Galcher Lustwerk [100% GALCHER]


今日はちょっと、あんまいい日じゃなかったので、これ書いて挽回する。
Galcher Lustwerkです。たぶん、カタカナだとガルシー・ルストウェーク。
ここからダウンロードできます。B.U.T.W. 12 ◆ Galcher Lustwerk
まあ聴くだけならようつべでもサウンドクラウドでもどこでもあるので。

この作品が正確にいつごろリリースされたのか、またリリース当時からすごい評判だったのかということもわからんのだけど、ぼくがこれを知ったのはいつものように年末のベストリストだった。
The 50 Best Albums of 2013
RA: RA Poll: Top 30 mixes/compilations of 2013
ファクト誌では#4、RAではオンラインミックス部門で#1と、超高評価である。いままで見たことも聞いたこともない人の作品がいきなり・・・ なんてことは、まあ、TMTとかファクトならざらにあるんだけども。TMTでは2013年のリストには出てこないんだよね。ピッチフォークも同様。たぶん単純にフォローしきれてなかったのだと思う。その後ピッチフォークはルストウェークが新しいレーベルを立ち上げ、そこからEPを出すってときにbest new track認定している("Parlay" by Galcher Lustwerk Review | Pitchfork)。個人的には、先にミックスの流れで曲を何度も聴いていたので、一曲だけ取り出して聴くと違和感があるのだけど、まあ新しい音だなとは(当時)思っていたのでいいか。

内容については、RAのリストでのコメントが的確で短くまとまっている。ルストウェークが自身の曲のみで作ったミックスで、ちょうど一時間。すき間を活かした最低限のハウスビートに、彼のシンプルなスポークンワードが重なる。個人的な印象では、なんというかモノクロで、すりガラス越しの風景のようにもやもやした感じ・・・と書くとなんか暗そうなんだけど、実際聴くとそんなことはなくて、非常に快適な音楽です。ファクトではBurialやDean Blunt、The Weekndの音楽に対する解毒剤、なんてふうにも書いてます(たぶん)。
たしか前の2014年の個人ベストのときに書いたかな?すごく親しみやすい感じがある。プライベートとパブリックの境界をゆらゆらしてるような、そんな距離感。部屋が似合う。

ということで、とってもオススメなんだけど、ミックスってなんかとっつきにくいよ〜って人もいるかもしれんので全体の構成をてきとうに書いておきます。だいたい20分、10分、10分、20分というふうに全体を分けられると思います。これを意識すれば多少はとっつきやすくなるかも。個人的には最後の20分、というか最後の曲が一番好きで、初めてそこまでたどり着いたときはうおお、となりました。こういう展開の妙がミックス音源の醍醐味ですよね。まあでもこの作品に関して言えば、そんなに集中せずにBGMとしてリラックスしながら聴くのが一番いいと思います。イヤホンよりもスピーカーの方がリラックスできると思う。自分なんてPCをテレビにつないでそっから音出させてますけど、これでも充分いけます、この作品。

RA Podcast: RA.405 Galcher Lustwerk
あとこれも一応貼っておきます。RAのポッドキャスト。たぶん今でも本人のサウンドクラウドで落とせるんじゃないかな。川井憲次(攻殻)とか植松伸夫(FF)の曲なんかも入っていて興味深いです。自分の曲じゃなくても、完全に彼の音になっててすごいですね。

今後彼はどうなっていくのか。このミックスがあまりにも完璧すぎて、曲単位で聴くとどうも見劣りしてしまう、とぼくは思ってしまうのだけど。なんというか、この路線はこの作品でもう極まったのでは、みたいな危惧がある。それはともかく、本作はスルーされてしまうにはあまりにも惜しい作品です。10年代のベストに入ってくるんじゃないかな(少なくとも自分は入れるだろう)。おすすめ。



9.0