ミツメ [eye]

 (お久しぶりです。)
 都内で活動しているバンド、ミツメの2ndアルバム「eye」。2012年作。


粗挽きサーフライド 『eye』ミツメ
ミツメ - eye  | mistume | ele-king
ミツメ『eye』 - 青春ゾンビ


 懐かしい。大学生時代によく聴いた作品です。もうこの作品も00年代日本の(インディー)名盤の一つ、みたいな感じで消化され適当なところに位置付けられてるんじゃないか、もっと簡単に言えばもういろんなところで語り尽くされているんじゃないか、なんて思うのだけど、まあちょっと書きます。

 歌い方とか詩とか、あるいは彼らの音楽性の中でもサイケデリックニューウェーブの部分(特に次作「ささやき」で顕著な要素ですね)とか、そういうところはけっこう語られているように思いますけど、自分がこの盤――というか彼らに対してもっとも魅力を感じている部分は「リズム感」と、「空間の埋め方」だったりします。


 「リズム感」については、個人的には今の日本のバンドで一番ハイレベルなのが彼らなんじゃないかなとか思ってたりします。いやレベルも何もないし、そもそも自分日本のバンドぜんぜん追えてないので、ここは話半分に聞いてほしいんですけども。
 今作や次作を聴いてて思い浮かぶのが初期のトーキング・ヘッズでして、で自分が初期のトーキング・ヘッズに一番魅力を感じる部分も「リズム感」なんですよね。多分メンバー全員が優れたリズム感を持っているんでしょう。まあ自分って、ツインギターでチャカチャカやってればたいていは最高!ってなっちゃうんですけどね。


 最高なトーキング・ヘッズの例。


 「空間の埋め方」という表現はアレかもしれませんけど、必要以上に音を配置せずにスキ間を意識している、ということです。これにしっかりと注意を払っているからこそ上記のリズム、バンドのグルーヴが活きてくる。また、今作が気軽に何度もリピートできる作品に仕上がっていることにもつながります。



 以上、二点について書いてきましたけど、まとめると「リズムの聴かせ方がうまい」という感じになるでしょうか。個人的にはこの部分がバンドの唯一無二の個性だと思っていて、またこれによってバンドとしての地位を確立しているように思います。この彼らの地位を脅かすようなバンドがもっと出てきてほしいのですけど、ミツメはミツメですでに相当な境地にいるようにも思うのでうーん。

 自分の中ではミツメは、FugaziとかSleater-Kinneyなどのアンサンブルで聴かせるタイプのうち、もっともシャープな音を聴かせるバンド、という立ち位置です。あまりにシャープすぎて、力が程よく抜けたシカゴ勢ともちょっと近い感じです。空間の埋め方もあるけど。


 お気に入りの曲は「Disco」と「20」。リズム感だけじゃ説明できない不思議な魅力があります。そう、そうなんですよ!ミツメの魅力はその精緻なバンドアンサンブルだけじゃないんですよ!(当たり前である) まあそこらへんは他の人の記事に譲りまして、とにかくミツメの「eye」、オススメです。彼らの与える影響が未来でどう花開くのか、今から楽しみです。といいつつ、もう3年経ってるんですけどね。



8.4