては非常に聴きやすいという……非常に良質なポップミュージックになっています。








Twin Shadow / Saturdays (feat. HAIM)、Little Woman

 知らないうちに出ていたニューアルバム『Caer』より。TMTのレビューで高評価だったのでつべで何曲か聴いてみて…とりあえず上記の2曲は良かったです。まだアルバムはまともに聴けていないのであんま突っ込んだことは書けないんですけど、一聴した印象ではもっと広いところを目指した渾身のポップアルバムという感じでした。潜行というよりは浮上みたいな。








Bernice / Glue

bernice
 A&Cから出た5月にリリースされたアルバム『Puff: In The Air Without A Shape』より1曲目。柔らかい音色と隙間を生かしたプロダクションが特徴なドリーム・ポップ。一回でぐっときてしまった。日常生活のどんな瞬間にもヌルっと入ってくる。ミックスはSandro Perri 。








Blood Orange / Augustine

 2016年発表の『Freetown Sound』より。今さら聴いています。まだ本当に聴き始めた段階だけれど、馴染んできたらものすごく良くなるような気がしている。こういう評判いいのに特別な理由もなくスルーしている作品がまだいっぱいある…








Oren Ambarchi / Suspension、Wednesday

 一昨年の『Hubris』が良かったのでOren Ambarchiを掘ろうかなという気持ちになっている。なんとなくジャニスでジャケ借りした、Touchからの2001年作『Suspension』より。太くぼやけた音像が特徴なアンビエント・ドローン。白くて薄い膜に包まれたかのような響き。これもしかして大当たりか?








James Blake / Don't Miss It

 げゃー曲がいい。猛烈にいい。聴いていてレディオヘッドのバラード系の曲を思い出した。ちょい前に出た車の曲も良かったしこれは新作に期待大なのでは。前のアルバム聴いてないけど…ってあれもう3枚出してたのか。1枚目しか聴いてない。これはちょっと反省なのでは。








RP Boo / Back From The Future

I'll Tell You What! | RP Boo
 2015年に出たなんか靴とズボンがめっちゃ並んでるジャケットのアルバムは1枚目にあったケレン味が抑えられていて個人的には不評というか、ちょっとストイックすぎるという感じだったのですが、今回発表された新作からの先行曲には……なんと歌心が注入されています。まあいつものように超乱暴な扱いをされているわけですが、それでもそれが楽曲の中心に据えられた結果、曲構成が一般的なポップスのそれに近づき、ダンスミュージックファン以外にもとっつきやすくなっています。自分としては嬉しい変化。後半のなんというかキラキラ感も好き。7月のアルバムに期待です。








Galcher Lustwerk / Wristbands

200% GALCHER | Lustwerk Music
 なんと…あの『100% GALCHER』の続編が出るらしい。エッ! いいのですか。期待と不安がごちゃまぜで苦しいぜ。とりあえず先行発表されている「Wristbands」って曲は良い曲です。100%にはわりと隙間が残されていたのですが、この曲ではKompakt的なもこもこした音でそれが埋められていますね。リズムもシンプルになって…踊るというよりは揺れる感じ、次々と移り変わっていくサウンドスケープに浸るという感じです。The Fieldとかにちょっと近いかな。あーこれだったら名乗っていいです、200%。
 RP Booに続いて…というか個人的にはちょっと前に紹介したLeifの新曲くらいから、キラキラしたちょっとせわしないサウンドに出会ってきてるんですけど、この曲も少しキラキラ感がありますね。2月にはROAD HOG名義で新作も出してたのに、なんというペース…








Childish Gambino / “This Is America”

 映像も曲も良すぎ。観てない人はとにかく観て。今のところ今年一番ポップな存在でしょう。ネットで調べるといろんなリアクションが見れるので一度検索してみることをおススメします。








Aleksi Perälä / UK74R1822020、UK74R1822040、UK74R1822060

Sunshine 2 | Aleksi Perälä
 これまた5月にリリースされた『Sunshine 2』より。ジャケットからにじみ出ている通り、爽やかで屈託のないブレイクビーツで、ぶっちゃけ聴いてると『Richard D. James Album』の頃のAphex Twinを思い出す。この作品にもキラキラした音がかなり登場し、特に#2「UK74R1822020 」はもう光の乱反射みたいな感じなので一度聴いてみてほしいです。








Skee Mask / Session Add、Rev8617、VLI

ITLP04 Skee Mask - Compro | ILIAN TAPE
 各所で高評価されたアルバム『Compro』より。これも5月だー。上の作品同様のブレイクビーツ作品ですがずっとアンビエント色が強いです。ジャケットが音楽性を象徴していて、今作のだいたいの部分においてまるで霧がかかっているかのようにモワモワした音が鳴らされています。わりと抽象的な作品なのかなーと思いきや意外にもメロディアスで、2曲目の終盤までたどり着いたらもう4曲目まではあっという間で、そしてそこまで来る頃にはアルバムを最後まで聴こうという気になっているはずです。そのくらい序盤の曲たちはキャッチーです。「VLI」ではBOCなんかも彷彿とさせるちょいサイケなアンビエントなんかも披露され、一度アンビエントに全振りした作品も聴いてみたいなーとか思ったりします。良作。








emamouse X yeongrak / L-carbocysteine、fat brain in the port

emamouse ✕ yeongrak - mouth mouse maus by Quantum Natives | Free Listening on SoundCloud:フリーダウンロード
 アルバム?『mouth mouse maus』より。TMTのレビューで知った作品。調べてみると日本人とニュージーランド人のユニットらしいのだけど…? こういう界隈には日本人よりもTMTのスタッフみたいな海外のオタクの方が詳しいかもしれない。
 自分はチャイルディッシュな音色とチャイルディッシュなメロディーがけっこう好きで…それは今作のメインの要素なのだけど、同時にノイジーで不穏なサウンドも展開されていて… 異化効果?っていうんでしたっけ、アニメのエヴァを観て感じるような違和感と異常なエモさを今作にも感じる。まあとにかくおもしろい音楽なのでそういうのに飢えてる人は聴いてみるといいです。グロくてキッチュでナンセンス。エロくはない。前半4曲の展開はすばらしいです。





 リリースラッシュが続いて嬉しい悲鳴状態です。ウレシイ〜〜〜!!!!(悲鳴) 今回のまとめで取り上げた作品の中ではAOTQ『e-muzak』とStephen Malkmus and The Jicks『Sparkle Hard』が年間ベストに入ってきそうです。それではまた次回。